格納容器を満水にすれば、中の圧力容器を減圧しなくても原子炉ごと冷やせる!?
格納容器の圧力はそれほど高くありませんから、消防車のポンプからでも簡単に注水できる。
圧力容器に入れようとするからベント(減圧)も必要になり苦労する。なるほど、理に適った説明ですね。
他にも、普通のパソコンで、SPEEDIの計算も、全国すべての原発の事故シュミレーションまで出来る「PBS」(プラント解析システム:Plant Behavior System)とか、驚愕の事実が満載、じっくりお読みください。
JBPRESSより
巨額の予算が水泡に帰した事故対策システム原子力防災技術者が語る福島原発事故の深層(その1)
【「放置したとしたらそうなりますね。だけど、いろんな条件で計算したのですが、最終的には何でもいいから水を放り込むんです。そうすると反応を止められる。すると格納容器が破損する前に止められて、格納容器の外に地下水があるんだけど、そっちまでは、まず行くことはない」
──「水なら何でもいい」とおっしゃるのは、海水でもいいからということですね?
「そうです」
──川の水を引こうが海の水を引こうが、ぶち込んで冷やすということですよね。
「その段階の格納容器に水を入れるのはきわめて簡単です。今回の福島で大変だったのは原子炉に水を入れようとしたんです。あれはちょっと難しかったです」
──原子炉=圧力容器の方ですね。
「圧力容器の中に水を入れる。そういうやり方を分かってない人がするとちょっと難しい。だから当然上手くできなかった」
──水を入れようとすると難しいというのは、中の圧力が高すぎて水を押し戻してしまう、弾いてしまうということですか?
「そうそう。それの減圧操作をしないといけない。全電源喪失であれば、プラントにあるポンプは全部動かないでしょ。そうすると消防ポンプしかない。電気がなくてもエンジンでポンプを動かして放水できる。実際に福島では消防ポンプを使った」
ポンプ車はあったのに大型免許を持っている人間がいなかった
──原発の中に消防車とか消防ポンプってあるんですか?
「あります。昔、中越沖地震が柏崎であった時に調べたのですが、半分ぐらいの電力会社は付けてなかったんですよ。東電もその筆頭だったんです。東電は一切なかった。他の電力会社は付けてた電力会社もあった。その地震の後、すべての原発で消防ポンプを設置したんです。消防署が持ってる大型ポンプです」
──そうしますと、福島第一原発も3.11当時、ポンプ車はあったということになりますよね?
「ありました」
──あったのにどうしてポンプ車の注水を最初にやらなかったんでしょうか?
「そこはちょっと情けないんだけど、大きな原因の1つは1号炉で早めに爆発しちゃったでしょ。それで現場への接近がかなり大変になっちゃたんですよ」
──12日に起きた1号機の水素爆発ですね。
「もう1つはこれも恥ずかしい話なんですけど、普通原発の発電所には自衛消防隊ってのがあるんです。これ東電の職員でやるんだけど、その自衛消防隊の職員で消防車を運転できる人がいなかったんですよ。あれは、大型特殊免許を持ってないとだめだから。その、大型特殊免許を持ってる人がいなかった。だから、運転するのは下請けに頼む」
──思い出しました。「下請けが動いてくれなくて、説得するのに時間がかかった」って記事がありました。東電のテレビ会議の記録を精査した朝日新聞が記事に書いてました。
「政府事故調の中間報告書にも詳しく出てます」
──政府事故調もその辺は詳しく調べているんですね。
「あの大型特殊消防車、高いんですよ。5000万円くらいするんです」
──そんなにするんですか!
「私は横浜の消防団員だったんです。3月に定年制で消防団員辞めたんだけど、その消防団が所有しているポンプ車があるんです。普通免許で動かせるようなライトバンの大きいやつかな。それぐらいで運転できる消防車なんですよ。それでも十分原子炉は冷やせたんですよ。それは500万くらいで買えます」
──そんなもので原子炉って冷やせるんですか?
「はい。注水用としてはそれで十分。 数値で言うと、1時間に100トン注水できれば冷えるんです」
──ライトバン程度のポンプ車で、1時間に100トンも注水できるんですか? 100トンってプール1個分くらいあるんじゃないですか?
