ボーナス0撤回も、職員に(異常なほど)冷たい同族経営の東京女子医大。
背景には、コロナ禍で経営が苦しい医療機関への支援不足も・・

コロナ拡大に貢献?するGOTOトラベルキャンペーンより、医療機関・医療従事者への支援が先では?
電通案件?税金「GoTo」反対署名、5日間で9万人超 「その予算を医療現場や被災地に」



 朝日新聞デジタル 2020年7月18日
渡航後に無給待機→説明求めた看護師解雇 東京女子医大
【東京女子医科大学病院(東京都新宿区)で4月から新人看護師として働き始めたばかりの女性(21)が、6月末で解雇された。新型コロナウイルスの感染が拡大していた2月末から3月はじめに海外への卒業旅行をした3週間後、病院から無給での自宅待機や自費でのPCR検査を求められた。こうした対応の詳しい理由を説明してほしいと伝えたところ、「勤務態度が芳しくない」などとみなされたという。


 女性は、東京女子医大看護専門学校(東京都荒川区)で学んだ。国家試験を終え、卒業を待つだけだった2月27日、米国ロサンゼルスに卒業旅行に出かけた。専門学校で2月中旬に海外渡航は控えるように言われたが、3カ月前から計画していたこともあり出発した。現地の友人宅に滞在し、3月5日に帰国。海外へ渡航したことは、3月下旬にあった病院からのアンケートに答えて伝えた。

 病院の寮に転居し、初出勤に備えていた3月31日夜、病院から電話で3週間の自宅待機を言い渡された。さらに自費(5万5千円)でPCR検査を受けるよう指示された。

 検査の結果は陰性。女性は4月23日から働き始めた。ところが5月に入り、病院から①海外渡航についての弁明書か始末書の提出②PCR検査の自費負担③自宅待機中は無給――の3点を自宅待機解除の要件として同意するという内容の書面の提出を求められた。女性によると、就職前に海外渡航した新人看護師は30人以上おり、病院側に対応をただす質問が相次いでいたという。

 女性は5月末に同意書を提出。同時に、法的根拠などを丁寧に説明してほしいと伝えた。すると3日後、6月30日に雇用契約を終了するとの通知書が届いた。通知書には、「海外渡航したことやPCR検査代金の自己負担にかかわる同意書の提出までの経緯などに鑑み、勤務態度が芳しくないものと判断した」などと書かれていた。

 寮からの退去も命じられ、4年働けば免除されることになっていた看護専門学校時代の奨学金計108万円の返却も求められた。

 東京女子医大は取材に対し、「双方の弁護士間で折衝中の事案であり、コメントは控えさせていただく」(広報室)としている。】一部抜粋


 Yahoo!ニュース・朝日新聞デジタル 2020年7月17日
東京女子医大、ボーナスを検討へ 「原資が確保」と一転
【夏の一時金(ボーナス)の支払いを見送っていた東京女子医科大学病院が、支給を検討していることが17日わかった。大学や病院側の教職員向け文書によると、独立行政法人福祉医療機構からの資金調達で、「手当の支給の原資が確保できる」としている。】一部抜粋

 HuffPost Japan 2020年07月15日
ボーナスなく看護師数百人退職の恐れ 東京女子医大病院
【東京女子医科大学病院(東京都新宿区)が、夏の一時金(ボーナス)を支給しないと労働組合側に伝えていたことがわかった。新型コロナウイルスの感染拡大で経営が厳しくなり、医療従事者がしわ寄せを受けている。看護師らが数百人規模で退職する可能性もあり、地域医療に影響が出ることが懸念されている。】一部抜粋

 東洋経済 2020年7月16日
東京女子医大病院「400人退職」の裏にある混沌 医療スタッフのボーナスをカットした本当の訳
【「今期の上半期賞与は支給しない」

6月11日、団体交渉に臨んだ女子医大の労働組合に対して、大学当局はボーナスゼロの回答を行った。対象は、医師、看護師、検査技師から事務職まで全職員だ。

労働組合には、生活に対する不安と、大学当局に対する怒りや不信の声が寄せられた。

「奨学金の返金もできません。食費の確保もできません。生きていけません。毎日、不安で不安で、正直眠れないです」(20代・女性)

