本人が了解しない?事を盾に、最稼動の妨げになる真相を闇に葬りたい、
安倍自民党・原子力ムラ。

撤退問題でクローズアップされた「吉田調書」だけでなく、原発事故の本質を知るために、
すべてを包み隠さず全面公開すべきでは?

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 毎日新聞・社説
原発事故調書 教訓のため全面公開を
【福島第1原発の過酷事故はどうして起きたのか。これを調査・検証する国会や政府の事故調査委員会は多数の人から話を聞いた。その数は政府事故調で772人、聴取時間1479時間、国会事故調では1167人、900時間を超える。

 これらの調書は、事故対応を検証し、今後の事故防止に役立てるための、きわめて貴重な資料である。限られた人のものではなく、国民のものであり、国際的にも重要だ。

 ところが、これらの記録は一部が報告書に使われたり、公開されたりしたものの、残る膨大な資料は公開されずに眠っている。個人の責任を問わないなどの理由で非公開が前提だったとされるが、事故当時、福島第1原発の所長だった吉田昌郎氏(故人)のヒアリング資料「吉田調書」の中身が報道されたことをきっかけに、政府事故調の調書を公開する動きが進んできた。

 政府は近く、吉田調書に加え、本人の了解が得られた調書を公開するという。貴重な資料を眠らせているのは宝の持ち腐れだ。当事者の言葉そのものを多様な専門家が精査することによって、事故原因や危機管理について、新たに学べることがあるはずだ。この動きを国会事故調の資料も含めたすべての情報の公開につなげたい。

 吉田調書をめぐっては、今年5月に朝日新聞が「所員の9割が吉田氏の待機命令に違反し、福島第2原発に撤退した」と報じたことが議論を呼んでいる。吉田氏は調書の中で、第2原発退避は当初の意図とは違うが結果的に正しかった、との判断を示している。調書の一部を強調した朝日の報道が誤解を広め、冷静な議論が妨げられた可能性がある。

ただ、問題の本質は、混乱する現場で指示がうまく伝わらない場合があるということであり、ここから指揮命令系統のあり方について教訓を引き出すことこそが大事ではないだろうか。過酷事故が起きた時に誰をどこに避難させ、誰が現場に残るかを、想定しておくことの重要性も教訓のひとつだ。

 危機的状況にある現場を支援する能力が官邸や東電本店にまったく欠けていたことも調書から改めて浮かぶ。原発の再稼働を進めようとしている政府や電力会社は、こうした本質的な課題が解決されているのか、しっかりチェックすることが不可欠だ。

 吉田調書は全体像を知るためのひとつの断片であることも忘れてはならない。大事なのは、多くの人の証言や資料を突き合わせ、実際に起きたことを細かく再現することだ。そのためにも、当事者の了解を得る努力をし、事故調の資料全体を一刻も早く公開すべきだ。】