「私が目指していた地球物理学者への道をあきらめて新聞記者への道を選んだ理由は、子供時代の戦争体験だった。「戦争は二度とごめんだ」との思いから、日本があの戦争に突入したのはジャーナリズムがしっかりしていなかったからだと知って、ジャーナリストに転身したわけである。」

 これは、『原子力報道 5つの失敗を検証する』の作者の言葉

 ジャーナリズムは、あの戦争を止められなかった。否、寧ろ『大本営発表』を無反省に垂れ流し、
戦争を推進する側に回った。

 原発・原子力についても、幻の『原発安全神話』を浸透させ、自ら進んで?国民を洗脳し、
原子力ムラの一翼を担った。

 その意味で、国、電力会社、御用学者と共に、ジャーナリズムも、福島原発事故の共犯者?と言える。

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       “果てしなき無責任” (「ETV特集」作者前口上)
       
 版元ドットコムより
原子力報道 5つの失敗を検証する
【紹介
元朝日新聞社会部・科学部記者の目を通して、日本の原子力報道のあり方を深く検証した読み物。これまでの原子力報道は失敗の連続であったということを、5つの失敗という軸を立ててわかりやすく解説する。また、福島原発事故結果を検証するための4つの事故調査委員会報告を比較し、今後の原子力のあり方を提言する。

目次
第1章 呪われた出生
 1 ヒロシマ・ナガサキ
 2 原爆が開発されるまでの各国の動き
 3 占領下、原子力報道の「空白期間」
 4 封印された「原爆報告書」
 5 アサヒグラフ「原爆特集号」の衝撃!
第2章 原子力開発の幕開け
 1 突然の原子力予算計上でスタート
 2 第五福竜丸事件と同時スタート
 3 政界・学界の動きと米国の思惑
 4 草創期に世論をリードした二人の新聞人
 5 「新聞は世界平和の原子力」が新聞週間の標語に
第3章 バラ色一色の一九五〇~六〇年代
 1 広がる原子力ブーム、産業界や大学も…
 2 新聞社・テレビ局に科学報道部、科学記者の誕生
 3 東海村のアトム記者たち
 4 日本の原発の主流は米国製の軽水炉に
 5 原子力の特異性を強調しなかったメディア―第1の失敗
第4章 反対派が登場した一九七〇年代
 1 きっかけはアポロ、公害・環境問題から
 2 広がる反対運動、原発は「トイレなきマンション!」
 3 「安全神話」の誕生、歪んだ原子力開発
 4 推進側より反対派に厳しかったメディア―第2の失敗
 5 メディア社内に「奇妙な分業」が…
 6 核兵器との「切っても切れない縁」
第5章 米国スリーマイル島事故、ソ連チェルノブイリ事故
 1 やはり事故は起こった!日本の安全論議を直撃
 2 メディアも姿勢を変えた!
 3 敦賀原発事故報道がもたらしたもの
 4 史上最悪のチェルノブイリ事故、世論も逆転
第6章 揺れ動く国民の意識
 1 国民世論と原子力政策との乖離
 2 相次ぐ事故隠し・トラブル隠し
 3 メディアの原発批判は「原子力ムラ」には届かず空振りに―第3の失敗
第7章 東海村JCO事故と省庁再編
 1 一九九〇年代の世論の揺れ戻し
 2 「まさか」「まさか」「まさか」のJCO事故!
 3 原子力安全・保安院の誕生、原子力安全委員会の棚上げ
 4 原子力行政をチェックできなかったメディア―第4の失敗
第8章 福島原発で重大事故が起こる
 1 地震も津波も「想定外」ではなかった
 2 福島原発事故は一〇〇%人災だ!
 3 「何が起こったのか」に肉薄しなかったメディア、発表依存に―第5の失敗
 4 誰が事故処理の指揮をとっているのか
 5 「現場」に行かないメディアとは
第9章 四つの事故調の結果を再検証する
 1 動き出した四つの事故調
 2 四つの事故調から明らかになったこと・ならなかったこと
 3 四つの事故調の結果をみて私の抱いた疑問点その1
 4 四つの事故調の結果をみて私の抱いた疑問点その2
第10章 これから原発をどうするか
 1 各国はどう動く、二極分化の様相
 2 日本はこれからどうする?
 3 新聞論調も二極分化?
 4 最終的な決着は国民投票で?
おわりに 報道にはいつも検証が必要だ!】