【ネタ倉庫】ライトニング・ストレージ様より
放射線に反応して光るプラスチック「シンチレックス」の開発に成功 (youtubeより)
 【新素材:放射線で光るプラスチック 開発者が根室で実演】
【産学官連携により、革新的な放射線蛍光プラスチック(商標名「シンチレックス」申請中)の開発に成功~安価で高性能な放射線検出器の製造に大きく前進~】

 放射線が当たると青く光るプラスチック製素材を、京都大の中村秀仁助教(放射線物理学)のチームが開発し、北海道根室市で12日、初のデモンストレーションが行われた。従来の素材よりも安価で加工しやすく、福島第1原発事故に伴う食品などの放射線検査への活用が期待できるという。

 開発の基になったのは、市販のペットボトル。放射線が当たると青色発光する性質に中村助教が気付き、帝人化成(東京都)、放射能医学総合研究所(千葉市)との共同研究でペットボトル樹脂を改良して感度を高めた。「シンチレックス」と名付けられた蛍光プラスチックは、従来の放射線検出器に使われる物質と比べて製造コストが10分の1以下に抑えられるという。】

YOMIURI・ONLINEより
【京大助教ら、来月市販化

試作品のカード型放射線検知器(左)を手にする中村助教。アクリル板(右)は反応しないが、試作品は青く光る
 京都大の中村秀仁助教(32)がペットボトル樹脂を改良して開発した放射線センサー「シンチレックス」を使ったカード型放射線検知器が、9月末にも市販されることになった。

 価格は1万円以下になる予定。原発事故で放射線への関心が高まる中、手頃な検知器として期待される。

 中村助教が10日、読売新聞の取材に明らかにした。商品の基本となる試作品は縦約8センチ、横約6センチ、厚さ約5ミリの透明なカード型。一定量の放射線を検知すると、センサーの樹脂が青く光る。中村助教は「ランドセルに付ければ、子供も使用できる」と話す。

 中村助教らのグループは今年6月、ペットボトル樹脂を活用した放射線センサーを開発し、欧州物理学会の速報誌で発表した。従来の測定器などに使われているセンサー素材が数万円以上かかるのに比べ、コストが10分の1以下に抑えられる。

 試作品は12日午後6時半から北海道根室市で開かれる放射線講演会(読売新聞北海道支社など主催)で披露される。】

 京都大学HPより
【産学官連携により、革新的な放射線蛍光プラスチック(商標名「シンチレックス」申請中)の開発に成功~安価で高性能な放射線検出器の製造に大きく前進~

2011年6月29日

 中村秀仁 京都大学原子炉実験所助教、高橋千太郎 同副所長、白川芳幸 放射線医学総合研究所研究基盤技術部長、清水久賀 帝人化成株式会社新市場開発部担当部長らは、

 放射線検出器の重要な部品であるプラスチックシンチレータと同等以上の性能でありながら、製造コストを10分の1以下に低減可能な革新的な放射線蛍光プラスチック(商標名「シンチレックス」申請中)の開発に成功しました。

 中村助教らの研究グループは、既にペットボトル樹脂(以下「PET樹脂)であるポリエチレンテレフタレートが放射線計測用シンチレータとして高いポテンシャルを持つことを発表していますが、産官学の連携の下に開発が加速され、今回の成果に結びついたものです。

 この放射線蛍光プラスチックは、蛍光量、屈折率、密度のいずれにおいても現行のプラスチックシンチレータを凌駕するばかりでなく、加工が容易で丈夫あるという特徴があります。また製造コストは10分の1以下にできると見込まれており、

 今後多くの放射線検出器に応用されると期待できます。特に東京電力福島第一原子力発電所事故の発生により、極めて広範な場面で放射線の計測の必要性が指摘されており、その莫大なニーズに応えることが可能な技術として大きく注目されます。

 本成果は、平成23年6月29日、欧州物理学会速報誌「Europhysics Letters (EPL) 」オンライン版に掲載されました。

 本研究成果のポイント

 現在製品化されている放射線測定用プラスチックシンチレータと同等以上の性能を持つ革新的な放射線蛍光プラスチック(商標名「シンチレックス」申請中)の開発に成功

 外国企業に市場を独占されているプラスチックシンチレータを用いた従来の放射線検出器と比較して、検出部について10分の1以下の価格で製造が可能

原子力災害で高いニーズが見込まれる安価で丈夫な個人線量計、汚染検査サーベイメーター等の開発に大きく前進

研究の背景と目的

 放射線検出器は、放射線の管理に不可欠な機器で、世界の原子力発電所の放射線モニターとしても利用されています。放射線検出器には様々な検出素子が用いられていますが、プラスチックシンチレータは非常に有用な検出素子であり、世界で年間数十億円規模で使用されています。

 しかしながら、高価であるとともに、その市場は外国企業に独占されており、昨今の需要増を背景に、プラスチックシンチレータの価格は高騰しつつあります。また、プラスチックシンチレータでは、発生した光を効率よく検出するため表面に特殊な研磨を行う工程が必要であり、そのこともコスト高の要因になっています。

 中村助教らの研究グループは、こうした現行のプラスチックシンチレータの性能を超える素材の研究の探索を行い、世界的にも大量に使用され価格が非常に安いPET樹脂でも放射線が計測可能であることを示しました(平成22年5月19日報道発表)。

 しかしながら、通常のペットボトルPET樹脂の性能は、放射線が入射した際に発する蛍光量とその蛍光波長の二点で、プラスチックシンチレータに劣っていました。

 そこで、中村助教は、京都大学と放射線医学総合研究所を研究拠点とする研究グループと、高分子素材開発に世界トップクラスの技術力をもつ帝人化成株式会社と連携し、性能の向上と生産技術の開発に取り組み、今回の成果につながったものです。】

 開発者、中村秀仁助教の 所属する、京都大学原子炉実験所には、あの京大熊取六人衆、小出助教も所属しています。