平泉澄の銀座講演(仮題「歴史の真実」)題目紹介 | 玲瓏透徹

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はじめに

 大東亜戦争敗戦とともに東大教授を辞職した歴史学者・平泉澄が昭和29年から昭和37年にかけて行った講演を、日本学協会の月刊誌『日本』は平成11年から平成15年にかけて、「歴史の真実」と題して掲載した。その連載回数は45回にわたり、それぞれについて「編集部の責任で」題名(「歴史の真実」)と副題がつけられている。

 本記事では、45回の連載それぞれの副題と、その号数・発刊年月、講演年月を掲げた。もともとは自分用に作ったリストだが、平泉に関心を持つ人々の便宜になればよいと考え、ここに公開する。

 

「歴史の真実」副題一覧

昭和29年10月8日(銀座)
一 (副題なし) 日本 49(3);1999・3 - 
二 乃木将軍と菅沼貞風 日本 49(4);1999・4 - 
三 米欧のアジア侵略と橋本景岳 日本 49(5);1999・5 - 

 

昭和29年11月9日(銀座)
四 日本の皇紀 日本 49(6);1999・6 - 
五 日本民族の起源 日本 49(7);1999・7 - 
六 日本歴史の美しさ 日本 49(8);1999・8 - 

 

昭和29年10月10日(銀座)
七 北畠家の忠誠 日本 49(9);1999・9 - 
八 北畠親房公と神皇正統記 日本 49(10);1999・10 - 
九 日本歴史の光と影 日本 49(11);1999・11 - 

 

昭和30年2月7日(銀座)

十 道義の人大西郷 日本 49(12);1999・12 - 
十一 米国の海外政策と大東亜戦争 日本 50(1);2000・1 - 
十二 露国アジア侵略と日露戦争 日本 50(2);2000・2 - 

 

昭和30年2月7日(銀座)

十三 山田重忠と鎌倉武士 日本 50(3);2000・3 - 
十四 歴史教科書と日本古代史の諸問題 日本 50(4);2000・5 - 

 

昭和30年2月8日(銀座)
十五 日本民族の由来 日本 50(7);2000・7 -  
十六 邪馬台国と七支刀 日本 50(8);2000・8 - 
十七 広開土王碑と古代日本文化の独自性 日本 50(9);2000・9 - 
十八 大智禅師と菊池一族 日本 50(10);2000・10 - 

 

昭和30年5月16日(銀座)
十九 国家の盛衰と日本の武士道 日本 50(11);2000・11 - 

 

昭和30年5月18日(銀座)
二十 日本書紀の所伝の正しさ 日本 50(12);2000・12 - 
二十一 戦国武将にみる決断力 日本 51(1);2001・1 - 

 

昭和32年11月19日(銀座)
二十二 人物考察の眼目 日本 51(2);2001・2 - 
二十三 人物考察の眼目(続) 日本 51(3);2001・3 - 

 

昭和32年10月19日(銀座)

二十四 水戸義公と伯夷伝 日本 51(4);2001・4 - 
二十五 義公の修史と出版書 日本 51(5);2001・5 - 
二十六 義公の修史と出版書(続) 日本 51(6);2001・6 - 

 

昭和32年11月20日(銀座)

二十七 大江匡房とクラウゼヴィッツ 日本 51(7);2001・7 - 
二十八 義公の修史と出版書(続々) 日本 51(8);2001・8 - 

 

昭和32年11月21日(銀座)

二十九 大日本史の三大特筆 日本 51(9);2001・9 - 
三十 大日本史と聖徳太子 日本 51(10);2001・10 - 
三十一 水戸義公畢生の念願 日本 51(11);2001・11 - 

 

昭和36年11月20日(大手前パレスビル)

三十二 宸筆と名門大家の日記(一) 日本 51(12);2001・12 - 
三十三 宸筆と名門大家の日記(二) 日本 52(1);2002・1 - 
三十四 宸筆と名門大家の日記(三) 日本 52(2);2002・2 - 

 

昭和36年11月21日(大手前パレスビル)

三十五 崎門学と宝暦事件 日本 52(3);2002・3 - 
三十六 竹内式部と岩倉具視 日本 52(4);2002・4 - 

 

昭和36年11月22日(大手前パレスビル)

三十七 旧家にみる家風 日本 52(5);2002・5 - 
三十八 フランス革命の真相 日本 52(6);2002・6 - 
三十九 豪快なる外交官 日本 52(7);2002・7 - 

 

昭和37年11月21日、22日(大手前パレスビル)

四十 大東亜戦争開戦の真相と伊東正徳氏の曲筆 日本 52(8);2002・8 - 

 

昭和37年11月19日(大手前パレスビル)
四十一 明恵上人(上) 日本 52(9);2002・9 - 
四十二 明恵上人(中) 日本 52(10);2002・10 - 

 

昭和37年11月20日(大手前パレスビル)
四十三 明恵上人(下) 日本 52(11);2002・11 - 
四十四 忍の城 日本 52(12);2002・12 - 

 

昭和37年11月21日(大手前パレスビル)
四十五 修学院離宮 日本 53(1);2003・1 - 

 

おわりに

 以上の内容は国会図書館デジタルコレクションで公開されている。上のリストも、それを閲覧しながら手で作成したものである(写し間違いなどあれば申し訳ない。尤も、元が間違っていて後の号に訂正が出ている場合もある)。これらの講演は、田中卓『平泉史学と皇国史観』(青々企画、平成12年)所収「平泉澄博士著述・講演目録(稿)」で「第何回銀座講演」として記載されているものの一部と見られる。

 月刊誌『日本』は、これ以外にも、世に出回っていなかったり入手困難だったりする平泉の講演記録や文章などを小出しに掲載している。そのような平泉の言説にアクセスできるのは、平泉の門弟・門流などによる活動による賜物である。願わくは、月刊誌に小出しにするよりも、まとまった書籍として刊行していただければありがたいのだが、諸事情により困難なのであろう。