少しマセガキだった思春期。中1の頃から少し大人びた曲ばかりを聴いていた。というか、アンニュイの薫り漂うアーティストを好んでいた。

それは、中2で高知に転居してからも続いた。暗黒の2年間を終えて、高校に入学した。スイミングを辞めたこともあり、夜にテレビを観る機会も増えた。それまでにも薬師丸ひろ子や伊藤麻衣子に惹かれた時期もあったが、どちらかと言えばドラマや映画に感情移入する形での「好き」になる過程を辿る。


だが、キラキラしたアイドルを初めて可愛いと思ったのが高校1年の春。glicoのカフェゼリーのCMの曲に一目惚れならぬ、一聴き惚れした。後からわかるのだが、竹内まりやが作った歌だ。好きにならぬはずがない。


高1の秋、修学旅行のバスの中、なんかの罰ゲーム的な順番で歌を歌わされた。昭和59年だ。カラオケなんか常備されてない。マイクだけ渡され、アカペラで歌う。親友の池がサザンの「ミスブランニューデイ」を歌った後、私が歌わされる。


まさしくドン引き。


でも、高校に入って、他の人が知っている、そして、自分も好きな歌はこの歌しかなかった。


軽井沢の美しい風景と冷や汗を思い出す。


「ファースト・デイト」 岡田有希子