彼が亡くなってから明日でひと月…
時間は飛ぶように過ぎていきましたが、私たちはまだ何だかバタバタしていて落ち着かない日々を過ごしています。
彼が債務を抱えているであろうことがわかり、相続放棄するに当たっての手続きを知り合いの弁護士さんに頼むことにしてはいましたが…
彼のご両親からも知り合いの司法書士さんに頼もうと思うので、次女も一緒にとお誘いがあったりして…
どちらでお願いしたらいいのかと迷います。
ひとまずどちらのお話も聞いて見て決めたいと思ってはいますが、おそらくは私たちは私たちでで、こちらの弁護士さんにお願いすることになるかと思います。
しかし…
相続放棄と簡単に言いますが、私たちにとっては初めての事で、わからないことばかり…
専門の知識もない私たちは勉強勉強の日々なのです。
財産を放棄をすると言うことは、マイナスの財産を放棄するのと同様にプラスの財産も放棄すると言うことであり…
簡単に彼の財産とみなされるものには手出しができなくなるのですよね…
次女たちは、彼名義の共同の口座を作りやりくりしていましたが、例えば私たち側の親戚からもらったお祝いをいったん入金していただけだと言ってももうそこを触ることはできません。
彼名義の口座の中のお金は全て彼の財産と言う扱いだからです。
でも、生命保険は相続に当たらないので、それはそのまま受け取れる…
と、いったように、財産の仕分けをしながら進まないといけないんですよね…
彼の会社から受け取れるはずだった共済金も、会社側の規約で、そのお金は妻である次女が彼の財産を受け継ぐと言う立場になると言う決まりだそうなので、これは受け取ることができません。
何日分かのお給料も、もちろん受け取れないので、彼の口座へ振り込んでもらいました。
もう彼はいないのに…
もったいない話です。
でも、放棄すると言うのはそう言うこと。
色々なことを簡単には手出しできないので、一つ一つ確認しないといけません。
二人の共通口座ははその後凍結されました。
彼のそのほかの通帳は手元にもないので、そのままです。
彼が生前していた借金については、督促状が来始めているのですが、辿ってみると、返せなくなった死亡後からのものがほとんどなので、生きている間は少なくとも少しずつは返していたことがわかります。
それでも追い付かなかったのかな…
詳しいことはまだ闇の中です。
主人は全てを調べて、確かめたいと言います。
本当は私も知りたいです。
一体いつの時点でお金を失い、それからどう返していったのか、もしお付き合いが始まる前からのものなら…
それを次女にはずっと隠していたわけですよね…
主人は、言えなかったと言えばいい言い方ですが、結局は私たちに嘘をつき騙していたのだと…
それにも納得するところはあるのです。
私の父も同じことを言いました。
自分の全てを曝け出せなかったと言うことは、次女たち夫婦は本当の意味で夫婦ではなかったのだと。
実は父にも結婚当初借金があったのだそうです。
貧しかった家族を養うために借りたお金だったそうですが、父はそれを全て母に話しました。
まあ、とは言え話したのは結婚してからだったらしいのですが…
それでも母は、全てを正直に話してくれたことで、むしろ誠実さを感じ、二人で返して行けばいいと、父との人生をスタートさせたのだとか。
もし、彼も、自分の恥とも言える話を次女にしていたなら…
今のこのような事態にはならなかったのかもしれない…
でも、それが次女をこの先苦しめていたかもしれない…
と思うと気持ちは複雑です。
しかし、もう、彼はいなくなってしまったのですから、二人で暮らした時間が短かったこと、まだ子供がいなかったこと、お金の苦労をしなくて済んだこと…
それを幸いだと思って前を向いて行くしかありませんよね。
しかし、次女の日記の中はまだそんな所まで気持ちが行っているわけもなく…
その先のことは本当に心配です。
借金があったのに、それを隠して結婚までしたこと、借金の額が莫大だったこと、そんなことをしっかり知ることによって、あえて彼を悪く思うことができた方が諦めもつくのではないか…
そう言う主人の意見も、荒療治ではありますが、一理あるような気がします。
家財道具を持ち帰えらせたくない。
思い出をデジカメに納め続けることももうしてほしくない。
過去の思い出を周りに置いておくことが忘れられない要因になるのではないかと言う主人の主張はそれなりに一貫していて、私もその気持ちはわかります。
でも、主人だって次女には何にも言えません。
ただ今は流れに任せることしかできないのです。
次女の顔色を見ながら、親としての感情は抑えつつ夫婦間でこっそりひそひそ話。
こんな日がいつまで続くんでしょうかね…
彼にはここのところ恨み言を言う機会が増えました。