米ブルームバーグ誌より
【コラム】菅首相が辞めただけで雲が晴れることはない-W・ペセック
【 日本経済の将来は、政治システムの抜本的改革なしには、福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故のように雲行きが怪しくなる。世界3位の経済大国が突然、混乱に陥った今の焦点は、3月11日の東日本大震災とその後の原発事故が日本の今年の国内総生産(GDP)にどのような影響を与えるのかだ。そして、高齢化が進んでいる上に、デフレに苦しみ続ける日本経済が今から5年、10年、20年後にどのような姿になっているかを深く考える必要がある。
日本には国を事実上動かしている官僚から権限を奪い取る強い首相が必要だが、実際にそうした首相がいても、有力な政治家らが改革を阻止し、そうしたリーダーの追放に動く。
官僚支配
1990年代に厚相として官僚を指揮し薬害エイズ問題の解決を目指した菅首相は、ここ数十年では政治家一族の出身でない数少ない首相だ。菅首相が10カ月前に官僚から権限を奪う方針を示した際、投資家は興奮した。われわれ外国の報道陣は菅政権が記者会見を閉鎖的な日本の「記者クラブ」部会者にも開放するよう動いたことを歓迎した。だが既得権益を握る者たちが集結し、現状維持を図っている。
政府内に堕落をもたらす最も大きな要因の1つは、政治家による絶対的基盤の形成だ。長くその座にいると影響力が強まり、個人的成功を目指し変化を避けようになる。政府をむしばむ別の問題もある。官僚が退官後にかつて監督していた業界に再就職する「天下り」だ。
官僚は一般国民ではなく将来の雇用主のために働くようになる。福島第一原発を運営する東京電力の安全に関する報告の虚偽記載とリスクの過小評価が繰り返されていたことは、国民に目を向けない官僚組織があったためかもしれない。
官僚支配の打破を目指し最近では異例の長期政権となった自民党の小泉純一郎元首相でさえ、2001-06年の在任期間中の成果は限られたものでしかなかった。菅首相と小泉元首相は政党もイデオロギーも異なるが、ぶつかったのは「日本株式会社」という同じ壁だ。】
アメリカの投資家向け有力誌『Bloombeag』が見る、悲しい日本の姿です。
官僚支配の実態をここまで書けるのは、さすが『自由の国アメリカ』というところでしょうか。
【コラム】菅首相が辞めただけで雲が晴れることはない-W・ペセック
【 日本経済の将来は、政治システムの抜本的改革なしには、福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故のように雲行きが怪しくなる。世界3位の経済大国が突然、混乱に陥った今の焦点は、3月11日の東日本大震災とその後の原発事故が日本の今年の国内総生産(GDP)にどのような影響を与えるのかだ。そして、高齢化が進んでいる上に、デフレに苦しみ続ける日本経済が今から5年、10年、20年後にどのような姿になっているかを深く考える必要がある。
日本には国を事実上動かしている官僚から権限を奪い取る強い首相が必要だが、実際にそうした首相がいても、有力な政治家らが改革を阻止し、そうしたリーダーの追放に動く。
官僚支配
1990年代に厚相として官僚を指揮し薬害エイズ問題の解決を目指した菅首相は、ここ数十年では政治家一族の出身でない数少ない首相だ。菅首相が10カ月前に官僚から権限を奪う方針を示した際、投資家は興奮した。われわれ外国の報道陣は菅政権が記者会見を閉鎖的な日本の「記者クラブ」部会者にも開放するよう動いたことを歓迎した。だが既得権益を握る者たちが集結し、現状維持を図っている。
政府内に堕落をもたらす最も大きな要因の1つは、政治家による絶対的基盤の形成だ。長くその座にいると影響力が強まり、個人的成功を目指し変化を避けようになる。政府をむしばむ別の問題もある。官僚が退官後にかつて監督していた業界に再就職する「天下り」だ。
官僚は一般国民ではなく将来の雇用主のために働くようになる。福島第一原発を運営する東京電力の安全に関する報告の虚偽記載とリスクの過小評価が繰り返されていたことは、国民に目を向けない官僚組織があったためかもしれない。
官僚支配の打破を目指し最近では異例の長期政権となった自民党の小泉純一郎元首相でさえ、2001-06年の在任期間中の成果は限られたものでしかなかった。菅首相と小泉元首相は政党もイデオロギーも異なるが、ぶつかったのは「日本株式会社」という同じ壁だ。】
アメリカの投資家向け有力誌『Bloombeag』が見る、悲しい日本の姿です。
官僚支配の実態をここまで書けるのは、さすが『自由の国アメリカ』というところでしょうか。