原発で働くよりも除染作業で働いたほうが高い、3か月ほどで被ばく線量の限度に・・

 東京電力のコスト削減に伴う競争入札の拡大、除染、廃炉、損害賠償の原資をどう確保して行くのか?

 原発事故の責任を曖昧にしたままでは、事故収束、廃炉に必要な人材確保も、費用の確保も不透明。

 やはり東電は法的整理をし、その後の東電の尻拭いは国がしなければ、事故収束も除染や損害賠償も滞ってしまう、廃炉への遠い道程も、東電一社では辿り着けないだろう。

 NHK「クローズアップ現代」
原発作業員が去っていく 福島第一原発“廃炉”の現実
【史上最悪レベルの事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所。廃炉を終えるまでには40年もの歳月が必要とされている。

 いま、この現場で働く作業員をめぐって深刻な事態が起きている。国や企業の定める放射線の被ばく限度に近づき、仕事を続けられなくなるケースが続出。待遇の悪化で原発を去る作業員も相次いでいる。国家的な課題「廃炉」を担う人材をどう確保していくのか。現場の実態を検証し、考える。】

【志賀さん
「全面マスクして線量の高い場所に行く時は、マスクをしながら走らなきゃいうけなかったり、慣れていないうちはちょっと厳しい。
こんなので作業できるのかなって感じで。
実質、夏場30分、1時間やったら、休憩しないと倒れるんじゃないかなって。」

志賀さんの周りではこの半年で、10人近くが福島第一原発の仕事を辞めました。
志賀さん自身いつまで、この仕事を続けるか迷っているといいます。

原発を去る作業員が相次いでいるのは、なぜなのか。
その原因の1つが依然として高い放射線量です。

現場責任者
「今日、被ばくはいくつ?」

作業員
「0.02(ミリシーベルト)です。」

会社では、作業員の1日の被ばく量をすべて記録し、確認しています。
福島第一原発で被ばくする量は今でも他の原発での作業に比べ、平均で10倍近くになっています。
国は作業員に対し1年間で、50ミリシーベルト5年間で、100ミリシーベルトという被ばく量の上限を設けています。
これを超えると原発で働くことはできません。
この会社では20人いた作業員のうち、被ばく量の上限に近づいた2人を福島第一原発の仕事から外すしかありませんでした。
残された作業員も、被ばく量は日々上限に迫っています。

作業員が原発を去るもう1つの原因が待遇の悪化です。
関西出身の40代の男性です。
去年(2011年)の秋から下請け企業の社員として福島第一原発で働いてきました。
週5日の仕事で、当初月給は手取りで、およそ25万円。
しかし、その後5万円減り20万円程度になりました。
さらに、今年8月、会社から宿舎の旅館を出て行くとともに食費も自己負担するよう求められました。

この待遇では被ばくのリスクを背負ってまで働くことはできない。
男性は、今年9月同僚10人と共に仕事を辞めました。

放射線量が高い現場では3か月ほどで被ばく線量の限度に近づいて原発を離れるケースもあります。
そして最近、理由として増えているのが待遇の悪化です。
VTRで紹介した男性は例外ではなく、地元のハローワークの求人票を見ても1日の給料が1万円前後。
月に直して20万円前後というものも、多く出されていました。

●作業員はどんな思いでいるのか
作業員は地元・福島県出身の方が多く、自分たちの作業が地域を守っているという気持ちに支えられています。
厳しい環境で仕事をしていますがその支えが失われてきているという声が今、出ています。
例えば、国が直接行う福島県の除染の作業では、日当に加え、国が金額を定めた1日1万円の手当が出るようになっています。
その結果、原発で働くよりも除染作業で働いたほうが高くなるというケースも出てきているんです。
高い線量の中、働く原発の作業員からはなぜ、待遇に差が出るのかという不満の声も出ています。】一部抜粋