「説明もなしに、いきなりボーナス全額カットなんて詐欺もいいところ。職員はボランティアですか?」(20代・看護師)

「私たちが必死でやってきたことに、感謝すら感じていないのだと思い、本当に涙が出ます」(30代・看護師)

「どこまで頑張る職員を侮辱し、痛めつければ気が済むのですか? 職員が病気になりますよ」(30代・医療技術者)

実は、ボーナスゼロには伏線があった。

新型コロナの第1波を受けて、外来患者が大きく減少したため、女子医大は職員の一部を「一時帰休」させた。

いわゆる自宅待機だが、その期間の給与は4割減。当然、職員からは反発の声が上がったが、方針は変わらなかった。

「足りなければ補充するしかない」

組合:「看護師の希望退職者が400人を超えることについてどう考える?」

大学:「深刻だと思うが、足りなければ補充するしかない。現在はベッドの稼働率が落ちているので、仮に400人が辞めてもなんとか回るのでは。これは完全に経営の問題であり、組合に心配してもらうことではない」

今期、30億円の赤字になる、という弁護士の主張について、女子医大関係者に聞くと、意外なカラクリがあるという。

「30億円の赤字は、ボーナスを前年並みに支給した場合の推計値です。結局、ボーナスはゼロだったわけですから、30億円の赤字は理屈に合いませんね」


毎年300人前後の看護師が入れ替わる

「毎年、ウチでは300人前後の看護師が入れ替わっています。若い看護師にブランド病院として人気が高く、キャリアを積んで比較的短期間で辞めていく人が多いからです」

また、若い看護師を次々に入れ替えるほうが、人件費は安く済むという現実もある。

実際、女子医大では来年度に向けて、すでに330人の看護師を募集していた。

同じ新宿区内にある東京医科大学病院では、ボーナスは例年と変わらず、さらにコロナ特別手当として医師、看護師などに月額2万円が支給されている。都内の別の大学病院でもコロナ手当があり、今夏のボーナスがゼロというところはない。

人件費切り詰めの一方で施設整備に巨額費用投下

極めつきは、今年2月に完成した新校舎の改修工事である。職員によると、6億2000万円をかけて、新たに理事長室などを設置しているという。

「赤字だったら理事長室にかけるお金もないはず。コロナに便乗して、本当はもらえるはずのお金を経営に回しているだけ。職員を駒扱いにして働かせるだけ働かせて、報酬なしなんてありえません」(30代・看護師)」

「理事諸室の工事さえ始めさえしなければ、億単位の無駄遣いは減らせたと思います」(20代女性)※労働組合に寄せられた投稿より

学内では、岩本理事長の強気な大学運営を可能にしているのは、自民党との強いパイプだと言われている。

批判を浴びている新校舎の竣工式には、二階俊博幹事長が駆けつけた。ちなみに、二階氏の母親は女子医大出身の医師だったという。

人件費を削られる医療スタッフにも生活がある

「いま医療機関は、どこも人件費を削らないと経営できない状況になっています。でも、職員たちにも生活があるわけです。高校生や大学生の子どもには学費、親の介護。住宅ローンがあれば、ボーナス期にたくさん支払いがあるわけで、本当に切実な問題なのです」(組合員の医師・関口麻理子氏)

「新型コロナで、職員は大変な思いをしてきたから、ボーナスを出すのは当然のことだと思っています。国は診療所に対して1人当たり5万円の慰労金を出すそうですが、私たちに必要なのは、1回きりの慰労金ではなく、持続可能なシステムにするための抜本的な診療報酬の見直しです」(坂根院長)

厚生労働省は医療費の削減に躍起だが、相次ぐ診療報酬の切り下げで、医療機関はどこもギリギリの経営を続けてきた。

新型コロナの「第2波」で、とどめを刺されて経営破綻する医療機関が続出する可能性も出てきた。欧米で起きた医療崩壊は、すぐそこに迫っている。】一部抜粋