米東部に上陸したハリケーン「サンディ」の猛威は止まる所を知らず、米株式市場は休場、製油施設も閉鎖、原発も緊急停止、大統領選挙にさえ影響を及ぼしている。
関連記事 ハリケーン米東部を直撃、死者も 株式市場は閉鎖
ロイターJAPPANより
米エクセロン、NJ州オイスタークリーク原発に警報発令
【米原子力規制委員会(NRC)によると、ハリケーン「サンディ」の影響で付近の水位が上昇していることから、米発電大手エクセロン(EXC.N: 株価, 企業情報, レポート)は29日、ニュージャージー州のオイスタークリーク原子力発電所(615メガワット級)に警報を発令した。
警報は、NRCが定める4段階の緊急事態の中では下から2番目の深刻度となる。
同原発については元々、燃料交換のために運転を停止している。NRCスポークスマンは水位上昇がこのまま続き、原子炉のサービス水ポンプに影響が及ぶ事態となった場合は、必要に応じて消防ホースからの水を使って使用済み燃料プールの冷却を行うとしている。
NRCスポークスマンはまた、米電力大手コンステレーション・ニュークリア・エナジー・グループが29日、ニューヨーク州にあるナインマイル・ワン原発(630MW)の運転を停止したと発表した。
グリッドへの電力供給に不具合が生じたことが理由と説明したが、サンディとの関連があるかどうかは明らかにしなかった。】
ハリケーン「サンディ」米東部に上陸、金融・政府の機能マヒ 経済損失200億ドルも
【◎「サンディ」、ニュージャージー州南部に上陸。300万以上の世帯が停電
◎「サンディ」、米本土に上陸するハリケーンとしては最大規模の可能性
◎予想される進路上にニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントン
◎米株式市場、29日に続き30日も休場
◎経済損失は200億ドルとの試算も
◎オバマ氏とロムニー氏ともに遊説取りやめ
◎東部の原発も停止へ
[ニューヨーク/レホーボスビーチ(デラウェア州) 30日 ロイター] 米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、巨大ハリケーン「サンディ」は29日夜(日本時間30日午前)、ニュージャージー州南部の大西洋岸に上陸した。
ニュージャージー州アトランティックシティの南西約10キロ地点を進んでいるとみられる。大西洋沿岸(米東岸)一帯で強い風と高波が、内陸部には大雪が予想されている。
NHCによると、サンディは上陸前にいわゆる温帯低気圧となったが、最大風速は毎時129キロと、なお強い勢力を保っている。
すでに、公共交通機関が止まり、水害が予想される地域には避難命令が出た。世界の金融の中心であるニューヨークも取引所の取引が中止されるなどマヒ状態。投票が間近に迫った大統領選挙活動にも影響が出ている。
報道によると、ニューヨーク市内は広範な地域で冠水しており、警察は市内で少なくとも2人の死亡を確認。カナダのトロントでも死者が報告されている。
停電も起きている。29日夕時点で約300万以上の世帯が停電。100万人以上に避難勧告が出ている。
ニューヨークの電力会社コンソリデーテッド・エジソンによると、市内では「記録的な大停電」が発生。58万8000世帯が停電している。マンハッタンでも25万人が停電の影響を受けているという。
フィラデルフィアでも、43万6000世帯以上で停電が起きている。
ある災害予測会社は、「サンディ」による経済損失が200億ドルに達すると試算した。保険でカバーされるのは、その半分という。
米株式市場は29日に続き30日も取引中止される。取引が中止されるのは、2001年9月11日の同時多発攻撃以来。ワシントンの政府機関は30日も閉鎖される。東海岸の学校は休校となっている。
気象観測機関はサンディが米本土を直撃したハリケーンとして最大規模となる可能性があると指摘した。
<株式市場休場、NY連銀はオペ延期>
サンディの接近を受け、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、ナスダック(米店頭株取引)は29日の取引を中止。債券市場は半日取引となった。
NYSEを運営するNYSEユーロネクスト、ナスダック市場を運営するナスダックOMXグループ(NDAQ.O: 株価, 企業情報, レポート)はともに30日も取引を中止すると発表した。
米証券業金融市場協会(SIFMA)も、30日のドル建て債券市場取引の終日中止を勧告した。
