食中毒は魚介類や肉の他、野菜が原因の場合もあります。その一つに、キャベツなどの葉野菜に潜むナメクジに寄生する広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)が挙げられます。18年前、沖縄で当時7才の女の子がこの寄生虫による髄膜脳炎で死亡しました。

 

 

 

広東住血線虫は、体長22~23mmの線虫で、台湾、タイ、インドネシアなどの東南アジアや太平洋諸島に分布しています。日本では、沖縄諸島に多く見られます。広東住血線虫の幼虫がナメクジを介して人間の体内に入ると、頭痛、微熱、吐き気のほか、嘔吐といった症状が現れます。  

 

 

この寄生虫は、自然に死滅するので、ほとんどの感染者は6週間以内に症状が回復します。

 


しかしこの寄生虫は、頭に向かって移動する習性があるため、脳や脊髄の血管や髄液の中に寄生した場合、髄膜脳炎の症状を起こし、長期の神経障害を引き起こしたり、死に至るほどの症状だったり、年齢などによっても症状は異なります。

 

 


 

 

キャベツやレタスは、生で食べることが多い食材なので、使う際にはよく洗い、ナメクジがついていないか確認するようにするのが一番です

 

 

 

漬け物として食べることも多い白菜の場合、寄生虫そのものではなくその卵が危険なことが多いです。とくに、輸入キムチなどには有鉤条虫 (ゆうこうじょうちゅう)がいることがあります。有鉤条虫自体はすぐに死滅してしまうのですが、卵の方は比較的丈夫で、食べた後に体内で生き残っていた卵が孵化すると大脳へ移動し、てんかんの発作を引き起こしたり、視力を低下させたりすることがあります。

 

 


寄生虫を死滅させるには、食材の中までしっかりと熱を加えてから食べる。また、魚介類の生食については、一度冷凍処理しておくことで食中毒事故を防ぐことができます。寄生虫が体内に入ることで、日常生活を脅かすような症状が出ることもあるので、食材を取り扱う際は十分に注意しましょう。