現代ビジネス/より
【東日本大震災は日本の農漁業に大きな爪痕を残したが、特に回復の見通しが立てにくいのは福島第1原発事故による放射能の影響だ。事故収束を目指す国や東京電力の対策が一進一退を続ける中、原発から遠く離れた地域の産品からも規制値を超える放射性物質が検出され、関係者の苦悩の色は深い。

 放射能汚染を理由に日本からの食品輸入を規制する国もまだ多く、政府が掲げた農林水産物の輸出額1兆円という目標は遠ざかる一方だ。

 農林水産省が7月20日現在でまとめた資料によると、日本産の食品について輸入を停止したり、放射性物質の検査証明などを要求しているのは34カ国・地域に上る。

 自国による検査を強化した国も含めると、計42カ国・地域となる。カナダのように輸入規制を解除し、自国内でのサンプル検査だけに改めた国もあるが、全体としては4月ごろからほとんど増減がなく、緩和に向かう傾向はみられない。

 各国の対応を見ると、日本にとって最大の農林水産物輸出先である米国は福島、茨城、栃木、千葉、群馬、神奈川県のホウレンソウやお茶、コウナゴなど一部品目の輸入を停止。

 福島、茨城、栃木3県の乳製品や野菜・果実(加工品を含む)については放射性物質の検査証明を求めている。これでも中東や欧州の各国と比べれば緩い方だ。インドや豪州なども自国側での検査だけで、冷静な対応と言える。

 それ以外の多くは日本製食品の輸入に高い「防波堤」を築いている。過剰反応が特に目立つのは中東諸国で、イラク、クウェート、モロッコ、エジプトはあらゆる日本食品の輸入を全面的に停止。

 日本の近隣諸国では、中国が輸入停止の対象産地を当初の12都県から10都県に減らしたものの、他の産地にも検査証明や産地証明を求めるなど厳しい規制を続けている。韓国は福島など6県のホウレンソウやお茶などを禁輸。その他の都道府県についても検査証明や産地証明を課している。

欧州連合(EU)は宮城、山形、福島、群馬、栃木、茨城、千葉、長野、埼玉、東京、神奈川、静岡の12都県の全食品に検査証明を要求。他の道府県については産地証明を条件としている。ノルウェー、スイス、アイスランドといったEU非加盟の欧州諸国は更に厳しく、新潟を加えた13都県が対象だ。

 こうした輸入規制の多くは、日本国内で行われている出荷制限措置などの範囲を大きく超えるもので、日本政府は「科学的根拠がない」と反発。

 世界貿易機関(WTO)の事務レベル会合や5月の日中韓首脳会談、6月22、23日にパリで開かれた主要20カ国(G20)農相会合(日本からは篠原孝副農相が出席)などの場で繰り返し緩和を求めてきた。

 しかし、日中韓首脳会談では、中国の温家宝首相が一部緩和を表明するなど「リップサービス」はあったものの、抜本的な改善は図られていないのが実情だ。

 7月に入ってからは、稲わらを食べた牛の肉から規制値を超える放射性セシウムが検出されるケースが国内で相次ぎ、各国が輸入規制の対象品目を食肉などに広げる可能性もある。

 世界に広がる風評被害は農家や漁業者、食品メーカーや流通業者の経営基盤を直撃する。売り上げが減るだけでなく、検査証明や産地証明に多大なコストと時間がかかり、鮮度など品質の劣化にもつながるからだ。

 検査費用は1品目あたり2万~3万円程度と高額で、品目ごとに要求されるため、採算が悪化して輸出をあきらめる事例も少なくないという。

 国の原子力損害賠償紛争審査会は国内で生じた風評被害を一定の枠内で補償する指針を示したが、輸出については「47都道府県を一律に輸入停止の対象にするといった過剰な規制まで東京電力に責任を負わすのか」といった意見もあり、論議の行方は不透明だ。

 賠償の範囲が狭く限定された場合、多くの生産者や輸出業者は「泣き寝入り」を強いられることになりかねない。】

「47都道府県を一律に輸入停止の対象にするといった過剰な規制まで東京電力に責任を負わすのか」?
当然、すべての原発事故に起因する実害、風評被害は、東京電力の責任、逃れることは許されない。

 たった一度の原発事故で、日本の食品への信頼は、中国と立場が180度入れ替り、今やまったく信頼を失ってしまった。 有形無形に日本国民が被った損害は計り知れない。

 原発は、これだけの大損害を日本国民に与えながら、彼らが寄生?する、官界、政界、財界、マスコミ、学会、すべてのコネクションを駆使してゾンビの如く生き残り、日本のすべてを破壊し尽くすまで、その存在を消すつもりはないようだ。