彼らは地震予知に失敗したから訴えられたのではない、彼らの出した安易な『安全宣言』により、
安心して避難が遅れた市民が、大勢犠牲になったことに対して罪を問われ、禁錮4年が求刑されたのだ。

 福島原発事故に対する偽りの『収束宣言』、大飯原発の対する安易な『安全宣言』・・
もし何かあれば、イタリアならば、野田総理らは牢獄に繋がれることになる。

 幻の『原発安全神話』を捏造し、福島原発事故を起こした、原子力ムラ所属の電力会社、
財界人、政治家、官僚、学者、マスコミ関係者も、もちろん投獄されることにだろう。

 さらに、根拠のない『低線量安全神話』で被ばく被害を拡大させているすべての関係者も、
数年後に被害が確認された時点で、告発され有罪判決を受けることになるだろう。

 しかし残念ながら、法治国家ではない?日本では、彼らの罪を罰することは容易ではない。

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訴えられた科学者たち ~イタリア地震予知の波紋~
【NHK ドキュメンタリーWAVE 2012.10.27。

イタリアで<地震予知>を巡って、科学者と行政官が『過失致死』容疑で震災被害者に刑事告訴された。

2009年4月、イタリア中部の都市ラクイラでマグニチュード6.3の大地震が発生、309人が死亡、2万棟を超える建物が崩壊した。ラクイラではこの数か月前から400回を超す群発地震が頻発し、人々の間で「大きな地震が来るのでは?」という不安が広がっていた。

しかし、パニックと風評被害を恐れる市は、行政官と科学者で構成される「災害対策委員会」を開催、事実上の『安全宣言』を出した。

その6日後に本震が起こり、甚大な被害が発生したのだ。

市民たちは、市が『安全宣言』を出さなければ、危険を回避できたと、刑事告発に踏み切った。

これに対し、科学者からは不確実な未来を予見し、罪に問われれば、科学者は何も発言できないと、反発が広がっている。災害対策委員会が安全宣言を出すまでの議論をもとに、災害の予知情報をどう伝えるべきか、検証する。】

(テキスト起こし)訴えられた科学者たち ~イタリア・地震予知の波紋~
【1】ラクイラ2009年地震の経緯
・2009年3月 400回以上の小有感地震.揺れは徐々に大きくなってくる.地元紙には毎日のように地震発生状況が掲載されるなど.社会不安が高まる
・3/30 M4クラスが発生
・3/31 政府(国家市民保護局)が,最高権威とされる地震学者7名を中心とする災害対策委員会を招集,会議後に安全宣言
・4/6 03時頃,M6クラスの本震が発生.家屋倒壊で死者約300名以上

*ラクイラとはイタリア中央部の観光都市,ローマから車で90分程度
*国家市民保護局とは政府機関で,災害抑止や災害対策を担う

【2】裁判の概要
危険性を判断する義務を怠ったとして,複数の被災者が過失致死罪で刑事告訴(最高15年懲役).
訴えられたのは地震学者5名(7名?),行政官2名(国家市民保護局の副長官を含む).
2011年秋に公判開始,現在も審理中だが,裁判には世界の多くの地震学者が反対してる.
今秋に判決予定(10月23日までに).

【3】安全宣言が出された背景
大地震の危険を主張する研究者ジュリアーニ(おそらく民間研究者)がいた.
彼はラドン濃度変化を元に大地震が起きる可能性を警告,市民の不安が高まっていた.
これに対して行政は,ジュリアーニに対して再三にわたり自粛要請を行ったが,彼は無視した.
そして3/31,国家市民保護局は「群発地震は大地震の前兆ではない」「大地震は起きない」と安全宣言を出す.
これと同時に,ジュリアーニを「騒乱罪」で告訴.

【4】安全宣言の結果
4/6の本震の夜も,深夜に大きめの地震が立て続けに起きた.
実は,ラクイラは昔から地震多発地域で「揺れたら家に帰るな」との言い伝えがあった.
しかし,災害対策委員会が6日前の安全宣言で,大地震の可能性を排除した.
避難を考えていた住民も,安全宣言を信じて家にとどまった.
その結果,石造りの建物が倒壊し,発生が03時という未明の時間帯だったことから,大量の圧死者を出した.
安全宣言が被害を拡大させた.

【5】災害対策委員会で安全宣言が出された経緯
当初,議事録は存在しないとされた.かわりに,僅か2ページのメモが証拠採用.学者発言は次の通り:
 「再来周期は2000年以上だが直近は18世紀.大地震発生は3/1000ぐらいの確率」
 「確約できないが,群発が必ずしも大地震にはつながらない」
 「たび重なる地震でエネルギーが解放されているので,むしろ好ましい」
 =この最後の発言の存在は,裁判で学者は否定.しかし,行政官は「誰も否定しなかったじゃないか」と反論.
会議は僅か1時間で終了.
しかし,テレビ新聞では「安全宣言=大地震は起きない」と大々的に報道された.】 一部抜粋