光学機器は難しい。双眼鏡。 | 酋長のひとりごと

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ようやく歴代のブログを1本にまとめました。最初からお楽しみ下さい。

2021年4月より、「夏男のひとりごと」に名前が変わりました。が、「それではつまらん」と外部からのご指摘を先程受けまして、戻します。てへっ☆

コンサートに行くという娘に頼まれ、

小型の双眼鏡を中古で買ってみました。

値段も値段でしたので何らかの手入れは必要かなと思っていましたが

接眼レンズを覗いてみると…うお、像が2重に見える。

 

 

本格的なものはちょっと重いので、ということで

購入したモデルはケンコー製、Field5.5°というものです。

まあ、コンサート会場で軍用双眼鏡みたいなのはいかんわな。

お値段送料込1900円、一応使える、ということでしたが

まあ上記のような故障もやむをえまい(笑)。

 

さて下調べです。そのまま対物、接眼レンズのみですと

見える像は逆さになってしまうので、それをもとに補正するため

三角形のプリズムが入っています。

このモデルはポロプリズム式、というプリズムの配置ですが

この位置が適正でないと左右の光軸が狂ってしまい

結果像が二重に見えてしまう、と。

 

それこそ軍用双眼鏡みたいな奴にはその辺の調整機能があるようですが

コンパクト双眼鏡は…どうなんだ。

というかバラせるんか…。

 

 

ボディの表にねじ類がまったくありませんでしたので

いきなり野蛮な方法ですが、一番小さい黒いカバーを

秘密兵器ミニルーターで切断し様子を見ます。

これくらいなら後で接着剤で修復できるでしょう。

 

 

なんか中身が出てきました。

開けた左側に水平に取り付けされているプリズムが見えます。

金属バネとねじで固定されているので、

これを外すと位置調整ができるのでは?

といっても、さらに向こうにある垂直に取り付けされた

もう一つのプリズムにアクセスするには

もっとバラさないといけないようです。

 

 

が、さきほどの黒いを切ってみてわかりました。

大きいメインカバーを開けるのは、これだ!

黒カバーとの間に爪がありますので

ドライバーでこじって外します。

 

 

よし来た。バラしに成功です。

ピント合わせのために伸縮する対物レンズがわかりますが

ピントを合わせるダイヤルと結合を外すためには

メインカバーを外してからでないとできないように

若干知恵の輪状態になっています。

 

実は先にダイヤルをむりやり外してしまい、

一部破損してしまいました。くそう。

 

 

対物レンズも外して清掃します。

カメラのレンズを修理した時に買ったカニ目レンチでいけますが

ステンレスのスケールをロックリングに当てても回せます。

細い2つのリングは位置調整用のスペーサーっぽいので

組み立てる時に間違えないように注意です。

 

 

 

さて、作業の本丸となりますプリズムの位置調整です。

さきほどもちょっと書きましたが、ポロプリズム式双眼鏡は

2つの直交したプリズムを配置することにより

見える像を正立に戻すようなしくみとなっています。

上の写真が水平位置、反対から撮影した下の写真が

垂直位置に配置されています。

 

人間の目は水平方向に2重に見えてもある程度脳内で補正できますが

垂直方向に2重に見えると、これは使い物になりません。

そこで下写真の垂直のプリズムについて、特に入念な調整が必要ですが

…なるほど、落下させたかなにかで、片方の垂直プリズムが、ずれている。

 

ねじを外してばねを取る→固定されている接着剤を剥がす→

何回も外の目標物を見て位置調整する→ばねで仮固定する→

決まったと思ったら接着剤でプリズムを本固定する、を

くりかえします。

が、できたと思ってカバーまで本組み立てすると

なんでズレんねん…。

最後はそれを見越してちょっとズラして位置調整をしたりするので

あっという間に1週間くらいかかってしまいました。

 

あと、件の破損させてしまったピントを合わせるダイヤルのために

部品取り用のジャンク品をまた買ってみましたら

うわ、同じモデルのはずなのに、ねじできれいに分解できるようになっていたり

全体のクオリティが高級になっている!

 

…そっちを分解清掃し直して、組み立てて完成しました。どやねん。