オイルサンドやシェールガスなど「非在来型エネルギー」の実用化が進み、すぐにも底をつくと危惧された
石油資源は、あと150年は大丈夫のようだ。
カナダで産出されるオイルサンドが、隣国アメリカに輸出され、アメリカの中東原油依存度が半減、
その結果 中東原油が余り、原油の輸入価格が抑えられ、日本の電気料金も下がる、そんな
”風が吹けば桶屋が儲かる”式のシナリオが進行中らしい。
日本近海には、メタンハイドレートという夢のようなエネルギー資源も眠っているそうで、
採掘方法さえ確立できれば、日本は世界有数の資源大国になり、中東原油に頼る必要もなくなる。
再生可能エネルギー、非在来型エネルギーの技術進化で、いつ暴発するか知れない原発が、
日本から消える日がすぐ其処までやって来ている。
絶大な権力を誇った原子力ムラも ”驕れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し
猛き人もついには滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ”遂には滅亡の時を迎えるだろう。
テレビ東京「未来世紀ジパング」より
未来世紀ジパング ~沸騰現場の経済学~ 2012.06.18 FC2動画
カナダでゴールドラッシュ!?"黒い金"が世界を変える
ガソリン価格、電気料金・・・日本の生活に大きな影響を及ぼす原油。これまで中東頼みだった原油だが、いま世界で変化が起きている。
その舞台はカナダ。実はカナダ、サウジアラビアに次ぐ世界2位の原油埋蔵量(確認埋蔵量)を誇る原油大国なのだ。その武器となっているのが「オイルサンド」という原油を含んだ砂だ。
採掘技術の向上と2003年以降の急激な原油価格上昇でオイルサンドからの原油採掘でも採算が取れるようになり、産油量が増え注目を集めている。
地元の町は"ゴールドラッシュ"ならぬ"オイルサンドラッシュ"に沸き、オイルサンドは「黒い金」と呼ばれている。オイルサンドの登場で、原油の可採年数は現在の46年から150年以上に延びると言われている。
世界のエネルギー地図を塗り替えると言われている「黒い金」。日本の未来にどんな影響が?
“ゴールドラッシュ”ならぬ“オイルラッシュ”に沸く
そのオイルサンドで沸騰しているのが、ロッキー山脈の麓のカナダ西部のアルバータ州。その中心地はフォートマクマレーだ。かつてはオーロラの名所として有名だったが、今は24時間休みなしにオイルサンドの採掘が進められ、カナダ国内はもとより海外からもオイルサンド景気にあやかろうとたくさんの人が詰め掛けている。
採掘現場の労働者の週給はなんと2500ドル(日本円で約19万5000円)。40年前には7000人だった人口が今や10万人を越えた。地価も4~5倍に上がったという。町には家を借りずキャンピングカーで暮らす出稼ぎ者も急増、“キャンピングカー村”ができていた。
オイルサンドの恩恵もあった。プールにスポーツジム、アイススケート場にゴルフ、ロッククライミングと何でも揃った豪華なスポーツセンターができ、利用料は格安。さらにアルバータ州は州の消費税はゼロ!医療費も無料だ。これもオイルサンド企業が採掘量に応じて州に支払うお金のおかげだという。
オイルサンドの課題に挑む日本企業
オイルサンドもいいことばかりではない。それが環境問題だ。カナダのアルバータ州に広がるオイルサンド地層。広さは日本の国土の3分の1に及ぶ。そのほとんどが森林地帯だ。オイルサンドの採掘はこの森林を伐採し露天掘りで行われてきた。
しかし、森林伐採が最小限で済む方法でオイルサンドから原油を生産する日本企業があった。JACOS(ジャパン・カナダ・オイルサンズ)は、オイルサンドを自社で採掘する唯一の日系企業だ。JACOSが使っているのはサグディー法と言われる方法。
パイプを2本地下のオイルサンド層に通し、蒸気を送って油を溶かし、油だけを地上に吸い上げるという方法だ。これならば森林伐採は地上設備の狭い部分だけで済むというわけだ。
後藤康浩(日本経済新聞社 編集委員)「中国、高成長神話の終焉」「ニッポンの鉱山」「ポスト中国の人口大国」「世界最大のリゾートはマカオ!?」に続き、沸騰ナビゲーターとして5回目の登場。1984年日本経済新聞社入社。バーレーン駐在、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、北京駐在、論説委員兼編集委員、アジア部長を経て、現在、日本経済新聞社編集企画センター兼アジア部編集委員。 <主な著書>『強い工場』、『勝つ工場』、『アジア力』。近著に、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(いずれも日本経済新聞社)。
未来予測 カナダの“黒い砂”がアジアを救う
カナダのオイルサンドから生産された原油は、約50%がアメリカに輸出されている。日本への輸出も検討はされているが、すぐには実現しない。それならば何故「オイルサンドがアジアを救う」のか?
