WSJ日本語版より
【野田佳彦首相は20日、ウォール・ストリート・ジャーナル/ダウ・ジョーンズ経済通信とのインタビューで、
現在停止中の原子力発電所を来年夏までに再稼動していく考えを示した。 国民の間では反原発の機運が
高まっているが、原発を再稼動しないことや、すぐに原発を廃止することは 「あり得ない」と述べた。

 首相は原発政策について、「例えばゼロにするとすれば、他の代替エネルギーの開発が相当進んで
いなければいけない。そこまで行けるかどうかも含め、いま予断をもって言える段階ではない」と答えた。

 3月の福島第1原発事故以来、かつては広く原発を支持していた国民の間で反原発の声が高まっている。
こうした現状を踏まえ、脱原発をどこまで、また、どれだけ早く進めるかが野田新政権にとって最も困難で
意見の分かれる問題となっている。

 インタビュー前日には、警察推計で約3万人の国民が集まって反原発集会が行われた。
これは原発事故以来最大級の集会で、政治問題に対するデモとしても長年例のなかった規模だ。

 原発事故以降、定期点検のため停止中の原発の再稼働が国内各地で拒否されている。
現在稼働している原子炉は国内にある全54基中、10基程度に過ぎない。政府が原発再開に向けて
地元自治体を説得できなければ来年には全国すべての原子炉の稼働が停止し、事実上の脱原発となる。

 野田首相は、「再稼動できるものは再稼動していかないと、 まさに電力不足になった場合には、
日本経済の足を引っ張るということになる」と述べた。

 しかし反原発派は、今年夏のピーク時にも、いくつかの原発停止にもかかわらず大きな電力不足がなかったことを指摘し、停止中の原発を再稼動しなくても来年の夏も乗り切ることができるのではないかとみている。
これに対し、野田首相は、「そういういうことはあり得ない」として、原発なしには来年の夏は電力不足に陥るとの見方を示した。

 少なくとも当面は原発を維持するという野田首相の姿勢は、菅直人前首相とは対照的だ。前首相はかつて原発を強く推進していたが、福島第1原発事故後は反原発に方向転換した。前首相は、原発事故対応を誤ったとみなされたことも一因となり、約1年で首相の座を去った。】

 詳報 野田佳彦首相インタビュー:一問一答

 野田総理が、原発推進派であることは、『新規の場合は基本的には困難だと思う。ただし、もうすでに
着工して、(完成まで)90数%というものもあるので、個々の事案に則して対応していきたい。』 という
一文からも明らかのように見える。

 野田総理は、国民投票で国民の意見を聞こうなどとはまったく考えていない様だし、
私には、『新規の原発建設は断念せざるを得ないが、(完成まで)90数%というものまでは反対されないだろう』 と言っているように聞こえるのだが。