福井新聞より
『関西圏広がる脱原発、県内ピリピリ 西川知事、拙速動きに不満』
【東京電力福島第1原発事故を受け、各地で「脱原発」を求める声が大きくなる中で29日開かれた関西電力の株主総会。
「原発廃止」を求める株主提案は否決されたものの、原子力事業からの撤退を求める意見が続出し、筆頭株主である大阪市の平松邦夫市長は将来的な脱原発を進めるよう提言した。
政府がエネルギー政策の方向性を示せないでいるのをよそに、関西の首長が相次ぎ「脱原発」の姿勢を見せる現状に、国内最多の14基の原発が立地し関西圏の電力需要の約55%を担う本県は神経をとがらせている。
総会で原子力事業からの撤退を求める株主は次々と挙手。「原発を推進してきた安全、経済性、クリーンという全ての理由が福島で否定された」と政策変更を迫った。声を震わせ原発の危険性を訴える株主もいた。
平松大阪市長は「原発の安全性、電力政策の在り方が問われている」と指摘。原発は立地地域の産業振興にも寄与し、国民生活にまで影響が及ぶ問題である点は十分承知しているとした上で、長期的視点での新エネルギー開発を求めた。
これに対し、八木誠関電社長は「エネルギー政策は国民的議論が行われるものと思っている。真摯(しんし)に受け止め、適切に対応する」と強調。ただ「安全確保を大前提に原子力を中心とした最適な電源構成を構築する」とも述べ、その後は幹部が安全対策の説明を繰り返すだけだった。
八木社長は株主総会後の定例記者会見でも、電源のベストミックスを検討するとはしたものの、あくまで基軸は原子力と説明した。
会場の外では市民団体が脱原発を訴えた。高校まで小浜市で過ごした兵庫県の大江和夫さん(61)は「原発事故が起きれば地域に住めなくなり、自然を破壊し、各国に迷惑をかけるという分かり切ったことが現実となった」と強調。「地元から声を上げてほしい」と話した。
原発問題をめぐっては4月、橋下徹大阪府知事が原発の新規建設中止を目指す考えを表明。嘉田由紀子滋賀県知事は先に将来的に原発から卒業する「卒原発」を提唱した。県内でも小浜、越前両市会は脱原発を求める意見書を可決した。
これに対し西川知事は29日の県会本会議でも「原発は将来にわたるエネルギー確保や産業政策、地球環境保護のため重要。現実を直視しながら、冷静に問題を考える必要がある」とあらためて拙速な動きを戒めた。
原発依存度を下げエネルギーの多角化を進める必要性は認めつつも、資源が乏しい国内のエネルギー事情を十分考慮した議論が必要との認識だ。
消費地からの脱原発の動きである点で、県内の反発は根強い。「電力の恩恵を受けながら供給地の感情やコンセンサスを無視している」(中堅県議)と映るからだ。
ただ、現実問題として原発を取り巻く環境は厳しい。
山口県は27日、中国電力が計画する上関原発にストップをかけた。県内でも敦賀3、4号機増設や、美浜1号機の後継炉調査は動きが止まったままだ。既存原発の安全性をめぐる国への不信感も強く、県は定期検査で停止している原発の再稼働を認めていない。
原発との共生路線を選んできた県内の立地自治体の思いは複雑だ。脱原発なら地域の経済・雇用に大きな影響を与える。電力供給地として関西の経済を支えてきた自負ゆえの不満もある。
ある町長は「脱原発は産業の国外流出に直結する」とけん制。エネルギー政策をめぐり冷静に議論を深め、国民的な合意を得ていくには、供給地と消費地の意識の差を埋める取り組みが必要だと訴えた。】
『「脱原発」意見書を全戸配布へ 小浜市会、市民の安全第一』
【小浜市会は9日に全会一致で可決した、「脱原発」を国に求める意見書を全戸配布する。24日に発送される市の広報誌に意見書全文を記した紙を折り込み、市民に市会の考えを知ってもらう。
意見書の可決は、大飯原発から半径10キロ圏内に市民の半数に当たる約1万6千人が住んでいる現状を踏まえ、市民の安全を第一に考えた上での行動だったことを広く知ってもらいたいと、市会で全戸配布することを決めた。
池尾正彦議長は「市民に意見書を直接見てもらうことが大事だと考えた。内容を読んで意見などがあれば教えてほしい」と話している。
意見書では、東京電力福島第1原発の事故を教訓に▽エネルギー政策の抜本的な転換を図り、期限を定めての原発からの脱却▽30年を超す高経年化原発の運転延長を認めない▽避難道路や避難施設などの早急な整備-など5項目を国に求めている。】
京都民報より
『原発からの脱却を求める意見書可決 綾部市議会』
【 綾部市議会は1日、「原子力発電に依存しないエネルギー政策の確立を求める意見書」を全会一致で可決しました。
意見書は、福島第1原子力発電所の深刻な事故について、「綾部市は、14基の原子力発電所が立地する若狭湾に近接し、高浜原子力発電所から半径20キロメートル圏内に市民約2000人が住み、大飯原子力発電所から半径20キロメートル圏内にも約70人が住んでいる。
私たち綾部市民にとっては今回の事故は決して他人ごとは思えない」「日々原子力発電所事故に対し不安と危機感を覚えている」と指摘。国に対し、「期限を決めて原子力発電から脱却し、代替エネルギーへの転換を促進し、それらによる新たなエネルギー政策を定めること」など5点の実施を求めています。】
各自治体の脱原発へのスタンスは、補助金を受けている立地自治体と周辺自治体とではかなりの温度差があるようだ。
各自治体の長は、住民の安全を採るか、補助金や雇用などの経済的利益を採るか、その結果選挙にどのように響くか、難しい選択を迫られている。