世界一のエネルギー消費国であるアメリカは、オイルサンドから生産された原油がカナダから入ってくることによって、中東から原油をこれまでほど買わなくて済むようになってきた。原油の中東依存度は18%にまで下がってきている(日本の中東依存度は86%)。
そうすると中東は余った原油を日本をはじめアジア各国にこれまでよりもたくさん輸出してくれるようになるというわけだ。一時は200ドルまで上がるかもしれないと言われていた原油価格も100ドル以下で落ち着いている。
さらにアメリカではシェールガスの生産も急増している。オイルサンドやシェールガスなど「非在来型エネルギー」の実用化が進むことが世界の経済状況を変えるきっかけになるかもしれない。
身近なところでは、日本の電気料金に影響があるかもしれないというニュースもある。東京電力は発電のコストを下げるためにアメリカからシェールガスの購入を検討しているのだ。
石油資源は、あと150年は大丈夫のようだ。
カナダで産出されるオイルサンドが、隣国アメリカに輸出され、アメリカの中東原油依存度が半減、
その結果 中東原油が余り、原油の輸入価格が抑えられ、日本の電気料金も下がる、そんな
”風が吹けば桶屋が儲かる”式のシナリオが進行中らしい。
日本近海には、メタンハイドレートという夢のようなエネルギー資源も眠っているそうで、
採掘方法さえ確立できれば、日本は世界有数の資源大国になり、中東原油に頼る必要もなくなる。
再生可能エネルギー、非在来型エネルギーの技術進化で、いつ暴発するか知れない原発が、
日本から消える日がすぐ其処までやって来ている。
絶大な権力を誇った原子力ムラも ”驕れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し
猛き人もついには滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ”遂には滅亡の時を迎えるだろう。
テレビ東京「未来世紀ジパング」より
未来世紀ジパング ~沸騰現場の経済学~ 2012.06.18 FC2動画
カナダでゴールドラッシュ!?"黒い金"が世界を変える
ガソリン価格、電気料金・・・日本の生活に大きな影響を及ぼす原油。これまで中東頼みだった原油だが、いま世界で変化が起きている。
その舞台はカナダ。実はカナダ、サウジアラビアに次ぐ世界2位の原油埋蔵量(確認埋蔵量)を誇る原油大国なのだ。その武器となっているのが「オイルサンド」という原油を含んだ砂だ。
採掘技術の向上と2003年以降の急激な原油価格上昇でオイルサンドからの原油採掘でも採算が取れるようになり、産油量が増え注目を集めている。
地元の町は"ゴールドラッシュ"ならぬ"オイルサンドラッシュ"に沸き、オイルサンドは「黒い金」と呼ばれている。オイルサンドの登場で、原油の可採年数は現在の46年から150年以上に延びると言われている。
世界のエネルギー地図を塗り替えると言われている「黒い金」。日本の未来にどんな影響が?
“ゴールドラッシュ”ならぬ“オイルラッシュ”に沸く
そのオイルサンドで沸騰しているのが、ロッキー山脈の麓のカナダ西部のアルバータ州。その中心地はフォートマクマレーだ。かつてはオーロラの名所として有名だったが、今は24時間休みなしにオイルサンドの採掘が進められ、カナダ国内はもとより海外からもオイルサンド景気にあやかろうとたくさんの人が詰め掛けている。
採掘現場の労働者の週給はなんと2500ドル(日本円で約19万5000円)。40年前には7000人だった人口が今や10万人を越えた。地価も4~5倍に上がったという。町には家を借りずキャンピングカーで暮らす出稼ぎ者も急増、“キャンピングカー村”ができていた。
オイルサンドの恩恵もあった。プールにスポーツジム、アイススケート場にゴルフ、ロッククライミングと何でも揃った豪華なスポーツセンターができ、利用料は格安。さらにアルバータ州は州の消費税はゼロ!医療費も無料だ。これもオイルサンド企業が採掘量に応じて州に支払うお金のおかげだという。
オイルサンドの課題に挑む日本企業
オイルサンドもいいことばかりではない。それが環境問題だ。カナダのアルバータ州に広がるオイルサンド地層。広さは日本の国土の3分の1に及ぶ。そのほとんどが森林地帯だ。オイルサンドの採掘はこの森林を伐採し露天掘りで行われてきた。
しかし、森林伐採が最小限で済む方法でオイルサンドから原油を生産する日本企業があった。JACOS(ジャパン・カナダ・オイルサンズ)は、オイルサンドを自社で採掘する唯一の日系企業だ。JACOSが使っているのはサグディー法と言われる方法。
パイプを2本地下のオイルサンド層に通し、蒸気を送って油を溶かし、油だけを地上に吸い上げるという方法だ。これならば森林伐採は地上設備の狭い部分だけで済むというわけだ。
後藤康浩(日本経済新聞社 編集委員)「中国、高成長神話の終焉」「ニッポンの鉱山」「ポスト中国の人口大国」「世界最大のリゾートはマカオ!?」に続き、沸騰ナビゲーターとして5回目の登場。1984年日本経済新聞社入社。バーレーン駐在、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、北京駐在、論説委員兼編集委員、アジア部長を経て、現在、日本経済新聞社編集企画センター兼アジア部編集委員。 <主な著書>『強い工場』、『勝つ工場』、『アジア力』。近著に、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(いずれも日本経済新聞社)。
未来予測 カナダの“黒い砂”がアジアを救う
カナダのオイルサンドから生産された原油は、約50%がアメリカに輸出されている。日本への輸出も検討はされているが、すぐには実現しない。それならば何故「オイルサンドがアジアを救う」のか?
世界一のエネルギー消費国であるアメリカは、オイルサンドから生産された原油がカナダから入ってくることによって、中東から原油をこれまでほど買わなくて済むようになってきた。原油の中東依存度は18%にまで下がってきている(日本の中東依存度は86%)。
そうすると中東は余った原油を日本をはじめアジア各国にこれまでよりもたくさん輸出してくれるようになるというわけだ。一時は200ドルまで上がるかもしれないと言われていた原油価格も100ドル以下で落ち着いている。
さらにアメリカではシェールガスの生産も急増している。オイルサンドやシェールガスなど「非在来型エネルギー」の実用化が進むことが世界の経済状況を変えるきっかけになるかもしれない。
身近なところでは、日本の電気料金に影響があるかもしれないというニュースもある。東京電力は発電のコストを下げるためにアメリカからシェールガスの購入を検討しているのだ。