令和2年12月30日
さて、トワイライトストラグルが終わり色々と考えた結果、今年最後のタイトルがこちらに決定。
☆ワルシャワ1920(BANZAIまがじん別冊)
○概要
作者: 中黒靖
対象年齢:12歳以上
対象人数:2人
標準時間:120分程度
ボンサイゲームズさんの2020年後半のタイトルで、1920年に勃発したソビエト・ポーランド戦争をテーマにしたウォーゲームです。管理人は「ストライクオブザイーグル(「自宅ゲーム会205 前半」を参照。)」で同テーマにふれたことがあるものの、まだまだテーマ的には馴染みが薄いですが、冊子の方にはしっかりと本戦の背景や経緯が書かれており参考になります。
①担当する勢力を決定しセットアップを行います。
②ターンには順番にポーランド、ロシアの順で手番を行います。
③手番には最初に増援の配置を行ってから3つの作戦フェイズを行います。フェイズではそれぞれ全軍の移動もしくは戦闘のどちらかを行います。
④ポーランドの作戦フェイズは特定のターンまで回数が制限されます。
⑤ロシアの作戦フェイズは常に3回ですが、それぞれ資源を投入しなければ全力で行動することができなくなっています。なお、資源は都市を攻め落とすことで僅かに受け取れる他に、ゲーム中1回だけ作戦フェイズの一部の放棄とポーランドの得点というペナルティがありますが補給することが可能です。
⑤戦闘は参加ユニットの戦力比に応じて戦闘結果表で損害を判定します。退却した部隊は裏面の混乱になります。
⑥手番の最後に混乱している自軍ユニットを回復させます。この時に孤立の判定が行われ、2ターン続けて孤立しているユニットは降伏します。
⑦これらを繰り返し、ロシアが再補給を行う前にワルシャワを攻め落とすとロシアの勝利となります。それ以外であれば、8ターン終了時に都市の支配、精鋭部隊の壊滅などから得点を計算し、より多くの得点を獲得したプレイヤーの勝利となります。
○プレイ経過
管理人がポーランド、ちいがロシアでゲーム開始時の様子です。ユニットの配置はポーランドは最前線に必ずユニットかZOCがかかるように、ロシアは最前線よりロシア側に任意となっています。実際にプレイを開始したときには少し配置をしなおしていたと思います。
最初のターン、ポーランド軍はルール上完全に飛ばされまったく動けずロシアの猛攻を受けます。南北は戦線を維持しているものの、中央はEX(相互損害)の結果が続き戦線に穴が開いている状況です。
2ターン目。ポーランドがようやく動けるもののこのターンは1フェイズのみ。とりあえず、中央の侵攻を止めるために南北から戦力を引き抜きつつ、全体的に少し防衛線を下げています。
第3ターン。ようやくポーランドは2フェイズ、全力といえないまでもまともに動けるようになります。中央の最前列でワルシャワを目指すロシア軍の精鋭ユニットは出目が良くなかなか足止めが出来ないままブレストが陥落。しかしながら、後続を遮断することには成功しています。ただ、中央に戦力を引き抜いたことで手薄となった北部がやや押されている状況です。
第4ターン。このターンはロシアが補給物資の再補給を実行したためほとんど動きはなく、押されていた北部戦線も防衛線の再構築に成功。ブレストに篭るロシア軍精鋭については戦力を集め撃破を狙っています。
第5ターン。このターンにブレストへ攻撃を仕掛けましたが攻略に失敗。それによって開いた穴をくぐってロシアの精鋭部隊はそのままワルシャワの占領に向かい占領されてしまいます。また、ここまで動きの少なかった南部もロシアが増援を回して戦力を増強していたため突破されルヴウが占領されています。
第6ターン。このターンからようやくポーランドも3フェイズとなります。ワルシャワの部隊は包囲するだけに止め、全軍を下げて防衛線を再度引き直し後続の進撃を防ぎます。
第7ターン。最北部のウィルノは占領されていますが、全体的に資源が不足しているロシアの動きは鈍く、防衛線にほとんど到達していません。実際には1スタックほど突出して近づいてきたユニットがいましたが、こちらから打って出て撃破しています。
そして最後の8ターンも終わりゲーム終了時です。最後は無理やり突破しようとするちいの出目が走り何箇所か崩されたところはありますが、この時点ではほとんど資源が残っておらず十分な機動はできておらず。そのおかげで全体的な防衛線の維持には成功しており、得点を計算すると鉄道による補給線が引けない都市(得点になりません)が多いソ連はほとんど得点がなく、大きく点差を離してポーランドの勝利となりました。
○評価
1920年に勃発したソビエト・ポーランド戦争における、ロシア軍の攻勢から補給切れで進撃が頓挫、ポーランド軍の反撃によって壊滅となった一連の戦いを再現したウォーゲームです。ソポ戦争というと(おそらく)あまり馴染みがなく管理人自身「ストライクオブザイーグル(「自宅ゲーム会205 前半」を参照。)」で同テーマにふれた程度でしたが、冊子の方にしっかりと本戦の背景や経緯が書かれていて参考になりますし、冊子を読んで本来の流れを把握してからゲームに臨むと色々となるほどと感じましたね。
基本的にはターン毎に交互に1回ずつ手番が回ってきてそれぞれで全軍を行動するというターン制ですが、手番ごとに移動と攻撃を組み合わせ3フェイズを実施するというのは特徴になっています。難しいのはそれぞれのフェイズでどちらをするかは任意であるもののその行動を全軍が行うというところで、敵と隣接している一部は攻撃が必要で攻撃→移動としたいけどその他の戦線では移動をしてから攻撃したいなど、どの戦線のしたいことを優先するか、そして効率よく動くために全体の歩調をどのように合わせていくかというのは非常に悩ましくなっています。
また、史実において補給の不足により攻勢が頓挫したロシア軍には補給ポイントが設定されており、移動や攻撃の各フェイズ、さらにはポーランドからの攻撃に対してもにその補給ポイントを使用しなければ全力が出せなくなっています。西正面軍と南西正面軍それぞれで設定できるとはいえ、各軍ともフェイズ単位で使用の判断を行わなければならないため、限られた資源を効率的に使うためにもより上記の全体の歩調というのが重要になってきます。ちなみに、ゲーム中に1度だけ再補給により資源を増加させることができますが、増加させないままワルシャワを落とすことでサドンデス勝利となりますし、補給量によりフェイズの消費及びポーランドの得点というペナルティもあるため、するかしないか、そしてするならどのタイミングでどのくらいするかというのも考えどころです。
反対にポーランド軍は資源の心配がないものの、ゲームの前半では活動できるフェイズ数が限定されており本格的に反撃に出れるのは通常3フェイズが実行できるようになってからとなるため、そこまでを限られたフェイズでどう耐え凌ぐかが大切です。ポーランドにとっては勝利点の減少と引き換えに反撃(3フェイズになる)を1ターン早めることができ、戦況からこの反撃をどうするかというのは考えどころとなっています。
大きく気になったところはなく、この両軍の非対称なフェイズの仕組みをどのようにしていくかというところや、前後半での攻守の入れ替わりなど、終始ユニットの運用が悩ましくとても面白いゲームになっていると思います。
これで2020年最後のゲームは終了となりました。