毎日JPより
【 福島第1原発の集中廃棄物処理施設で働いていた60代の男性作業員が心筋梗塞(こうそく)で死亡した。同原発には1000人近い作業員が昼夜働いているが、絶えず放射線の危険にさらされ、蒸し暑くて重い防護服を着ての作業は過酷を極める。疲労が蓄積し、熱中症にかかる人もいる。作業員が倒れたのでは修復が遠のくばかりだ。長期化に備えて安全と健康管理に万全を期すべきである。

 作業員が同原発内の医務室に運ばれたのは14日午前6時50分ごろだった。同原発には勤務医が1人しかおらず、勤務時間(午前10時~午後4時)外は治療が受けられない。このため男性は約20キロ離れた支援拠点の「Jヴィレッジ」に運ばれた。同所には医師3人が詰めているが、医療設備は十分に整っていない。心臓マッサージなどをしたが回復せず、男性は原発から約45キロ離れたいわき市内の病院に運ばれ、そこで死亡が確認された。体調不良を訴えてから2時間以上が過ぎていた。

 東京電力は経済産業省経由で産業医科大(北九州市)に医師の派遣を依頼、計19人の医師が今月中旬から6月末まで同原発内で救急初期対応に当たることになった。さらに同大は計約80人の医師を応援派遣し、福島第1・第2原発で働く作業員の健康診断を行い内部被ばくなどのチェックをする。従業員の健康管理は事業所責任が原則ではあるが、復旧の見通しが立つまでは厚生労働省や文部科学省なども医療体制のバックアップに努めるべきではないか。

 宿泊場所や食事にも問題がある。第1原発の免震棟や体育館には計約400人が寝袋と毛布で仮眠しているが、すし詰め状態でよく眠れない人もいるという。第2原発や「Jヴィレッジ」も宿泊場所となっているが、シャワーが使えないなどの劣悪さは変わらない。それが2カ月以上続いてきたのだ。

 東電は今月中旬から仮設プレハブ寮を建てベッドやシャワーを増設する計画を進め、食事もレトルト食品だったのが弁当とパンになった。小さな不注意が命取りにつながりかねない現場である。作業員の疲労回復には最善を尽くしてほしい。

 心配されているのが被ばく線量の蓄積だ。放射線業務従事者は上限が5年間で100ミリシーベルトと決められている。国は福島第1原発の復旧に限り250ミリシーベルトに引き上げた。すでに100ミリシーベルトを超えた作業員が30人いる。東電社員ではなく下請けや2次下請けの作業員も多く、中には放射線管理手帳に線量が正確に記載されていない人もいるといわれる。

 「緊急事態」を理由に作業員を犠牲にしてはいけない。暑い夏場に向け、作業員を守っていくしかない。】

 先日の報道でも、全体の1割の方しか内部被ばくの調査がなされていないとありましたが、この1割とは、東電社員だけ?ということでしょうか、人の命に貴賤はないと言いますが、歴然とした待遇の差別があったという事でしょうか。
 それとも、厳格に内部被ばくの調査をすれば、作業員が足りなくなってしまうと云うことでしょうか?