『日本の強さと弱さ; 危機のときに浮き上がる本当の姿
【今回の地震津波の大災害、そしてその被害を拡大している福島原子力事故。こういう、予期しないことが起こったときに、国でも、組織でも、本当の姿が浮かび上がり、それぞれの本当の強さ,弱さが浮かび上がります。情報を隠せない世界で、これは世界中に隠せないのです。

皆さんはどのように感じましたか?

最初の1、2週間、日本のテレビ、新聞などを見ている人たちには、現地の惨状が次々と繰り返し出てきます。
今のネット時代、利用しないと本当の姿、有様を想像することも出来ないような状態でした。

 ありていに言えば、戦時中の「大本営発表」とほとんど違わないのです。最初は新聞もテレビもどこでも同じ、「専門家」の意見もその背後が見え見えです。

 枝野さんの記者会見が政府の公式見解です。がんばって会見していますが、いろいろ事情はあるのでしょうが、何しろ内容と政府の意思がはっきりしていないためでしょう、わかりにくいのです。そして東京電力、保安院などの記者会見も世界中で見られているのです。

メデイアもひどいものです。基本的に横並び。「記者クラブ制度」も時代遅れのひどいものですが、限られた時間で場違いな質問も結構あって、記者会見では質問するほうへもテレビカメラを向けるべきです。

政府の対応も世界中に丸見えです。元来、日本語がロジカルでなくわかりにくいことは知られていますが、内容が貧弱というのが世界の見方。

世界は日本の原発対処をとても気にしていますが、日本の対応は透明性が低く、理解不可能とあきれている、というところでしょうか。私は国家の信用がメルトダウンという状況になりつつあるのでは、と危惧しています。

政治の「リーダーシップ」はどこに行ってしまったのでしょうか。

日本の弱さと強さは?現場の人たちは強い、「リーダー」たちは秀才かもしれないが修羅場をくぐっていないので危機には弱い、ということでしょう。

以前から言っているように、私はもっぱら「The Economist」など、さらに今回は「New York Times」などをフォローしています。たくさんの意見が出ていますが、一般の国民や消防、自衛隊などの現場の方達の強さ、NGOの活躍、創業者達のすばやい行動には賞賛の声が多いのです。

 世界中の注目は政府、東電、保安院など日本の組織トップたちの危機管理能力です。

1.http://www.voanews.com/english/news/asia/VOA-Reporters-Reflection-on-Japanese-Tragedy-119013669.html
2. http://www.economist.com/node/18441143?story_id=18441143
3.http://www.economist.com/blogs/babbage/2011/03/post-earthquake_nuclear_crisis&fsrc=nwl 

皆さんと力を合わせて、「失われた20年」から新しい日本を創生することこそが、お亡くなりになった方達へ報いるために私達がするべきことです。】

 中国新聞より
ノーベル賞の田中氏起用 国会原発事故調、委員長は黒川氏
【与野党は29日、国会に新設された東京電力福島第1原発事故調査委員会の委員にノーベル化学賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェロー(52)を起用する方向で最終調整に入った。委員長は黒川清・元日本学術会議会長(75)を充てる方針だ。

 委員の人選を担う衆参両院議院運営委員会合同協議会を12月1日に開催し、両氏を含め原子力工学や地震・津波、放射線医学、危機管理などの有識者から選んだ委員計10人の人事案を諮る。決定後、衆参両院議長が両院の承認を得て任命する運びだ。

 田中氏はタンパク質の質量を正確かつ効率的に測れる手法の開発により、2002年にノーベル化学賞を受賞。黒川氏は東大医学部教授や東海大医学部長などを歴任し、03年から日本学術会議会長、06年からは内閣特別顧問を務めた。

 両氏とも原子力が専門分野ではないが、与野党は原発事故の原因究明には両氏の科学技術全般にわたる幅広い視点が必要と判断したとみられる。

 事故調査委は政府や地方自治体、電力会社などに資料提出を求め、中立的な立場で調査を実施。強制力のある証人喚問を議運委合同協議会に要請することも可能で、委員の任命から半年をめどに報告書を提出する】