NYSEユーロネクストとナスダックOMXは、状況が許せば31日に取引を再開する方針を示した。債券取引も31日再開が期待されている。
31日は月末で、トレーダーがポートフォリオの価値評価をする重要な日。市場関係者の間では、ハリケーンによる公共交通機関や電力などライフラインへの影響が予想できないため、31日に市場が開くかどうかが不安視されている。
ニューヨーク連銀は、多くの米金融市場が休場となっていることを受け、30日に予定している国債買い入れオペを延期すると発表した。
30日は、2036年2月から2042年8月までに償還を迎える国債、17億5000万─22億5000万ドルを買い入れるオペを実施する予定だった。
NY連銀は、国債の売却・買い入れオペは31日には再開されるとの見通しを示している。
労働省は、10月の米雇用統計を予定通り11月2日に発表する方針としている。
<製油施設も閉鎖>
サンディの影響で、米東海岸の製油施設、パイプライン、主要な港湾の3分の2が閉鎖に追い込まれた。
東海岸とメキシコ湾岸を結ぶコロニアルパイプラインでは、フィラデルフィア─ニューヨーク市間の主線が29日夕方までに閉鎖される。
この地域の燃料需要の最大15%分の供給が止まることになる。
地域の製油施設は70%近くが閉鎖する方向。
<大統領選挙活動にも影響>
オバマ大統領は、ハリケーン対応にあたるため、30日に予定していたウィスコンシン州での遊説を取り止めた。
ホワイトハウスは声明で「大統領は30日、ワシントンにとどまり、ハリケーン『サンディ』の影響を注視しつつ対応する」とした。
ロムニー共和党候補も、30日に予定していたアイオワ、フロリダ両州での遊説を取り止めると発表した。
両候補の遊説地はサンディの予測進路からは外れているが、オバマ大統領が「サンディ」への対応に注力することを理由に遊説を中止していることもあり、選挙運動を継続することで国民に「無神経」との印象を与えることを避けたい考えとみられる。
<原発停止へ>
「サンディ」の上陸が予想されるニュージャージー州では、PSEGの原子力発電所少なくとも2基が停止される見込み。
PSEGの広報は、現地の風速や川の水位が一定水準を超えた場合、2基の原発を止める方針と述べた。
米原子力規制委員会(NRC)による、コネチカット州にあるドミニオン・リソーシズの原発も稼働率を落としている。】
関連記事 ハリケーン米東部を直撃、死者も 株式市場は閉鎖
ロイターJAPPANより
米エクセロン、NJ州オイスタークリーク原発に警報発令
【米原子力規制委員会(NRC)によると、ハリケーン「サンディ」の影響で付近の水位が上昇していることから、米発電大手エクセロン(EXC.N: 株価, 企業情報, レポート)は29日、ニュージャージー州のオイスタークリーク原子力発電所(615メガワット級)に警報を発令した。
警報は、NRCが定める4段階の緊急事態の中では下から2番目の深刻度となる。
同原発については元々、燃料交換のために運転を停止している。NRCスポークスマンは水位上昇がこのまま続き、原子炉のサービス水ポンプに影響が及ぶ事態となった場合は、必要に応じて消防ホースからの水を使って使用済み燃料プールの冷却を行うとしている。
NRCスポークスマンはまた、米電力大手コンステレーション・ニュークリア・エナジー・グループが29日、ニューヨーク州にあるナインマイル・ワン原発(630MW)の運転を停止したと発表した。
グリッドへの電力供給に不具合が生じたことが理由と説明したが、サンディとの関連があるかどうかは明らかにしなかった。】
ハリケーン「サンディ」米東部に上陸、金融・政府の機能マヒ 経済損失200億ドルも
【◎「サンディ」、ニュージャージー州南部に上陸。300万以上の世帯が停電
◎「サンディ」、米本土に上陸するハリケーンとしては最大規模の可能性
◎予想される進路上にニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントン
◎米株式市場、29日に続き30日も休場
◎経済損失は200億ドルとの試算も
◎オバマ氏とロムニー氏ともに遊説取りやめ
◎東部の原発も停止へ
[ニューヨーク/レホーボスビーチ(デラウェア州) 30日 ロイター] 米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、巨大ハリケーン「サンディ」は29日夜(日本時間30日午前)、ニュージャージー州南部の大西洋岸に上陸した。
