獲れたての魚の味は格別ですが、
注意しなければならないのが生食による食中毒事故です。
魚介類の食中毒でよく発生しているケースでは、
アニサキスによるものがあります。
アニサキスとは、寄生虫の一種で、その幼虫が
イカ・タラ・サバ・アジ・イワシ・サンマなどに
寄生します。
魚の内臓に寄生するアニサキスの幼虫は、
鮮度が落ちると、内臓から刺身の部分である筋肉に
移動するといわれています。
そのため、アニサキスの幼虫が寄生した
魚介類を生食すると、
幼虫が胃壁に突き刺さり、2~8時間後に
激しい腹痛や吐き気、嘔吐を起こす場合があります。
アニサキスの幼虫は、人体では成長しないので、
放置しておくとやがては死滅しますが、
激痛に襲われて病院へ行った場合は、
内視鏡を使って寄生虫を摘出する処置が行われます。
ただし、食中毒により腸閉塞を起こした場合は、
開腹手術が必要になります。
アニサキスの幼虫は、1.5~3cm程度の糸状で、
目視できる大きさなので、魚を捌いた時に見つけたら、
ピンセットなどで取り除くことができます。
アニサキスは、塩分濃度の高い塩に漬けた、
酢に漬けただけでは死滅しません。
アニサキスによる食中毒を防ぐには、
できるだけ新鮮な魚を選び、
丸ごと1匹の場合は速やかに内臓を取り除くこと、
そして、-20℃以下で24時間以上冷凍処理をして、
幼虫を死滅させることです。
私は、-60℃で一度冷凍してから使っています。
アニサキスは、60℃で数秒、70℃で瞬時に死滅するので、
アニサキスが寄生する魚は、
加熱処理してから食べるようにすると、
食中毒のリスクが低いです。