産経は 「高裁の迷走」??と言い、読売は 「高度で最新の科学的、技術的知見に基づいた行政側の審査結果」を、司法は尊重すべき??と・・

しかし、不十分な安全審査で合格し再稼働、
それでもし、想定外?の原発事故おこしたなら、「あんた責任とれますか?

 大分合同新聞より
四国電と規制委を指弾、重い2度目の高裁判断 伊方原発運転禁止
【◆解説◆
地震対策の見直しを厳しく迫った。伊方原発3号機の運転を再び禁じた広島高裁決定は、四国電力が「ない」と繰り返してきた原発近くの活断層が存在する可能性に言及。十分な調査がないまま再稼働を認めた原子力規制委員会の判断は誤りだと指弾した。

 四国電は東京電力福島第1原発事故を踏まえた地震対策で、伊方原発から約8キロ北の伊予灘を通る国内最大級の「中央構造線断層帯」を重視してきた。規制委も追認、2016年8月に3号機が動きだした。

 原発が立地する佐田岬半島の沿岸部は、同断層帯と並行する形で、地質境界の断層である中央構造線が存在している。住民側は小松正幸・元愛媛大学長(地質学)らの説を基に、原発の約600メートル沖を通る中央構造線の方が活断層の「本体」で、約8キロ沖の断層帯は付随的にできたものにすぎないと強調。森一岳裁判長はこの主張を「否定できない」とした。

 高裁は阿蘇山(熊本県)の噴火に対する四国電の想定が過小で、それを「問題ない」とした規制委の判断は不合理とも認定した。17年12月に出した前回の運転差し止め決定と同様、噴火時期や規模の予測が困難な火山に対する安全対策を強く求めた格好だ。
 対岸の住民の訴えを認めた2度目の高裁判断は重い。大分など各地の原発裁判にも影響を与える可能性がある。】

産経ニュース【主張】伊方原発停止 高裁の迷走が止まらない
【司法の見識が疑われる決定である。

 広島高裁が仮処分で四国電力・伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の運転停止を命じた。

 伊方3号機に関する広島高裁の仮処分の判断は、この約2年のうちに運転が1回、停止が2回となった。裁判長が異なるとはいえ、高裁としての定見の欠如ぶりは、看過できない迷走状態だ。

 伊方3号機は、福島事故で国内の全原発が停止した後、平成28年夏に国内で4番目に再稼働を果たした原発である。】一部抜粋

 読売新聞・社説
伊方差し止め 司法はどこまで判断するのか
【原子力発電所の安全性を巡り、裁判官が独自の解釈と判断で、結論を導いた印象は拭えない。

 広島高裁が、愛媛県の四国電力伊方原発3号機の運転を差し止める仮処分を決定した。山口県の住民の申し立てを却下して運転を認めた山口地裁岩国支部の決定を覆した。四国電力は不服を申し立てる方針だ。

 3号機は定期検査のため停止中で、4月に営業運転を再開する予定だった。仮処分は直ちに効力が生じるため、今後の司法手続きで決定が変わらなければ、再稼働できない。電力の安定供給の観点から影響は深刻だと言える。

 ポイントの一つは、伊方原発の近くに活断層が存在するかどうか、という問題だった。

 高裁は、四国電力が十分調査しないまま存在しないと判断したと認定し、原子力規制委員会の安全審査についても「過誤ないし欠落があった」と批判した。

 だが、調査の妥当性については、専門家の間でも肯定する意見があった。そもそも、規制委の審査は厳格で長期にわたり、世界的にも高水準の安全性の確保を原発に要請している。伊方原発はこの審査に合格していた。

 原発の安全審査に関しては、高度で最新の科学的、技術的知見に基づいた行政側の審査結果を尊重する司法判断が、これまで積み重ねられてきた。今回の高裁決定は、こうした枠組みからはみ出すものと言わざるを得ない。

 もう一つの争点だった火山の噴火の影響について、高裁は四国電力の想定が過小と断じた。伊方原発から約130キロ離れた熊本県の阿蘇山で、大規模噴火が起きた場合の火山灰の噴出量を、少なく見積もりすぎているとの指摘だ。

 しかし、大規模噴火の発生頻度は著しく低く、噴出量を正確に予想することは極めて難しい。規制委は四国電力の想定を合理的なものだと是認していた。

 高裁の判断には、「ゼロリスク」を求める姿勢がうかがえる。

 近年、各地の原発の運転差し止めを求める仮処分申請が相次いでいる。2017年には、伊方3号機を巡る別の仮処分手続きで、広島高裁が運転を差し止め、その後、高裁の保全異議審で、差し止めが取り消された。

 迅速な審理が要求される仮処分の手続きでは、通常の訴訟よりも限定的な証拠で判断される。こうした特徴を踏まえ】

 中国新聞・社説
伊方原発の運転禁止 安全性、根本から見直せ
【原発再稼働を認めた原子力規制委員会の判断は、誤りで不合理―。司法から極めて厳しい評価が下されたと言えよう。