ニュージャージー州アトランティックシティの南西約10キロ地点を進んでいるとみられる。大西洋沿岸(米東岸)一帯で強い風と高波が、内陸部には大雪が予想されている。
NHCによると、サンディは上陸前にいわゆる温帯低気圧となったが、最大風速は毎時129キロと、なお強い勢力を保っている。
すでに、公共交通機関が止まり、水害が予想される地域には避難命令が出た。世界の金融の中心であるニューヨークも取引所の取引が中止されるなどマヒ状態。投票が間近に迫った大統領選挙活動にも影響が出ている。
報道によると、ニューヨーク市内は広範な地域で冠水しており、警察は市内で少なくとも2人の死亡を確認。カナダのトロントでも死者が報告されている。
停電も起きている。29日夕時点で約300万以上の世帯が停電。100万人以上に避難勧告が出ている。
ニューヨークの電力会社コンソリデーテッド・エジソンによると、市内では「記録的な大停電」が発生。58万8000世帯が停電している。マンハッタンでも25万人が停電の影響を受けているという。
フィラデルフィアでも、43万6000世帯以上で停電が起きている。
ある災害予測会社は、「サンディ」による経済損失が200億ドルに達すると試算した。保険でカバーされるのは、その半分という。
米株式市場は29日に続き30日も取引中止される。取引が中止されるのは、2001年9月11日の同時多発攻撃以来。ワシントンの政府機関は30日も閉鎖される。東海岸の学校は休校となっている。
気象観測機関はサンディが米本土を直撃したハリケーンとして最大規模となる可能性があると指摘した。
<株式市場休場、NY連銀はオペ延期>
サンディの接近を受け、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、ナスダック(米店頭株取引)は29日の取引を中止。債券市場は半日取引となった。
NYSEを運営するNYSEユーロネクスト、ナスダック市場を運営するナスダックOMXグループ(NDAQ.O: 株価, 企業情報, レポート)はともに30日も取引を中止すると発表した。
米証券業金融市場協会(SIFMA)も、30日のドル建て債券市場取引の終日中止を勧告した。
NYSEユーロネクストとナスダックOMXは、状況が許せば31日に取引を再開する方針を示した。債券取引も31日再開が期待されている。
31日は月末で、トレーダーがポートフォリオの価値評価をする重要な日。市場関係者の間では、ハリケーンによる公共交通機関や電力などライフラインへの影響が予想できないため、31日に市場が開くかどうかが不安視されている。
ニューヨーク連銀は、多くの米金融市場が休場となっていることを受け、30日に予定している国債買い入れオペを延期すると発表した。
30日は、2036年2月から2042年8月までに償還を迎える国債、17億5000万─22億5000万ドルを買い入れるオペを実施する予定だった。
NY連銀は、国債の売却・買い入れオペは31日には再開されるとの見通しを示している。
労働省は、10月の米雇用統計を予定通り11月2日に発表する方針としている。
<製油施設も閉鎖>
サンディの影響で、米東海岸の製油施設、パイプライン、主要な港湾の3分の2が閉鎖に追い込まれた。
東海岸とメキシコ湾岸を結ぶコロニアルパイプラインでは、フィラデルフィア─ニューヨーク市間の主線が29日夕方までに閉鎖される。
この地域の燃料需要の最大15%分の供給が止まることになる。
地域の製油施設は70%近くが閉鎖する方向。
<大統領選挙活動にも影響>
オバマ大統領は、ハリケーン対応にあたるため、30日に予定していたウィスコンシン州での遊説を取り止めた。
ホワイトハウスは声明で「大統領は30日、ワシントンにとどまり、ハリケーン『サンディ』の影響を注視しつつ対応する」とした。
ロムニー共和党候補も、30日に予定していたアイオワ、フロリダ両州での遊説を取り止めると発表した。
両候補の遊説地はサンディの予測進路からは外れているが、オバマ大統領が「サンディ」への対応に注力することを理由に遊説を中止していることもあり、選挙運動を継続することで国民に「無神経」との印象を与えることを避けたい考えとみられる。
<原発停止へ>
「サンディ」の上陸が予想されるニュージャージー州では、PSEGの原子力発電所少なくとも2基が停止される見込み。
PSEGの広報は、現地の風速や川の水位が一定水準を超えた場合、2基の原発を止める方針と述べた。
米原子力規制委員会(NRC)による、コネチカット州にあるドミニオン・リソーシズの原発も稼働率を落としている。】