福島の人にとって原発は、故郷を汚し生活の糧を奪った仇だが、それでも被ばくに怯えながら
仇ともいえる原発で作業員として働かなければならない現実。

 福島の原発事故被害者に、加害企業の東電も、共犯者の国も、救いの手を差し伸べようとはしない。
そして加害企業の東電社員が、被害者を下請け会社の作業員として、被ばくを伴う危険な作業にあたらせる。

 過酷な現実をもたらした原発を、今なお後生大事にお守りする、原発推進派の連中の頭の中はどうなっているのか?

 原発さまはそんなに偉いのか?、多くの人に犠牲を強いる原発の存在がなぜ肯定されるのか?
核の魔力に取り憑かれた原子力ムラの愚か者たちは、原発さまにいったいどれだけの生贄を奉げれば気が済むのか?

  NHK.ETV特集 2012年8月19日(日)午後10時~
ルポ 原発作業員~福島原発事故・2年目の夏~
【福島第一原発では、事故から一年たった今も毎日3000人の作業員が事故収束作業にあたっている。
その6割が地元福島の人だ。

 故郷を放射能に汚染されてなお、原発での仕事を生活の糧にせざるを得ない。作業員たちはどのような状況に置かれ、どのような思いを抱えているのか。福島県東部の浜通りにある2つの下請け企業の協力を得て、その日々を見つめた。

 大手プラントメーカーの下請けとして事故前から原発の仕事を続けてきた「東北イノベーター」。毎日12人の従業員が第一原発の仕事に向かう。事故前から20年以上、福島第一原発を中心に定期検査やメンテナンスの仕事を続けてきた。

 事故後、第一原発の現場では、毎時数ミリシーベルトを超える高線量の場所が数多くあり、毎日の被ばく量も「0.3」「1.8」と“ミリシーベルト単位”だ。そうした高い被ばくを伴う現場に夫を送り出す家族は不安な日々を送っている。

 原発事故後、現場には大量の作業員が必要となり、これまで原発の仕事とは関わりの無かった人たちも原発での仕事を始めている。川内村の「渡辺重建」では、震災で仕事を失った若者たちに声をかけ、去年7月から第一原発での仕事を始めた。

 みな事故前は、バスの運転手やアパレル工場、ゴルフ場など、原発とは関係の無い現場で仕事をしてきた人たちだ。一年間で、40ミリシーベルト近くの被ばくをしており、法令の限度内とはいえ、健康への不安を感じている。

 こうした下請け作業員の不安に地元福島で40年以上向き合ってきた石丸小四郎さん。被ばくによる労災 支援などを行ってきた石丸さんのもとには、今、作業員たちから現場の実態が寄せられている。その聞き取り調査から、原発での労働実態やその問題点も明らかになってきている。】