izaより
『東京新聞6月9日24面 こちら特報部 ニュースの追跡』
【内部被ばく覚悟 線量計点検係なし 現場は自己責任状態
福島第一原発事故の対策拠点になっている「免震重要棟」。ここで作業に携わる男性が、こちら特報部の取材に「一番安全といわれる施設内も、かなり放射能汚染されており、内部被ばくを覚悟している」と明かした。原発に不慣れな新人作業員も大勢入ってくる。男性は「もっときめ細かな汚染対策をとってほしい」と話す。(出田阿生)
この四十代男性は、原発の仕事を始めて二十年余り。福島第一原発で長年働いてきた。管理業務が専門だ。自宅は原発近くの警戒区域。震災後、避難所や車中泊でしのいだ後、家族と親戚宅に身を寄せていたが、五月初めから福島第一原発での仕事を再開した。一時は迷ったが、東電関係者の度重なる復帰要請に「これまで原発で食ってきた。何かできないかと思って決断した」という。
男性は主に二階建ての免震重要棟で作業している。1号機から北西約二百メートルに位置し、延べ床面積は約三千七百平方メートル。数百人がひしめき合う中、机が足りず、床の上でメモをとり指示を出している。「最も安全なはずだが、実は汚染だらけ」と話す。
事故前、男性は放射線測定装置で四〇〇〇cpm(一分当たりの放射線検出数)の数値が出ると、「強い汚染」とみなされ、始末書を書かされていた。福島第二原発では現在、「除染」が必要なレベルを六〇〇〇cpmに設定している。しかし、男性は、第一原発の免震重要棟内で「一万cpmを超える場所が複数ある」という。
放射線量が多いと内部被ばくの恐れがあるためガムをかむことさえ許されなかったが、いまは「汚染された廊下に座り、ひしめき合いながら食事をしている。隣の人に体が触れる窮屈さだ」。食事内容は現在も、パンやおにぎり、ソーセージ、缶詰、レトルト食品などだ。「被災地の避難所で余った支援物資の食べ物を回してほしいとさえ思う」という。
男性は「こんなに汚染された場所で呼吸し食事しているのだから、ある程度の内部被ばくは覚悟している。体内に放射性物質がどんどん蓄積されていると思う」と感情を抑えるように話す。「特に原発で初めて作業する人は、危ない場所を知らない。せめて張り紙などで汚染状況を注意喚起してほしい」
実際、第一原発では免震重要棟で働く社員らが、相次いで限度量を超えて被ばくしたことが判明。原子力安全・保安院は五月末、東電に対し「労働者の被ばく管理がずさん」と厳重注意した。
東電は免震重要棟での被ばくは、原発の爆発事故で扉がゆがみ、隙間から放射性物質が入り込んだためと推測、出入り口に空気清浄機を備えた小部屋を設置するなどの対策をとった。
しかし、男性は「外から放射性物貫を極力入れない対策をとっても、すでに棟内が汚染されてしまっている」とみる。仕事仲間は「放射能を膨大に食ってる(被ばくしている)人がいる」という。作業員は線量計を携行する決まりだが「貸出係りはいても、点検係がいない。線量計なしでも現場に入れる状態になっている。自分の身は自分で守れ、事故責任でやれということだろう」とあきれ顔だ。
東電広報は「免震重要棟内の汚染ば一○○○cpm程度であり、一万cpmという数値は確認していない」と話す。作業員への食事についても「五月下旬から弁当を支給している」としており、男性の主張とは異なる説明をした】
こんな状態では、被ばく管理など有名無実、何とか改善出来ないものだろうか?
『東京新聞6月9日24面 こちら特報部 ニュースの追跡』
【内部被ばく覚悟 線量計点検係なし 現場は自己責任状態
福島第一原発事故の対策拠点になっている「免震重要棟」。ここで作業に携わる男性が、こちら特報部の取材に「一番安全といわれる施設内も、かなり放射能汚染されており、内部被ばくを覚悟している」と明かした。原発に不慣れな新人作業員も大勢入ってくる。男性は「もっときめ細かな汚染対策をとってほしい」と話す。(出田阿生)
この四十代男性は、原発の仕事を始めて二十年余り。福島第一原発で長年働いてきた。管理業務が専門だ。自宅は原発近くの警戒区域。震災後、避難所や車中泊でしのいだ後、家族と親戚宅に身を寄せていたが、五月初めから福島第一原発での仕事を再開した。一時は迷ったが、東電関係者の度重なる復帰要請に「これまで原発で食ってきた。何かできないかと思って決断した」という。
男性は主に二階建ての免震重要棟で作業している。1号機から北西約二百メートルに位置し、延べ床面積は約三千七百平方メートル。数百人がひしめき合う中、机が足りず、床の上でメモをとり指示を出している。「最も安全なはずだが、実は汚染だらけ」と話す。
事故前、男性は放射線測定装置で四〇〇〇cpm(一分当たりの放射線検出数)の数値が出ると、「強い汚染」とみなされ、始末書を書かされていた。福島第二原発では現在、「除染」が必要なレベルを六〇〇〇cpmに設定している。しかし、男性は、第一原発の免震重要棟内で「一万cpmを超える場所が複数ある」という。
放射線量が多いと内部被ばくの恐れがあるためガムをかむことさえ許されなかったが、いまは「汚染された廊下に座り、ひしめき合いながら食事をしている。隣の人に体が触れる窮屈さだ」。食事内容は現在も、パンやおにぎり、ソーセージ、缶詰、レトルト食品などだ。「被災地の避難所で余った支援物資の食べ物を回してほしいとさえ思う」という。
男性は「こんなに汚染された場所で呼吸し食事しているのだから、ある程度の内部被ばくは覚悟している。体内に放射性物質がどんどん蓄積されていると思う」と感情を抑えるように話す。「特に原発で初めて作業する人は、危ない場所を知らない。せめて張り紙などで汚染状況を注意喚起してほしい」
実際、第一原発では免震重要棟で働く社員らが、相次いで限度量を超えて被ばくしたことが判明。原子力安全・保安院は五月末、東電に対し「労働者の被ばく管理がずさん」と厳重注意した。
東電は免震重要棟での被ばくは、原発の爆発事故で扉がゆがみ、隙間から放射性物質が入り込んだためと推測、出入り口に空気清浄機を備えた小部屋を設置するなどの対策をとった。
しかし、男性は「外から放射性物貫を極力入れない対策をとっても、すでに棟内が汚染されてしまっている」とみる。仕事仲間は「放射能を膨大に食ってる(被ばくしている)人がいる」という。作業員は線量計を携行する決まりだが「貸出係りはいても、点検係がいない。線量計なしでも現場に入れる状態になっている。自分の身は自分で守れ、事故責任でやれということだろう」とあきれ顔だ。
東電広報は「免震重要棟内の汚染ば一○○○cpm程度であり、一万cpmという数値は確認していない」と話す。作業員への食事についても「五月下旬から弁当を支給している」としており、男性の主張とは異なる説明をした】
こんな状態では、被ばく管理など有名無実、何とか改善出来ないものだろうか?