「プールは500トンくらいだね」
──本当にそんなもんで原子炉が冷やせるんですか?
「大体普通の消防車が使ってるのは、1トン当たり2立方メートルくらい。消防車が持ってる大型のとノズルが連結できるようになっています。それで実際使う」
──そんな5000万のどえらい消防車を使わなくても、消防団が持ってるようなライトバン程度のポンプ車でも備え付けておけばよかったんだと。
「それをやった方がよかった。だれでも運転できるから。自衛消防隊ってのは東電の職員がやるんです。その職員だと、大型特殊免許がないと運転できないと言うんだ」
──3.11当時は「免許がないから運転できない」なんて言っている場合じゃなかったんじゃないですか。
「大型は自動車としては大きいから、それを運転するのは難しいです。実際には発電所の中は道路交通法の対象外だから、無免許で運転したって違法ではないんだけど」
──現場に近づけることができないんだ。
「やっぱり津波で瓦礫が散乱してる中で大型車両を運転する技量がなかったら、乗り上げたりするんですよ」
──5000万円するポンプ車ってのは相当注水能力があるのですか?
「注水能力はそんなにあるわけじゃないんですよ」
──先ほどおっしゃった、1時間に100トンよりは大きいですよね?
「それよりは大きいです。それの2~3倍です」
──あ、そんなものなんですか。
「大型消防車には、タンクを積んでるんです。それで数トン。火災の時まずはそれで消すわけです」
──ライトバン型だとタンクがないから、どこかから吸い上げながら放水すると。
「普通火災になった場合は、消防団は消防車と一緒に行って、同時に沢山持っていたら、そこからポンプを繋いじゃうんです。繋いでできるようになっていて、ホースが統一されています。日本全国そうなんです」
──そういう備えをしていなかったわけですね。
「普通常識的に考えれば、どれぐらい注水量があればが分かっていれば、何もそんな5000万もするやつを買うんじゃなくて、500万で買えるやつを買った方がいい」
──電源車を苦労して現場に運んだのに、コードが繋がらなかったという話も福山官房副長官の本に出てきます。なんとも間抜けな話ですね。】一部抜粋
格納容器の圧力はそれほど高くありませんから、消防車のポンプからでも簡単に注水できる。
圧力容器に入れようとするからベント(減圧)も必要になり苦労する。なるほど、理に適った説明ですね。
他にも、普通のパソコンで、SPEEDIの計算も、全国すべての原発の事故シュミレーションまで出来る「PBS」(プラント解析システム:Plant Behavior System)とか、驚愕の事実が満載、じっくりお読みください。
JBPRESSより
巨額の予算が水泡に帰した事故対策システム原子力防災技術者が語る福島原発事故の深層(その1)
【「放置したとしたらそうなりますね。だけど、いろんな条件で計算したのですが、最終的には何でもいいから水を放り込むんです。そうすると反応を止められる。すると格納容器が破損する前に止められて、格納容器の外に地下水があるんだけど、そっちまでは、まず行くことはない」
──「水なら何でもいい」とおっしゃるのは、海水でもいいからということですね?
「そうです」
──川の水を引こうが海の水を引こうが、ぶち込んで冷やすということですよね。
「その段階の格納容器に水を入れるのはきわめて簡単です。今回の福島で大変だったのは原子炉に水を入れようとしたんです。あれはちょっと難しかったです」
──原子炉=圧力容器の方ですね。
「圧力容器の中に水を入れる。そういうやり方を分かってない人がするとちょっと難しい。だから当然上手くできなかった」
──水を入れようとすると難しいというのは、中の圧力が高すぎて水を押し戻してしまう、弾いてしまうということですか?
「そうそう。それの減圧操作をしないといけない。全電源喪失であれば、プラントにあるポンプは全部動かないでしょ。そうすると消防ポンプしかない。電気がなくてもエンジンでポンプを動かして放水できる。実際に福島では消防ポンプを使った」
ポンプ車はあったのに大型免許を持っている人間がいなかった
──原発の中に消防車とか消防ポンプってあるんですか?
