会議出席者に対し「100%責任を問わず」「その場限り」で自由に意見を述べてもらう為?
実態として、後で発言内容を責められないための政治的配慮?があるようです。

 JALの処理策についての政務三役会議では、「議論をしていることが漏れるだけで世の中に無用な混乱を起こす」 ために議事録を残さなかったそうです。

 平野達男防災担当相は、「政府全体として慣習みたいなものがあった」とも言っていますが、慣習だから許されると考えるのは大きな間違いです。

 結局、いろいろ屁理屈を捏ねても、議事録を残さず隠す事に、何の正当性もないでしょう。

 本当は、どんな会議の記録もどこかに残っているはず、過去の重大会議について、編集なしの生の記録を、国民の前に明らかにしていただきたい。

 ニューズウィーク日本版より
【東日本大震災や東電福島第一原発事故の対策に関連する政府の会議(複数)で、議事録が作成されて
いないことが露見し、問題になっているようです。このニュースの見出しだけを見れば「官僚が手を抜いたのでは」とか「パニックの中、残すべき記録が消えたのだろう」などというイメージで受け流されてしまいそうです。

 しかしながら、政府として公式の会議を開催しておきながら、その結果について具体的な議事録が作成されていないというのは異常です。異常事態だから作成を忘れたとか、記録したが誤って消去したということはないでしょう。明らかに議事録を残せない理由があるはずです。

 中 略

 例えば議会の議事録は完全な速記が原則で「混乱のため聞き取れず」など生々しいまでに
「実際に飛び交った言葉」を公式記録として残すことになっています。これは、議会における議員の発言と
いうのは、間接民主制において民意の委任を受けた民意そのものという原則があるからです。

 けれども、会社の役員会や官庁の内部の会議は違います。何故なら会議自体は非公開で行われるからです。非公開というのは、会議の過程で参加者の個々の発言について「100%責任を問わない」、つまり会議の結論は公表するがプロセスにおける様々な発言は、場合によっては「その場限り」としておいたほうが良いという前提があるわけです。その方が自由な意見が出しやすいし、多くの選択肢が検討できるからです。

 中 略

 具体的なイメージとしては、例えば2号機の水素爆発の直後に政府の対策会議で「緊急時迅速放射能
影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)によれば、飯舘村の方面への相当な飛散が予想されますから、
緊急避難もしくは農地や牧草地に徹底したビニールシートがけを」などという提案がされていたとします。

 仮にそうだとして、「スピーディなんていうのは存在が周知徹底されているものじゃない。パニックが起きたり
予測が間違っていたら文科省は責任が取れるのか?」というような誰かの発言で、この案が潰されたというようなことがあったとします。

 現時点で、仮にこうした問答があったことが判明し、提案した人間や潰した人間が特定できたとしたらどうでしょう。

 つまりSPEEDIのデータは使われないまま、飯舘での高線量がIAEAの調査で分かり、後追いで自主避難などが行わた時点から更には福島県の厳しい現状まで事態は大きく推移したわけです。世論も揺れ、ある意味では分裂したまま固まりつつあります。

 そんな中で「飯舘に緊急で対策を」という案を「潰した」人間が特定できるような(あくまで仮の例ですが)議事録は、10カ月後の現在では非常に政治的な意味を持ってしまうわけです。ですから、「公式」のものとして残すことは合意できなかったのだと思います。

 しかし、仮にそうだとしたら(飯舘とSPEEDIの話は例ですが、他の似たような重要な問題が引っかかったとして)、組織なり個人のメンツが潰れるとか、組織間で見解の違いがあるというような問題であればあるほど、現在進行形の「論点」を含んでいると考えるべきです。

 中 略

 いずれにしても、震災と原発事故の直後に政府がどう動き、その中にはどんな問題があったのかということは、今後の防災体制を考える上でも非常に重要です。

 場合によっては、何らかの免責措置をしてでも事実の解明をしておくべきだと思います。外交機密事項などと違って、「ほとぼりが冷めてから」ではダメなのです。防災のためには、今すぐに公開し議論を深めることが必要です。】

 日々坦々さま
より
「議事録無し」は自民党政権時からあり、これは官僚の問題で「会議の可視化」が必要だ!

【東日本大震災がらみの15の会議のうち10の会議で議事録や議事要旨が作られていないことも判明したという。

これは大震災での混乱によるものだけではないと磯山氏は指摘する。

JALの処理策について政務三役会議などの議事録を残さないことについて問いただすと次のように釈明したという。

「JALを潰すかどうかという微妙な議論をしていることが漏れるだけで世の中に無用な混乱を起こす」

どこかで聞いたことがあるフレーズである。

SPEEDIのデータを公表しなかった理由が「国民がパニックになることを懸念」というものだった。

この論説を読んで、これは民主党の体質が原因なのかもしれないと思えた。

では、自民党政権時代では、必ず議事録は作成されたのかについては書かれていなかったが、あとで調べると二つの大震災でも議事録はなかったようで、この投稿では「民主党の体質」と書いたので、コメント欄を使って補足した。

河北新報社の記事で平野防災担当相が語ったこととして次のように書かれていた。

■議事録未作成「政府全体の慣習」 平野防災担当相
(河北新報社 2012年01月31日) 
≪東日本大震災に伴う政府会合の議事録の未作成問題に関連して平野達男防災担当相は31日の記者会見で、1995年の阪神大震災や2004年の新潟県中越地震でも非常災害対策本部の議事概要や議事録を作成していなかったことを認めた上で

「国会で騒ぎになっているが、政府全体として慣習みたいなものがあった」と述べ、災害対策の会議で記録を残さないのは民主党政権以前からの対応との認識を示した。
 平野氏は「会議が終われば記者会見し、資料を公表することで十分との判断がずっとあった」と説明。

そうなると、行政の問題だとも言える。】

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