20111219 汚された土 俺のお歳暮も賠償してくれ...

  
日テレ系・NNNドキュメント
 【 「俺のコメ、お歳暮のカタログからはずされたよ…」山形県南陽市の農家、黒澤信彦さん(47)は、そう肩を落とした。

 東京の百貨店からの通告だった。原発事故、風評被害…そんなものに負けられるか、と黒澤さんは土と玄米を検査機関に送った。土からは微量のセシウムが検出されたが、玄米は「不検出」。山形県の検査でも、調査した全市町村で「不検出」だった。

 しかし消費者は「数字が出ているのに“不検出”。信用できない」と話す。5年前から香港にコメを輸出、アメリカへの進出も夢見ていた。TPPも「好機」と考えていた。「カタログの損失だけで1300万円…でも負けない。安全性を証明し、コメの信用を取り戻す」“見えない敵”放射能と闘う日々を追いながら、原発問題の側面を浮き彫りにする。】

価格・COM テレビ紹介情報より
【山形県南陽市で米作りをしている黒澤信彦さんは、米の直売を始めて20年。おいしいお米日本一に輝いた「夢ごこち」を引っ提げて香港を足がかりに海外へ進出していた。しかし、福島第一原発事故によってばらまかれた放射能の影響で、足元が揺らいでいる。

 黒澤さんが米作りで最も大切にしているのは土で、田んぼの土の中には生き物がたくさんいて酸素も供給し、稲は健全な根を張れるため農薬を使わずに育てることが出来るという。

 だが今年は福島第一原発事故の影響で、10年来の付き合いがある東京の百貨店から「東北の米をカタログから外す」と通告。カタログ販売は営業上で重要な柱となっており、年間1300万円を失うことになる。南陽市の測定値は0.1未満で山形県内のほとんどが0に近い値だが、黒澤さんの田んぼの土を検査機関に送ることにした。

 黒澤さんは父から厳しく米づくりについて学び、売る相手は自分の力で切り開かなくてはならないと小分けした米袋に往復はがきを添えて全国各地で配って回った。

 その後、黒澤さんはハチミツに殺菌効果があることを知り、稲にかけたら丈夫になるのではと考え、直接稲に散布。狙い通りに稲は病気をせず、甘みが増した米「ハチミツ米」が完成。2000年においしい米のコンクールで日本一に輝き、全国に黒澤さんの名前が知れ渡った。

 都内にある有名な米専門店「スズノブ」では、業界が最も恐れる魔の陳列棚があり、ひな壇のようなこの棚は奥に行けば行くほどランクが高くなるのだが、黒澤さんの米はわずか2年で最上段を狙える位置まで駆け上がった。

 5年前からは香港に年間10トンの米を輸出し、売り上げの一割を占めるようになり、香港市内の高級日本料理店「なだ万 香港島店」などでも使われている。

 黒澤さんの田んぼの土の検査結果が届いた。放射性ヨウ素は不検出だったが、放射性セシウムが219ベクレルだった。国の基準値が5000ベクレルなので人体に影響はないが、ゼロだと信じていただけに恐怖を感じた。

 カタログギフトの損失を埋めるため、黒澤さんは東京へ営業に出かける。松屋銀座などではやはり客の大半が北海道や九州など原発から遠く離れた地域で作られた米を購入しているという現実を聞かされる。

 カタログ業者にも出向いたが、ちょっとでも可能性(不安)のある所はやめようという方針を突き付けられた。】

 “風評被害”、なんと言う残酷な言葉だろうか。
生産者の黒澤さんは、僅か?の放射能の為に、せっかく作った 『おいしいお米日本一に輝いた「夢ごこち」』
が売れずに苦しんでいる。

 “風評被害”の原因を作った東電が、補償してくれれば問題ない筈だが、福島県での実害すらまともに
補償していない。
 
 一方の消費者も、政府の決めた常識はずれに高い暫定基準値以内の食品が、至る所に出回り、それを買わないのは消費者の我が侭“風評被害”との言葉に、家族の健康を願い、少しでも放射線量の低い食品を探して歩くお母さんたちは、傷つけられている。

 放射能に汚染された食品を、『放射能ばら撒き犯』の東電がすべて買い上げれば、“風評被害”なんて起きないのに。 東電も、それを野放しにする政府も、本当に許せない。

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