日本の分割線を見に行く。 | 酋長のひとりごと

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ようやく歴代のブログを1本にまとめました。最初からお楽しみ下さい。

2021年4月より、「夏男のひとりごと」に名前が変わりました。が、「それではつまらん」と外部からのご指摘を先程受けまして、戻します。てへっ☆

東名高速と中央道沿いはよく走るのですが

ざっくり言うとそれに挟まれた南アルプス山脈の西側一帯

南信、奥三河辺りでしょうか、あの辺が私の頭の地図で

空白地帯になっています。

いつか実際に走ってはっきり把握してみたいと思っていましたが

ゴールデンウィークの混雑を避ける意味でも、これは行ってみよう。

 

5月4日 23時50分 垂井のガソリンスタンド

 

 

各地の道路は当然のことながらべらぼうに混雑しているので

夕食とお風呂を済ませて、夜に移動します。

給油を済ませ名古屋から国道153号線飯田街道をつかまえます。

 

名古屋から豊田は市街地ですが、

そこから細かい谷筋をたどる山道に入ってきました。

豊田市から先、国道153号線の北およそ10kmくらいに

矢作川がずっと並走しています。

 

足助からはだんだんと高度が上がってくる感じで

最終的に伊勢神トンネルで峠を越えます。

降りたところの道の駅どんぐりの里いなぶ到着が

日付が変わって午前3時過ぎでした。

 

すっと北側を並走していた矢作川が寄り添い

もう一つ杣路峠を迂回すると南信です。

そろそろ明け方ですので仮眠をしましょう。

 

5月5日 9時50分 道の駅信州平谷

 

 

ここからさらに国道153号線を北東へ向かうと飯田市に至りますが

ここで進路を変えて国道418号線を南東へ向かいます。

この最後は南アルプスの山にぶち当たって終わる感じですが、

そこからちょっと行きたい場所があるんだな。

 

11時30分 国道418号線 天竜川橋

 

 

平谷峠、売木峠を越えるといったん国道151号線とクロス、

早木戸川の川筋を下っていくと天竜川と飯田線の線路です。

昭和30年に完成という天竜川橋、

橋梁オタク的には上弦式ワーレントラスが美しい!

河原に車を停めて休憩しましたが、

そこを縄張りにしていたらしい1羽のセキレイに

念入りに検分されてから、バックミラーを襲われました…。

 

12時5分 国道152号線和田バイパス 青崩峠方向

 

 

こんどは遠山川の流れをゆるやかに遡上していくと和田の街、

ここで南アルプスの急峻な山々に行く手を阻まれ

左右どちらかに進路を変更することになります。

変形T字にぶつかった国道152号線秋葉街道は

北に向かうと最後は茅野市、南は浜松市に至ります。

 

と言いましたが、南に向かうと青崩峠があり

ここは未だに車道が開通していなく、未成区間となっています。

現在は東側を高巻きするように狭隘な県道、兵越峠で越えています。

 

12時10分 国道152号線青崩峠方向と兵越峠方向との分岐

 

 

この21世紀になっても車道が完成しないって?と

以前から興味がありましたので、これが今回の旅のメインかな!

和田の街からしばらくは広い2車線道路ですが

青崩峠と兵越峠の分岐辺りは舗装林道と一緒です。

車を停める場所もないので、停まって運転席から撮影します。

 

実はすぐ横の河原は大規模に整地され重機が入っていますが

青崩峠を貫くトンネルがもうすぐ完成するそうです。

そうなってくると兵越峠は廃道になる可能性が高く

今のうちに楽しんでおきましょう。

 

12時30分 兵越峠 登頂!

 

 

時間にして20分、すれ違いが難しい狭い道を

つづら折りすると兵越峠に到着です!

