『万一のリスク同じでも… 周辺と立地 差は歴然
【 小浜市の内外海半島先端に位置する泊区。海を挟んで大飯原発が肉眼ではっきりとらえることができる。50代の男性は住民の気持ちを代弁するようにつぶやいた。
 「おおい町に原発のお金が落ちても、小浜市には少ししか落ちない。小浜市に落ちても泊には落ちない。万一の事故が起きたとき(の被害)は同じなのに…」
 おおい町中心部の本郷地区から大飯原発までの距離は約8キロ。これに対し泊区からは4キロ余り。だが、電源三法制度では距離に関係なく、おおい町は「立地」、小浜市は「周辺」と厳格に色分けされる。
 この差は、国からの電源三法交付金、県からの核燃料税交付金の配分額にも反映される。小浜市への交付は累計総額86億円、おおい町は387億円。先の男性は「小浜は原発誘致を選択しなかったが、不合理さは感じる」と漏らす。
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 10年近く前、財政難を解決する方策として小浜市では、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を誘致しようとする動きが市会を中心に起きた。2004年の市長選では、誘致に反対する当時の現職村上利夫市長に推進派の市議が挑み、大きな争点となった。結局、推進派は敗れ、誘致話は消えた。
 00年に市長になった村上氏は、かつて「御食国(みけつくに)」と呼ばれた小浜の歴史に着目し、「食」をテーマにした施策を全国に先駆けて展開。食のまちづくり条例の制定や御食国若狭おばま食文化館建設、若狭路博開催などに取り組んだ。その後、同市も舞台となったNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」の効果も重なり、観光客は増加した。
 村上氏は、原発そのものを否定したわけではなく「原発は現に周辺にあり、共存共栄という考えは一貫していた」と振り返る。その上で原発関連施設の誘致に頼らないまちづくりを進めた理由を「まちづくりは歴史や文化、自然などを生かさなければ個性あるものはできないし、定着しない」と説明する。
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 08年に初当選した松崎晃治市長も基本的な路線を継承する。「食のまちづくりを経済、産業面に波及させ、ステップアップしていく必要がある」とし、4月に第三セクター「株式会社まちづくり小浜(おばま観光局)」を設置して、観光振興や経済活性化に本腰を入れ始めた。
 米大統領選では市と同名のオバマ氏を応援する運動が国内外で注目を集めた。「お金がないと知恵が出てくる」と松崎市長。行財政改革も進め、職員数はピーク時の65%にまで減らした。08年度決算では実質単年度収支が5年ぶりに黒字転換した。
 それでも、気にかかるのは、豊かな財政を背景にした立地市町の住民サービスとの格差だ。例えば、子どもの医療費が高浜、美浜両町は中学卒業まで、おおい町は小学卒業まで無料。小浜市は現在、未就学児までだが市民の要望も強く、引き上げを検討している。
 「非常に苦労して原発を誘致したことは理解しているが、万一のときは同じ。原発からの距離を交付金などにもう少し配慮してもらえれば…」。松崎市長の偽らざる本音だ。】

国民の貴重な税金から出た原発マネーが、福井の人たちを狂わせた?
なぜ、こうまでして悪魔の火(唯一の人類滅亡可能兵器)原子力に頼らなければならなかったのか?
本当は、誰の利益のためだったのか?