『関西圏広がる脱原発、県内ピリピリ 西川知事、拙速動きに不満』
【東京電力福島第1原発事故を受け、各地で「脱原発」を求める声が大きくなる中で29日開かれた関西電力の株主総会。
「原発廃止」を求める株主提案は否決されたものの、原子力事業からの撤退を求める意見が続出し、筆頭株主である大阪市の平松邦夫市長は将来的な脱原発を進めるよう提言した。
政府がエネルギー政策の方向性を示せないでいるのをよそに、関西の首長が相次ぎ「脱原発」の姿勢を見せる現状に、国内最多の14基の原発が立地し関西圏の電力需要の約55%を担う本県は神経をとがらせている。
総会で原子力事業からの撤退を求める株主は次々と挙手。「原発を推進してきた安全、経済性、クリーンという全ての理由が福島で否定された」と政策変更を迫った。声を震わせ原発の危険性を訴える株主もいた。
平松大阪市長は「原発の安全性、電力政策の在り方が問われている」と指摘。原発は立地地域の産業振興にも寄与し、国民生活にまで影響が及ぶ問題である点は十分承知しているとした上で、長期的視点での新エネルギー開発を求めた。
これに対し、八木誠関電社長は「エネルギー政策は国民的議論が行われるものと思っている。真摯(しんし)に受け止め、適切に対応する」と強調。ただ「安全確保を大前提に原子力を中心とした最適な電源構成を構築する」とも述べ、その後は幹部が安全対策の説明を繰り返すだけだった。
八木社長は株主総会後の定例記者会見でも、電源のベストミックスを検討するとはしたものの、あくまで基軸は原子力と説明した。
会場の外では市民団体が脱原発を訴えた。高校まで小浜市で過ごした兵庫県の大江和夫さん(61)は「原発事故が起きれば地域に住めなくなり、自然を破壊し、各国に迷惑をかけるという分かり切ったことが現実となった」と強調。「地元から声を上げてほしい」と話した。
原発問題をめぐっては4月、橋下徹大阪府知事が原発の新規建設中止を目指す考えを表明。嘉田由紀子滋賀県知事は先に将来的に原発から卒業する「卒原発」を提唱した。県内でも小浜、越前両市会は脱原発を求める意見書を可決した。
これに対し西川知事は29日の県会本会議でも「原発は将来にわたるエネルギー確保や産業政策、地球環境保護のため重要。現実を直視しながら、冷静に問題を考える必要がある」とあらためて拙速な動きを戒めた。
原発依存度を下げエネルギーの多角化を進める必要性は認めつつも、資源が乏しい国内のエネルギー事情を十分考慮した議論が必要との認識だ。
消費地からの脱原発の動きである点で、県内の反発は根強い。「電力の恩恵を受けながら供給地の感情やコンセンサスを無視している」(中堅県議)と映るからだ。
ただ、現実問題として原発を取り巻く環境は厳しい。
山口県は27日、中国電力が計画する上関原発にストップをかけた。県内でも敦賀3、4号機増設や、美浜1号機の後継炉調査は動きが止まったままだ。既存原発の安全性をめぐる国への不信感も強く、県は定期検査で停止している原発の再稼働を認めていない。
原発との共生路線を選んできた県内の立地自治体の思いは複雑だ。脱原発なら地域の経済・雇用に大きな影響を与える。電力供給地として関西の経済を支えてきた自負ゆえの不満もある。
ある町長は「脱原発は産業の国外流出に直結する」とけん制。エネルギー政策をめぐり冷静に議論を深め、国民的な合意を得ていくには、供給地と消費地の意識の差を埋める取り組みが必要だと訴えた。】
『「脱原発」意見書を全戸配布へ 小浜市会、市民の安全第一』
【小浜市会は9日に全会一致で可決した、「脱原発」を国に求める意見書を全戸配布する。24日に発送される市の広報誌に意見書全文を記した紙を折り込み、市民に市会の考えを知ってもらう。
意見書の可決は、大飯原発から半径10キロ圏内に市民の半数に当たる約1万6千人が住んでいる現状を踏まえ、市民の安全を第一に考えた上での行動だったことを広く知ってもらいたいと、市会で全戸配布することを決めた。
池尾正彦議長は「市民に意見書を直接見てもらうことが大事だと考えた。内容を読んで意見などがあれば教えてほしい」と話している。
意見書では、東京電力福島第1原発の事故を教訓に▽エネルギー政策の抜本的な転換を図り、期限を定めての原発からの脱却▽30年を超す高経年化原発の運転延長を認めない▽避難道路や避難施設などの早急な整備-など5項目を国に求めている。】
京都民報より
『原発からの脱却を求める意見書可決 綾部市議会』
【 綾部市議会は1日、「原子力発電に依存しないエネルギー政策の確立を求める意見書」を全会一致で可決しました。
意見書は、福島第1原子力発電所の深刻な事故について、「綾部市は、14基の原子力発電所が立地する若狭湾に近接し、高浜原子力発電所から半径20キロメートル圏内に市民約2000人が住み、大飯原子力発電所から半径20キロメートル圏内にも約70人が住んでいる。
私たち綾部市民にとっては今回の事故は決して他人ごとは思えない」「日々原子力発電所事故に対し不安と危機感を覚えている」と指摘。国に対し、「期限を決めて原子力発電から脱却し、代替エネルギーへの転換を促進し、それらによる新たなエネルギー政策を定めること」など5点の実施を求めています。】
各自治体の脱原発へのスタンスは、補助金を受けている立地自治体と周辺自治体とではかなりの温度差があるようだ。
各自治体の長は、住民の安全を採るか、補助金や雇用などの経済的利益を採るか、その結果選挙にどのように響くか、難しい選択を迫られている。