ゴールデンウィークですので時々すれ違い車があり

譲り譲られ挨拶をしながら通過しました。

峠の広場には主のいない車やバイクが何台かおいてあり

山菜採りや登山に利用されているようです。

 

 

この青崩、兵越峠周辺、地理の授業で基本中の基本

糸魚川静岡構造線が南北にザクっと通っています。

雑に説明すると本州が東西に割れている境目がここにあるので

今地下を掘っている青崩トンネルは断層やら湧水やらで

工事がえらいことになっております。

 

航空写真で確認すると、矢印のやたらまっすぐな谷が

糸魚川静岡構造線に沿った谷なのですが

植生がなくずいぶんガラガラに荒れた沢に見えます。

私も兵越峠を上がる道すがら確認してみましたが

斜面の崩落が多く立ち入りは危ないなと思いました。

 

13時00分 国道152号線 草木トンネル手前

 

 

兵越峠を降りてくると異様な高架橋、立派なトンネルが

突然現れてびっくりします。

この立派な施設が新しい青崩越えな訳ではなく

1994年に途中まで作ったけれど

糸魚川静岡構造線のグズグズな地質を突破することができず

ルート変更を余儀なくされているそうです。

で、イチから今掘ってるのが青崩トンネルです。

 

構想から45年くらい、そんな事があるのか!と思いますが

どうか青崩トンネル、無事に完成しますように。

 

15時45分 ちょっと飛んで国道362号線 久保尾辻

 

 

引き続き国道152号線を南へ降りていきますが

一部の改良区間や街以外は、ここからも結構狭い「酷道」です。

このまま浜松までゴールしようかと思いましたが

まだちょっと時間があったのでもう一回山に入ります。

 

新東名高速道路までもう少しの山東交差点を折り返すように左折、

国道362号線を北東に上がっていきました。

天竜川支流の気田川、さらにその支流の杉川を遡ります。

(鮎釣りやカヤックのメッカなんだそうです。)

 

川上の集落で杉川から別れて細い峠道、

つづら折りで高度を稼ぐと、峠の久保尾辻です。

 

久保尾辻から峠を下ると天竜川から大井川水系となり

現れた大きな河川敷が洪水時の流れの厳しさを物語ります。

大井川に出て左に曲がり、対岸の大井川鐡道を見ながら

引き続き国道362号線を千頭方面に向かいます。

 

17時40分 大井川鐵道千頭駅

 

 

蒸気機関車の保存運転で有名な大井川鐵道も見ておこうと

千頭駅に立ち寄ってみました。

隣接して道の駅奥大井音戯の郷もあるので、駐車場も問題なしです。

と、駅前のバス停に長い行列ができているわりに

駅の改札付近は所在なさそうな駅員さんがいるだけでした。

 

満員のバスには「代行」の表示、

知らなかったことですが千頭~家山、本線の半分くらいは

2022年9月の台風被害で運休が続いていたんですね…。

 

 

改札で情報を確認していると、隣にいた家族連れが

入場券を買ってホームに置いてある車両を見学に行きました。

なるほど、私もささやかながら応援の意味で

150円を払って改札を通りました。

 

留置展示されているトーマス仕様の蒸気機関車たち、

なかなか良く再現されていて「おおっ!」と思います。

傍らには南海電鉄から来たという古い電車、

そういう公園だと思うとこれはこれで大満足です。

外の道路から写真を撮っている人も沢山見かけまして

観光鉄道として早い復旧をお祈りします…。

 

18時15分 国道362号線 杉尾はなのき展望休憩所

 

 

国道番号は引き続きそのまま、しかしここから先は

恐らく今回の行程で一番の難所でした。

大井川水系から藁科川水系に移動するので

途中に名前が分かりませんが標高900mクラスの峠があります。

この道筋には「オクシズの駅」という小さい休憩施設が点在し

厳しい山越え中、小休止するのに便利でした。

 

 

大井川側は普通の峠道(と言ってもわりと大変)でしたが、

特に藁科川側は高低差がえぐいね。

軽トラサイズの細い道が急勾配のつづら折り、

ギアを2速にしてもフットブレーキ連発でちょっと心配です。

しかし、この峠だけではないのですがさすが静岡県

かなり高いところまで茶畑が広がっていて

生活に根付いた道なんだなあとも思いました。

 

美しい杉林の稜線の向こうに、富士山の峰が見えます。

 

19時00分 国道1号線にゴール!

 

 

人家やお店が見えだして来たなと思ったら

けっこうすぐな印象で、お、いつもの国道1号バイパスです。

いつもバイパスを通っている時は目標物のひとつでしかないが

羽島インターチェンジ、ちょっと感無量です(笑)。

 

考えてみますと後半は天竜川、大井川、藁科川と

静岡を分断する河川を横断してきましたが

古来の東海道は大雨の時の川止めが結構大変だったことを

ちょっと実感してしまいました。

峠を越え、橋を架け、ちょっと大変だったけれど完走できて

現代の土木技術ってすごいね。