ル・モンド紙より
ラジオ批評ブログさん翻訳
FRANCE MEDIA NEWSさんから
【このロビーは、原子力関連の省庁を退官したキャリア官僚を電力会社に「天下り」させ、情報隠蔽の仕切り役となった。このロビーは、出版やテレビで原子力は絶対に安全だと思わせるために、主要広告代理店に資金をつぎ込んでいる。

2009年に権力の座に就いたものの、民主党は、強力な労働組合連合会である連合の支持を受けているので、この新しい与党は引き継いだ遺物を修正するに至っていない。連合の主要構成員のひとつは原子力に最も密接なエネルギー部門の労働者を組織している組合である。

福島の原発は、1956年にチリを襲った津波に匹敵する5.5mの津波に耐えると想定されていた……。原子炉は地震に持ち堪えて自動停止したが、冷却システムは、充分に保護されていなかったため機能停止した。『東京新聞』によると、福島原発の設計にあたった東芝の2人の技術者は、「かなり低いリスク」しか計算の基準として織り込まれていなかったと考えているようだ。

元東芝の技術者は、匿名で証言し、こうも発言した。「日本が直面しているのは自然災害だけではなく、人災でもある」。『ウォール・ストリート・ジャーナル』の長文記事は、共産党衆議院議員で元原子力技術者の吉井英勝によって公開されたデータを取り上げている。

原子力安全・保安院の報告書に基づいて書かれ、2010年に出版された著書の中で彼は、福島原発は、日本全体の中で、最も多い件数の事故を経験した原発で、そのうち約15件は2005年から2009年の間に起きていることと、過去10年間の従業員の被曝が最も多いことを実証した。同様に、多くの場合経験の少ない下請け業者に原発の保守が任されていたことも指摘されており、彼らは現在、献身的に大惨事と格闘している。】

FRANCE MEDIA NEWSから
【仏日刊紙ル・モンドは26、27日版紙面で福島原発の状況と東京電力に関する特集記事を掲載している。「日本人は原子力災害を意識し始めているものの、未だ事故の重大性には気づいていないようだ」と冒頭で同紙の東京特派員は語る。特派員によれば、「新聞、民放テレビ局、インターネットのブログなどで語られる原子力専門家の話を聞いていると、この一連の悲劇の背景に「原子力業界のロビー活動」が見え隠れしている」という。

日本の「原子力ロビー」

 この「原子力ロビー」には原子力事業を総括する経済産業省と同省の管轄である原子力安全・保安院、電力各社、電気事業連合会(電事連)、そして発電所を建設する東芝や日立といった産業界の大企業が関与し、「非常に大きな資産と影響力」を誇っているという。また、原子力関連の官庁からの天下り社員が送られることにより、完全な「情報統制」を行うだけでなく、出版やテレビ局を通じて大規模な広告キャンペーンを繰り広げ「原子力は100%安全である」という神話を築いて来た。さらに、現在の与党民主党は原子力エネルギー業界出身の組合員が多い労働組合「連合」を支持層にしているため、2009年の政権交代後もこの状況に変化はなかった。同紙は、「この行政、監督官庁、原発建設企業そして電力会社間の緊密な関係が原発反対派を黙殺し、さらに原子力に関するあらゆる疑問を回避してきた」と指摘。電力各社は「1970年代以降から度重なる原発事象を隠蔽、改ざんし続けて来た。当時最も批判が集中したのは東京電力である」と付け加える。

安全よりもコスト削減

 ル・モンド紙は未確認の情報とした上で、「電力各社は長期的な原発の安全性よりも短期の利益勘定を優先し、世界で最も地震と津波が多い日本国土の危険性を考慮していない」という東電元社員の証言を紹介。福島原発は1956年に発生したチリ地震をモデルにして5,5メートルまでの波にしか耐えられるように設計されていなかったたため、地震発生時原子炉は自動停止したものの、冷却システムは津波の影響で完全に機能を失ってしまった。東京新聞では福島原発の建設に関わった当時の東芝の技師が「設計時の耐震基準が低すぎた」と告白している。】