「あります。昔、中越沖地震が柏崎であった時に調べたのですが、半分ぐらいの電力会社は付けてなかったんですよ。東電もその筆頭だったんです。東電は一切なかった。他の電力会社は付けてた電力会社もあった。その地震の後、すべての原発で消防ポンプを設置したんです。消防署が持ってる大型ポンプです」
──そうしますと、福島第一原発も3.11当時、ポンプ車はあったということになりますよね?
「ありました」
──あったのにどうしてポンプ車の注水を最初にやらなかったんでしょうか?
「そこはちょっと情けないんだけど、大きな原因の1つは1号炉で早めに爆発しちゃったでしょ。それで現場への接近がかなり大変になっちゃたんですよ」
──12日に起きた1号機の水素爆発ですね。
「もう1つはこれも恥ずかしい話なんですけど、普通原発の発電所には自衛消防隊ってのがあるんです。これ東電の職員でやるんだけど、その自衛消防隊の職員で消防車を運転できる人がいなかったんですよ。あれは、大型特殊免許を持ってないとだめだから。その、大型特殊免許を持ってる人がいなかった。だから、運転するのは下請けに頼む」
──思い出しました。「下請けが動いてくれなくて、説得するのに時間がかかった」って記事がありました。東電のテレビ会議の記録を精査した朝日新聞が記事に書いてました。
「政府事故調の中間報告書にも詳しく出てます」
──政府事故調もその辺は詳しく調べているんですね。
「あの大型特殊消防車、高いんですよ。5000万円くらいするんです」
──そんなにするんですか!
「私は横浜の消防団員だったんです。3月に定年制で消防団員辞めたんだけど、その消防団が所有しているポンプ車があるんです。普通免許で動かせるようなライトバンの大きいやつかな。それぐらいで運転できる消防車なんですよ。それでも十分原子炉は冷やせたんですよ。それは500万くらいで買えます」
──そんなもので原子炉って冷やせるんですか?
「はい。注水用としてはそれで十分。 数値で言うと、1時間に100トン注水できれば冷えるんです」
──ライトバン程度のポンプ車で、1時間に100トンも注水できるんですか? 100トンってプール1個分くらいあるんじゃないですか?
「プールは500トンくらいだね」
──本当にそんなもんで原子炉が冷やせるんですか?
「大体普通の消防車が使ってるのは、1トン当たり2立方メートルくらい。消防車が持ってる大型のとノズルが連結できるようになっています。それで実際使う」
──そんな5000万のどえらい消防車を使わなくても、消防団が持ってるようなライトバン程度のポンプ車でも備え付けておけばよかったんだと。
「それをやった方がよかった。だれでも運転できるから。自衛消防隊ってのは東電の職員がやるんです。その職員だと、大型特殊免許がないと運転できないと言うんだ」
──3.11当時は「免許がないから運転できない」なんて言っている場合じゃなかったんじゃないですか。
「大型は自動車としては大きいから、それを運転するのは難しいです。実際には発電所の中は道路交通法の対象外だから、無免許で運転したって違法ではないんだけど」
──現場に近づけることができないんだ。
「やっぱり津波で瓦礫が散乱してる中で大型車両を運転する技量がなかったら、乗り上げたりするんですよ」
──5000万円するポンプ車ってのは相当注水能力があるのですか?
「注水能力はそんなにあるわけじゃないんですよ」
──先ほどおっしゃった、1時間に100トンよりは大きいですよね?
「それよりは大きいです。それの2~3倍です」
──あ、そんなものなんですか。
「大型消防車には、タンクを積んでるんです。それで数トン。火災の時まずはそれで消すわけです」
──ライトバン型だとタンクがないから、どこかから吸い上げながら放水すると。
「普通火災になった場合は、消防団は消防車と一緒に行って、同時に沢山持っていたら、そこからポンプを繋いじゃうんです。繋いでできるようになっていて、ホースが統一されています。日本全国そうなんです」
──そういう備えをしていなかったわけですね。
「普通常識的に考えれば、どれぐらい注水量があればが分かっていれば、何もそんな5000万もするやつを買うんじゃなくて、500万で買えるやつを買った方がいい」
──電源車を苦労して現場に運んだのに、コードが繋がらなかったという話も福山官房副長官の本に出てきます。なんとも間抜けな話ですね。】一部抜粋