自宅ゲーム会424 前半 入札級関ヶ原 | とりあえず日々ボードゲーム

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日本の片隅、島根県の浜田市で日々ボードゲームにはまっている管理人が、とりあえずボードゲームについて色々と書いていく(予定)のブログです。

令和4年5月22日 

 

 さて、本日も午前中に用事が入っていたのですが、これまた予定以上に早く終わったので時間をもてあましていた(らしき)ちいを誘って2人でのゲーム会です。

 

☆入札級関ヶ原(ゲームジャーナルNo.32号付録)

○概要

作者:北条投了

対象年齢:- -

対象人数:2人

標準時間:- -

 

 戦国時代における関ヶ原での西軍(豊臣家)と東軍(徳川家)の決戦をテーマにしたウォーゲームです。ちなみに、本作は関ヶ原盆地での決戦当日を扱っていますが、この後でプレイした合戦当日だけでなくその前後の期間を含めるとともにより広範囲を舞台にしたもうひとつの関ヶ原の戦いとの2in1となっています。

 

①ゲームの開始時に各ターンに発生するイベントに対して両軍が勝利点を秘密裏に割り振ります。

②ターンの最初にそのターンのイベントに対して東軍が割り振った勝利点を公表し、西軍が同数以上割り振っていればイベントの妨害、未満であればそのイベントが発動します。

③東軍から手番を行い、移動及び戦闘を行います。戦闘では戦闘比とダイスにより損害を判定します。

④戦闘の後で、損耗しており敵ZOC外にいる部隊は回復判定を行います。

⑤東軍の後に西軍の手番を行ってからターンが終了します。

⑥これらを繰り返し、西軍が徳川家康を討ち取ると西軍が勝利となり、それ以外の場合は規定のターン終了時に得点を計算し、より多くの得点を獲得したプレイヤーの勝利となります。

 

○プレイ経過

 西軍を担当しイベントに入札を行ってからゲームを開始します。ゲーム開始時には西軍は西側の主力部隊(青)のみで、小早川を中心にした松尾山周囲の勢力、毛利を中心とした朝倉山の勢力は傍観しています。反対に徳川軍も西軍に近い先鋒部隊のみで中央に位置する徳川本隊、その後方に位置する後詰は動きません。

 

 序盤。徳川方の計略は順調に挫きつつ、強力な東軍諸大名の攻撃を何とか捌いています。ただ、徳川方にとって唯一成功した計略である国崩しの故障は戦況に思いのほか影響を与えます。

 

 というのも北側を守る石田軍本隊は戦闘力は良いとしても数が少なく、それを守る位置に配置された国崩し(大砲)が防衛の要と目されていました。ただ、これが故障したことで数に劣る石田軍は黒田、細川といった東軍北側主力の猛攻を支えきれません。結局、入札に競り勝ち早めに動き出した島津軍とともに何とか守りを固めようとしたものの、義弘ともども包囲され石田光成自身が討ち取られてしまいます。

 

 とはいえ、石田軍を中心とした北側の瓦解は厳しかったのですがここで西軍は終わらず。小早川軍や東に位置する毛利軍の戦意がやけに高く(ダイス判定が上手くいき)イベントで動きだすタイミングが早まり西軍にたっての参戦となります。この戦況に小早川の大軍はありがたく、中央から宇喜田、小西の両軍を北側の守りにまわすことで何とか戦線を維持することにも成功します。

 

 また東側は毛利の大軍が北上し、浅野、池田を中心とした東軍後詰を攻撃し突破を狙います。数に劣る東軍の後詰が奮戦していたこともあり戦力比ほど順調とは言いがたくはありましたが、それでも数に勝る毛利軍は徐々に侵食し徳川軍の後方を脅かしつつあります。

 

 そんな中、西側において徳川本隊が前線に到着します。さすがに徳川軍本隊は質量ともに強力で、小早川によって瓦解した南側を即座に建て直すどころか小早川軍を攻め立て逆に小早川軍が包囲殲滅の憂き目にあうこととなります。

 

 この時点の西側の戦況はかなり厳しいものでしたが、別働隊を単独機動させて中央に位置する陣馬野の占拠をするとともに、東側では後詰を迂回させようやくが街道までの突破に成功、さらにイベントの効果もあり西軍の攻撃に一挙に3シフトがついたことで戦況が逆転します。ここまで寡兵ながらも東側を支えていた東軍後詰はあっという間に瓦解し、西側においても反撃を開始します。

 

 タイミング悪く小早川包囲のため前線に出ていた徳川家康を小川祐忠が強襲します。渡河もあり通常の戦力差であれば家康が負けるような状況ではありませんが3シフトの影響は大きく戦闘結果表は有効打を含む領域に、さらに退却率1/3の確率を振りあてたことにより退路のない徳川家康の討ち取りに成功します。これにより西軍の勝利が確定することとなりました。

 

○評価

 関ヶ原の戦いをテーマにしたタイトルは大きく関ヶ原盆地の決戦当日を扱ったものとその前後の期間におけるより広範な戦略を扱ったものがありますが、本作は前者の関ヶ原盆地の決戦を扱ったウォーゲームです。

 基本的なシステムとしては厳しめなスタック制限による運用に注意が必要な点こそあれど、東軍が移動と戦闘を行いその後西軍が移動と戦闘を行うという非常にオーソドックスなものとなっています。ただ、本作のタイトルともなっている「入札」というのが独特な要素で、関ヶ原というと小早川の裏切りであったり、空弁当、島津の参戦拒否からの中央突破など、この合戦の中で史に残るような様々な出来事が発生していますが、これら関ヶ原にまつわるあれやこれやをゲーム開始時に勝利点を入札しその多寡を比較することで発動判定しようという仕組みが特徴となっています。この仕組み自体は徳川による勢力の調略などをスマートに処理したなあという感はあって、入札における駆け引きや判定による戦況の変化(もしくは計略失敗により変化しないか)への対応などは面白くなっています。

 一方で、各イベントでどのようなことが起こるかは書かれているものの、実際に戦場への影響力がどの程度になり、どの程度の勝利点を費やす価値があるかという入札に関する相場が分からない初見の難しさというのはあると思います。また、今回がそうだったのですが、一部のイベントが成功(もしくは失敗)するとそこから後に続くイベントが全く効果を発揮せずに終わるということもあるようにイベントが相互に影響する部分も初見での把握は厳しいですね。ついでにいえば、入札の結果とはいえ全くの不発に終わるのは寂しいものがあるといえばあったかな。

 とはいえ、このあたりを把握してから望むと(一応本誌の方にも参考となる入札の相場が記載されてはいます)、ゲーム開始時の勝利点の割り振りと、その結果による両軍のどたばたをどう組み立てて勝利を目指すかが楽しめるタイトルになっていると思います。 

 

 

 後半続きます。

 

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