JBpress//より
 『居座れ鉄人、僕が菅直人首相を支持する理由』
【漫画「鉄人28号」は、太平洋戦争末期、大日本帝国陸軍が秘密兵器として開発していた鉄人を、少年探偵「金田正太郎」がリモコンで操りながら犯罪者や怪ロボットを倒していく物語だ。

 特にリモコンがこの漫画の大きな特徴で、テレビアニメ版の主題歌にはこんな一節がある。「ある時は正義の味方、ある時は悪魔の手先、良いも悪いもリモコン次第」。鉄人は、リモコンによる操作によって動作するために、操縦者の意志でその行動が変わってしまうのだ。

 これはまるで、力を持っているにもかかわらず、国民の信任がなければ動けない政治家のようではないか。

 最近、菅直人首相の退陣を求める声が多い。超党派で課題に取り組むべきときに、権力争いをするな! という声もよく聞かれる。しかしながら、私はこのような有権者の声に強く疑問を感じる。

 なぜなら、彼らは政治家の過ちを糾弾するばかりで、自分たちの過ちについては全く反省の様子をみせていないからだ。

 ロボットの動きについては文句をつけるが、自分たちの操縦の腕前について反省する人はいない。あなた方は選ぶだけで問題を解決してくれるような、素晴らしいリーダーシップを持つ人材の出現を待ち望んでいるようだ。

 『政治家は掃除ロボットではない』

 しかし、政治家は黙っていても問題解決してくれるような自動掃除ロボットではない。

 あたり前の話だが、操縦者が変わらなければロボットの動きは変わらない。あなた方はこれまで何体ものロボットをスクラップにしてきた。

 そして、そのどれもがうまくいかなかったではないか。そろそろ、操縦者である自分たちに欠陥があることに気づいたらどうだろうか?

 ロボットの性能についての議論よりも、操縦者が自らの欠陥を自覚することがまず先決だろう。そしてこれは、私が菅首相を支持する根拠である。

 例えば、あなた方が自ら「ねじれ国会」を作りだしたのはなぜか。参議院選挙当時でも、ねじれ国会となれば政治が立ち行かなくなることくらい簡単に想像できたはずだ。

 過去の小渕恵三政権、福田康夫政権が、いずれもねじれ国会が原因で退陣に追い込まれていることを知っていて、あえて国を動かせない状況を作り出したのか。

 そうであれば、明らかに操縦者である国民の欠陥であり、ミスである。こうして国を動かせない状況にしておきながら、それを政治家のせいにしているのだから、本当にお気楽だ。

 さらにたちが悪いのは、汚い言葉で政治家を罵る人々や、あげ足を取って喜んでいる人たちである。

 短命政権に呆れていたかと思えば、今度は「居座り」「しがみつき」を非難し始め、再生可能エネルギー促進法案や浜岡原発の停止は、「延命」「人気取り」の文脈でしか語ろうとしない。

 脱原発への道のりは険しいに間違いないが、いつかは通らなければいけない道であることに間違いはない。その道を歩み始めたことは、人気取りであっても支持すべきではないか。

 未来の子供たちのために、あえて厳しい言葉で、政治家を諭しているつもりなのなら、それは全くの逆効果である。評価することなしにオーダーを出し続けることは、政治家への敬意や尊敬を著しく欠いているとしか思えない。

 『評価されない職業に有能な人材が集まるはずがない』

 「正しく評価されない職業」や「尊敬を集めにくい職業」に有能な人材が集まるだろうか。あなた方がしていることは、政治家の芽をつむことと同じである。

 「正しく評価しているがゆえの厳しい言葉だ」といった反論もあるだろう。しかし私には、ねじれ国会を作るような有権者に政治家を評価できるほどの力があるとは思えない。

 大震災による被害やそれに対する対応の遅れにストレスを感じているのだろうが、それを政治家にぶつけることは筋違いだ。

 彼らがなぜスピーディーな対応をできずにいるのか。その原因を作ったのは誰なのか。胸に手をあてて考えてみてほしい。それができないのであれば、いつまでも辛口評論家を気取っていればよい。

 この難局を打破するためには、ロボットを交換するよりも、操縦者が自らの欠陥を自覚することが欠かせない。そのために、まずは何としても菅首相の退陣だけは避けなければならない。

 ロボットを新しくすることは、一時的に新たな世界への希望を抱かせるが、根本的な問題を取り除かないかぎりまた同じ過ちを繰り返すだろう。先送りを促進する麻薬的措置をとるべきではない。

 「敵に渡すな、大事なリモコン。鉄人! 鉄人! はやく行け。ビューンと飛んでく鉄人28号・・・」】

 「鉄人28号」をご存知で無い方も多いかと思いますが、私にはピピッと響いてきます。
特に、「ある時は正義の味方、ある時は悪魔の手先、良いも悪いもリモコン次第」 の件は、その通りと、合いの手を入れたくなります。

 ただ、このリモコン、残念ながら私たちではなく、官僚組織が握っていて、好き勝手に操り、自らの利得のための天下りシステムを作り上げ、天下り組織に税金をすき放題?に取り込んで喰い散らかし、日本の財政を借金だらけの危機的状況に追い込んだ。

 唯一つ、官僚たちの誤算が、菅総理に仕掛けたリモコンだけが、何故か不調で、時々唐突に故障してコントロール不能に陥り、「浜岡を止めろ」とか、「自然エネルギーを20%にする」とか、「ストレステストをしろ」とか、「脱原発依存」とか、「原発再稼動なしで電力不足は乗り切れる」とか、好き勝手なことを言い出したことだ。

 官僚たちは、他の正常に機能しているリモコンで?民主党や自民党の中枢、マスコミまでも操って?菅降ろしに躍起になっているが、菅総理の鈍感力?の前にまったく歯が立たない。

 菅総理は、何も出来ない無能総理と言われながら、「居座り」「しがみつき」「延命」「人気取り」と蔑まされ、海江田大臣はじめ、党幹部・閣僚からさえも見放され孤立無援になりながら、それでも総理の職にしがみ付いて、何かを成し遂げようとしている・・・ように見える。

 ただの、勘違い、買い被りかも知れないけれど・・・少なくとも、
強大な力を持つ官僚組織や、原子力村に、無謀にも立ち向かう勇気、心意気だけは買いたい。