ルモンド紙に拠れば、オランダ製原子炉のひび割れは設置された30年前からあったそうだが、
アメリカ、ドイツなどの検査もすり抜けていたことを考えると、

 アメリカ・NRCより遥かに緩い検査体制の日本でも、原子炉の致命的欠陥が見逃されていた可能性が高く、稼動中の大飯原発も含め厳重な一斉検査が必要はないだろうか。

 フランスねこのNews Watchingより
ベルギーのドール原発でオランダ製原子炉圧力容器にひび割れ―世界22の原発でも同じ欠陥の疑い/ルモンド紙
【ベルギー・アントワープ市の北25キロの距離にあるドール原発第三号機で見つかった原子炉圧力容器におけるひび割れの可能性を発端に、世界8ヵ国、22の原子炉の安全に疑問符が付されている。

 ひび割れは原子炉が設置された30年前からあったと見られ、長期にわたり検査の目を逃れていた。今回の欠陥は原子力事故の深刻度を示す国際原子力事象評価尺度の1(注3)に分類。欠陥が深刻な場合には、同原子炉は廃止の可能性がある。

 ベルギー原子力検査庁が8月7日に明らかにしたドール原発における原子炉圧力容器のひび割れによる欠陥は、同じオランダの企業グループ「ロッテルダム・ドローグドック・マーシャッピジ」が原子炉圧力容器を納品したベルギー国内にあるティアンジュ原発第二号機でも起きている可能性がある。

 ロッテルダム・ドローグドック・マーシャッピジ社は今回の問題を受け現在操業を停止している。

 今回の欠陥問題で影響を受けるのはベルギーだけではない。ロッテルダム社が原子炉圧力容器を納品したのは米国(10基)、ドイツ(2基)、アルゼンチン(1基)、スペイン(2基)、オランダ(2基)、スウェーデン(1基)、スイス(2基)。これらの原子炉でも同様の欠陥が起きている可能性がある。

 ベルギーの原子炉については、現在燃料を取り出して検査を行っており、周辺住民、原発作業員、および環境への危険は無い、とベルギー原子力検査庁および検査を行っているエレクトラベル社は述べている。

 今回見つかった欠陥は、圧力容器の設置以来30年間にわたり存在していたとみられる。その間、エレクトラベル社の検査にもかかわらず欠陥は見過ごされていた。

 フランス放射線防護安全研究所(IRSN)はベルギーの2基の原発について、深刻な欠陥の場合には廃止が必要になる可能性を示唆した。欧州共同体は今回欠陥の可能性が指摘されたヨーロッパ内9基の原発について検査の必要性を指摘した。】

 東京新聞より
運転停止のベルギー原発 原子炉ひび8000カ所に
【ベルギー北部のドール原発で原子炉にひびとみられる異常が見つかり運転が停止されている問題で、オランダの同じ企業が製造した原子炉が欧米などに存在していることから、ベルギーの原子力規制当局は十六日、ブリュッセルで各国の当局者に状況を説明した。

 異常が見つかったのは、ドール原発に四つある原子炉のうち3号機で、六月に実施した超音波検査などで多数のひびの存在を示す結果が出た。人体や環境への影響はないとしている。

 欧州での報道によると、ベルギーの当局者は十六日、ひびは二センチ前後で、金属製の容器の八千カ所にわたって存在していると明らかにした。

 ひびが建設当初から存在していた恐れも指摘した。運転再開のめどは立っておらず、容器の交換や修理が難しいことから、このまま廃炉になる可能性もある。

 原子炉は一九七〇年代にオランダの企業が建設した。同じ企業の原子炉は、ベルギー以外に、米国やスイス、ドイツ、オランダ、アルゼンチンなどに二十基以上存在しており、今後、各国で検査を求める声が高まりそう