nikkeibp復興ニッポンより
【 東京電力福島第一原子力発電所の事故は技術経営のミスに起因するもので、天災でも偶然でもなく、
100%予見可能な事故だった――。同志社大学ITEC副センター長の山口栄一教授はそう指摘する。
山口教授は現在「FUKUSHIMAプロジェクト 」の委員長として、技術経営の観点から原発事故の本質に迫る
調査活動にあたっている。
中略
簡単に言えば、無電源でも一定時間原子炉を冷却できる仕組みがあったんです。1号機には炉の内側と外側の温度差で動く「隔離時復水器」が、2号機と3号機には隔離時復水器の進化版である「原子炉隔離時冷却系」がそれぞれ設置されていました。
その結果、津波で電源を喪失した後も、1号機は約8時間、2号機は約63時間、3号機は約32時間、
それぞれは冷却が続き、制御可能な状態だったと考えられます(※詳しくは日経ビジネスオンライン
「見逃されている原発事故の本質」を参照)。
いずれも稼働時間はほぼ設計通りであり、現場のエンジニアはそれが“最後の砦”だと知っていました。
言い換えれば、やがて冷却が止まって原子炉が制御不能の状態に陥るとわかっていたのです。
1号機の場合は毎時25tの水を入れ続ければ熱暴走を防げますが、貯水タンク内の淡水では到底足りません。豊富にあるのは海水だけ。もはや、海水注入以外の選択肢はなかったのです。
廃炉の判断が遅れたために事態が悪化
――実際に1号機への海水注入が始まったのは3月12日午後7時過ぎ。制御不能の状態に陥ってから、
さらに20時間が過ぎていたことになります。これほど意思決定が遅れた理由は何だったのでしょうか?
山口 海水を注入すれば、廃炉になるからです。現場判断で海水を注入できたとも言われていますが、
それはどうでしょうか。
もし海水を入れて廃炉になったとしたら、その人物は懲戒免職となり、何百億円、何千億円もの
損害賠償請求を受けることになるでしょう。
そんな大きな経営判断に対して責任を負えるのは経営陣をおいてほかにいません。
そう考えると、意思決定に必要なすべての情報は勝俣恒久会長や清水正孝社長(当時)をはじめとする
経営陣のもとに届いていた、と見るのが自然です。
ということは、海水注入までの20時間、経営陣は廃炉の判断を躊躇していたことになります。
ほかに選択肢はなく、判断が遅れれば制御不能になることは100%予見可能でした。
しかも、1号機のみならず、2号機と3号機でも海水注入までにはかなりの時間を要しています。
これは明らかに刑法上の不作為にあたり、東京電力の経営責任は極めて重いと考えます。】
================== ======================
やがて冷却が止まって原子炉が制御不能の状態に陥るとわかっていながら、目先の損失を惜しんで、
何の有効な手も打たずに、初動の20時間を無為にすごしてしまった、無能で無責任な経営陣。
彼らこそが、福島の大事故を引き起こした張本人、A級戦犯、当然刑事責任を問われなければならない。
【 東京電力福島第一原子力発電所の事故は技術経営のミスに起因するもので、天災でも偶然でもなく、
100%予見可能な事故だった――。同志社大学ITEC副センター長の山口栄一教授はそう指摘する。
山口教授は現在「FUKUSHIMAプロジェクト 」の委員長として、技術経営の観点から原発事故の本質に迫る
調査活動にあたっている。
中略
簡単に言えば、無電源でも一定時間原子炉を冷却できる仕組みがあったんです。1号機には炉の内側と外側の温度差で動く「隔離時復水器」が、2号機と3号機には隔離時復水器の進化版である「原子炉隔離時冷却系」がそれぞれ設置されていました。
その結果、津波で電源を喪失した後も、1号機は約8時間、2号機は約63時間、3号機は約32時間、
それぞれは冷却が続き、制御可能な状態だったと考えられます(※詳しくは日経ビジネスオンライン
「見逃されている原発事故の本質」を参照)。
いずれも稼働時間はほぼ設計通りであり、現場のエンジニアはそれが“最後の砦”だと知っていました。
言い換えれば、やがて冷却が止まって原子炉が制御不能の状態に陥るとわかっていたのです。
1号機の場合は毎時25tの水を入れ続ければ熱暴走を防げますが、貯水タンク内の淡水では到底足りません。豊富にあるのは海水だけ。もはや、海水注入以外の選択肢はなかったのです。
廃炉の判断が遅れたために事態が悪化
――実際に1号機への海水注入が始まったのは3月12日午後7時過ぎ。制御不能の状態に陥ってから、
さらに20時間が過ぎていたことになります。これほど意思決定が遅れた理由は何だったのでしょうか?
山口 海水を注入すれば、廃炉になるからです。現場判断で海水を注入できたとも言われていますが、
それはどうでしょうか。
もし海水を入れて廃炉になったとしたら、その人物は懲戒免職となり、何百億円、何千億円もの
損害賠償請求を受けることになるでしょう。
そんな大きな経営判断に対して責任を負えるのは経営陣をおいてほかにいません。
そう考えると、意思決定に必要なすべての情報は勝俣恒久会長や清水正孝社長(当時)をはじめとする
経営陣のもとに届いていた、と見るのが自然です。
ということは、海水注入までの20時間、経営陣は廃炉の判断を躊躇していたことになります。
ほかに選択肢はなく、判断が遅れれば制御不能になることは100%予見可能でした。
しかも、1号機のみならず、2号機と3号機でも海水注入までにはかなりの時間を要しています。
これは明らかに刑法上の不作為にあたり、東京電力の経営責任は極めて重いと考えます。】
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やがて冷却が止まって原子炉が制御不能の状態に陥るとわかっていながら、目先の損失を惜しんで、
何の有効な手も打たずに、初動の20時間を無為にすごしてしまった、無能で無責任な経営陣。
彼らこそが、福島の大事故を引き起こした張本人、A級戦犯、当然刑事責任を問われなければならない。