 広島高裁がきのう、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を認めない決定をした。50キロ圏内に住む山口県東部の住民3人が申し立てた仮処分の即時抗告審である。

 争点になった地震の揺れの想定と火山の噴火リスクについて、広島高裁はいずれも規制委の判断に誤りや不合理な点があるとした。再稼働の可否を事実上決める現行の審査は本当に適切に行われているのか。疑いの目を向けざるを得ない。

 ましてや伊方原発は、過去にも広島高裁が運転を禁じる仮処分を受けている。後に仮処分は覆っているが、司法判断が割れている事実は見過ごせない。政府はいったん立ち止まり、原発を推し進める政策を問い直すべきである。

 今回の争点は主に二つあった。まず伊方原発の敷地近くを通る中央構造線断層帯が活断層か否かである。

 広島高裁は、四国電力は断層帯の調査が不十分なのに再稼働を申請したと指摘した。それに異を唱えなかった規制委の判断も「過程に過誤ないし欠落があったといわざるを得ない」と厳しく言及した。

 もう一つは、熊本県・阿蘇山の噴火リスクだ。2017年12月の運転を禁じる決定でも主な要因になった。

 広島高裁は、考慮すべき噴火規模を四国電力が過小に見積もっていると問題視した。再稼働を認めた規制委の判断も「不合理」と結論付けた。

 いずれも、四国電力の調査や規制委の判断を「甘い」と言っているのに等しい。

 政府はこれまで、規制委の審査を「世界最高水準」と自賛してきた。立地自治体もそう受け止め、再稼働を認めた。しかしチェック機能が十分働いていないのなら再稼働の正当性は揺らぐ。規制委の存在意義も問われかねない。

 伊方3号機は先月から定期検査のため停止中だった。3月末の運転再開を目指していたが、山口地裁岩国支部で係争中の差し止め訴訟の判決が言い渡されるまで動かすことはできなくなった。四国電力は不服申し立てをして、仮処分の取り消しを求めていくようだ。

 日本世論調査会の昨年2月の調査では、東京電力福島第1原発事故のような深刻な事故が再び起きる可能性について86%が「心配が残る」と答えている。

 そんな国民の不安をきちんと受け止める気があるなら、今求められているのは原発の再稼働を急ぐことではないだろう。

 四国電力は仮処分の取り消しを求めるより先に、高裁の指摘を踏まえて活断層や噴火のリスクを十分に調査すべきだ。

 規制委は、中国電力島根原発2号機(松江市)などの再稼働に向けた審査を進めている。政府も安全・安心を最優先に考えるのなら、審査をもっと厳格にする必要があろう。

 伊方原発は、広島市の南西約100キロにある。もし放射性物質が外部に放出される重大事故が起きれば、広島、山口県内にも帰還困難区域が生じる恐れがある。瀬戸内海も汚染される。私たちも強い関心を持って、今後の動きを注視したい。】

 毎日新聞・社説
伊方原発再び差し止め 安全審査への重い警告だ
【司法の場で同じ原発に対して2度にわたって運転差し止めの決定が下された。重く受け止めなければならない。

 広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転差し止めを命じる仮処分決定を出した。

 今回の決定は、伊方原発沖の近くを通る断層「中央構造線」は活断層である可能性が否定できないとして、地元住民への具体的な危険があると認めた。

 活断層の有無に関する四電の調査に関しては不十分だと指摘した。その上で、政府の原子力規制委員会が安全審査にあたって「問題ない」と判断したことについても「過誤か欠落があった」と断じた。

 2017年12月に出された広島高裁の決定は、阿蘇山(熊本県)が噴火した場合、火砕流が敷地に達する可能性があるため立地として不適だと差し止めを命じた。その決定はその後、四電の異議で取り消されたが、今回の決定は、噴火の影響を四電が過小評価したと結論づけた。

 伊方原発3号機は現在、定期検査で停止中だ。4月27日からの営業運転を計画していたが、今回の決定は、山口地裁岩国支部で係争中の運転差し止め訴訟の判決が出るまで運転停止とした。

 もともと伊方原発は、他の原発に比べても、安全面で大きな問題を抱えている。東西約40キロ、最小幅約800メートルの細長い佐田岬半島の付け根に立地している。このため事故が発生すれば、半島の住民は逃げ道を塞がれかねず、避難できるかどうかが不安視されている。

 活断層の問題は今回争点になった伊方原発沖近くだけではない。沖合約6~8キロには国内最大級の活断層が走っている。今後30年の間には南海トラフ巨大地震が高い確率で発生すると想定されており、発生時の影響が懸念されている。

 それだけに、伊方原発を巡って四電だけでなく、規制委に対しても安全審査の厳格化を求めた高裁の姿勢は理解できる。規制委はこの決定を軽視してはならない。

 国内では6基の原発が稼働中で、12基が新規制基準の適合審査中だ。東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、原発の安全対策には万全を期す必要がある。】