日本の会計基準では、原発の使用済み核燃料=核のゴミは、リサイクル可能な資産??だが、英仏では価値ゼロ、米国ではマイナス評価だ。

価値ゼロどころか、処分に天文学的巨費を要する負の遺産=“核のゴミ”を、日本ではなんと資産に計上している。

もし、使用済み核燃料=核のゴミを正しく評価し直したなら、原発を持つ旧電力・九社は、債務超過に陥る。

だから? 使用済み核燃料の再処理を止められない? と言うのは表向きの理由。

本当は、潜在的核武装のため?貯め込んだ虎の子、原爆50個分のプルトニウムを死守するため、幻の核燃サイクルを、形だけでも続ける必要があるからなのだろうが・・

再処理で取り出したプルトニウムを消費するため?のMOX燃料は、通常のウラン燃料より危険な上に高くつく。再処理工場を動かす意味は1ミリもない。

原子力ムラは、ウソと欺瞞で成り立っていると言っても過言ではない。
それは、戦後の殆どを政権与党として日本を主導してきた、自由民主党と云う名の非民主的政党にも言えることだが・・


GLOBE+ 2022.01.12
リサイクルが正解とは限らない 原発ごみで考える「資源とごみの境界線」

【原発の使用済み核燃料は「究極のごみ」ともいえる。半永久的に放射線を出し続け、原発保有国はどこも処分に悩んでいる。日本は使用済み燃料を再処理して再び原発の燃料にし、「リサイクル」する方針だが、多くの国々は費用などの面から割に合わないとやめた。なぜ続けるのか。その中核を担う再処理工場は着工から29年、2022年度上期の完成をめざしている。

ごみと資源の分かれ目は

再処理工場は日本中の原発から集めた使用済み燃料を細かく刻み、まだ燃えるウランとプルトニウムを取り出す。これらを混ぜてMOX燃料と呼ばれる燃料に加工し、再び原発で燃やすことにしている。

再処理工場は当初1997年完成予定だった。多くの不具合や国の規制強化に伴う追加工事などで25年も遅れ、工事費は約3兆円に達した。

直接処分する以上の費用をかけても、費用を上回る便益が得られれば有効なリサイクルといえる。逆に費用が便益を上回れば、お金がムダになったり、環境に余計な負荷をかけたりする。

原発の使用済み燃料も基本は同じだが、歴史的経緯が絡み、ややこしい。

集まった期待、外れた思惑

原理的には燃えないウランをプルトニウムに炉内で変えることができ、使用済み燃料が優秀な資源になる、少資源国の日本では準国産資源だと期待された。

だが、思惑は外れた。

日本は技術評価が甘く、一度始めた政策を惰性で続けてきた。
95年のナトリウム漏れ事故などでほとんど運転できなかった高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決めたのは、事故から21年たった2016年のことだ。

再処理してつくったMOX燃料を普通の原発で使う「プルサーマル計画」について、国と電力会社は今も捨てておらず、六ケ所再処理工場の完成と操業を目指している。

無駄と分かっていてもできない方針転換

半面、最終処分場探しは遅れている。国と電力会社は再処理の過程で出た高レベル放射性廃棄物を地下300メートル以深に埋める計画だ。基準を法律で決めたのは00年で、83年に候補地探しを始めたフィンランドより17年遅い。

原子力発電環境整備機構(NUMO)が地層の安定性などを評価した全国の「科学的特性マップ」を17年に公表し、処分場の適地かどうかの文献調査に応じる市町村を募り始めた。20年に北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が手を挙げたが、反対も根強く、すんなり進みそうにはない。

長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎教授は「六ケ所再処理工場の総事業費は約14兆4000億円とされ、電力会社は今後年平均2500億円もつぎ込む計算だ。

MOX燃料は通常の燃料より高くつく。動かす意味はない」という。原子力委員会の委員長代理だった12年には「全量再処理」路線の転換を目指したが、果たせなかった。

「プルトニウムは英仏では価値ゼロ、米国ではマイナスと見積もっている。

 だが核燃料サイクルに深く関わる経済産業省と電力業界、青森県の三者はいずれも、大きな摩擦や損害を生じる方針転換を避けたがる。大金がムダになるとわかっていても、電気料金が原資だから自分たちの財布は痛まないし、誰もチェックしない」】