自宅ゲーム会295 前半 Napoleon1806 | とりあえず日々ボードゲーム

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日本の片隅、島根県の浜田市で日々ボードゲームにはまっている管理人が、とりあえずボードゲームについて色々と書いていく(予定)のブログです。

令和2年8月10日

 

 本日はちい以外のメンバーの都合がつかなかったので、ちいと2人でウォーゲームと勤しみます。最初は届いたばかりの期待の新作を早速プレイしてみることに。

 

☆Napoleon1806

○概要

作者:DenisSauvage

対象年齢:14歳以上

対象人数:2人

標準時間:90分程度

 

 1806年ナポレオン率いるフランス軍がイエナ・アウエルシュタットの戦いでプロイセン軍に勝利したという一戦をテーマにしたウォーゲームです。

 

①ターンの最初に手札を補充し、さらにもう1枚を同時に公開してイニシアチブを決定します。

②イニシアチブをとったプレイヤーから交互に、1つのエリアのユニットを選択し作戦行動を行います。行動には「移動」「戦闘」「移動攻撃」のいずれかがあり、実行すると行動したユニットは伏せられて行動終了となります。

③移動の際にはカードを引き、その数値だけ移動できます。ただし、一度に行動するスタックが大きくなればなるほど移動力はマイナス補正がかかりますし、遠くに行けばいくほど疲労が上昇します。

④戦闘は両軍が同じエリアにいることで実行することができます。両軍の戦力や疲労状況などによって引くことの出来るカード枚数が異なり、引いたカードに応じて損害や疲労を与えることになります。より多くの損害を与えたプレイヤーの勝利となります。

⑤移動攻撃は両方を一斉に行える効率の良いアクションですが、戦闘にはマイナス補正がかかります。

⑥疲労は蓄積すると戦闘効率の低下や戦力の損失が発生します。さらに蓄積させて最大値まで行くとユニットの戦力に関わらず除去となります。

⑦両者とも作戦行動をパスすると作戦フェイズは終了し回復フェイズとなり、カードを使用することで部隊の疲労を少し回復させることが出来ます。

⑧回復以外でもカードに応じて様々なタイミングで使用でき、その恩恵をもたらします。

⑨敵戦力の除去、城塞エリアの支配などにより得点を獲得し、どちらかの得点が上限に達すると勝利となります。また、7ターンが経過しても決着がつかない場合は、1点以上を獲得していればプロイセン軍が勝利します。

 

○プレイ経過

 管理人はフランス軍、ちいはプロイセン軍でセットアップ中の様子です。今回は古参兵用のルールを使用していますが、初期のユニット配置だけはヒストリカルで。左のメインマップ上ではお互い積み木のユニットを立てて行動させますが、その側で右手前のような戦闘序列表を管理しており、戦闘などが発生しても実際の戦力や疲労の蓄積情報などは分からなくなっています。

 

 偵察兵を追加してゲーム開始です。

 

 序盤、最初に仕掛けてきたのは中央でプロイセンで、2ユニットが攻撃を仕掛けてきましたが、ランヌが森の地形効果も活かし捌きます。

 

 

 ランヌの元へはナポレオンを含むユニットを援軍に送りましたが、この後プロイセン軍は後退。右翼のスルト、ネイががら空きの敵拠点を目指して進撃中。

 

 中央が睨み合う中、拠点を守るため右翼のプロイセン軍の後詰を後方に下げます。そこをダヴー&ベルナドット率いる強力な軍で壊れた橋を渡り強襲をかけ損害を与えます。

 

 これを受け、プロイセン軍の中央も包囲を恐れて後退したため、フランス軍は全体を押し上げます。ただ、スルトとネイが占領する間際にぎりぎりでプロイセン軍は要塞にたどり着きます。

 ダヴーとベルナドットは引き続き向かい合うプロイセン軍を叩き次々と損害を与えますが、その一方で中央の森にいたランヌを前進させたところ、プロイセンはランヌの脇を通り抜けもぬけの殻となっているフランス軍の拠点目指して前進を始めます。

 

 これにあわてたのはフランス軍で、ランヌをそのまま殿に残し、残りを率いてナポレオンが全速で追撃をかけます。

 

 

 疲労は溜まったものの、何とか追いつき戦闘にも勝利。ダヴーが向かい合っているプロイセン軍も戦闘時にカードが引けないほど損害、疲労とも溜まっている状況。そんな中、さらに右奥の拠点を守るプロイセン軍に、拠点効果を無効にするカードを使用して攻めかかったネイとスルトの攻撃で落とします。

 

 続くターンもプロイセン軍へ積極的に攻撃を行い、ここまでダヴーの攻撃を受けながらも何とか耐えていたプロイセン軍が壊滅。得点が上限(フランス軍の場合0なので下限かな)となったことにより、フランス軍の勝利となりました。

 ちなみに各軍の状況を見ると、ナポレオンが率いていた2つの軍は最後にかなり無理をしたためかなり疲労がたまっていますが、その他はそれほどでもなくまだまだ継続して戦うことに問題はありません。反対にプロイセン軍は疲労もですが、そもそもの戦力も度重なる損害でかなり減っており、ぎりぎりのところで耐えていた様子がわかりますね。

 

○評価

 ナポレオンによるイエナ・アウエルシュタットの戦いをテーマにした積み木のウォーゲームです。といっても、コロンビアゲーム社を中心に見られる積み木のウォーとは少し使い方が違っていて、積み木を立てることによる情報の隠匿要素はあるものの、戦力のステップ表現としての使い方はしておらず、戦力は戦闘序列表という別のシートで戦力を管理しています。

 面白いのは、この戦闘序列表では戦力だけでなく疲労というパラメーターも同時に管理されているところで、疲労は戦闘や長距離を移動することによって上昇していき、疲労が蓄積されることで戦闘能力は低下と戦力の損耗、溜まり過ぎるとどれだけ戦力を残していた大軍であっても霧散してしまいます。回復もできますが、カードを消費するか、ターン中活性化をしない必要があり、カードは回復量も限定的で場面場面で他の効果として有効に使えるものも多く使用方法の取捨選択が求められますし、活性化をしない場合全快しますが、限られたターンしかない中で全く動かないという機会を狙ってつくらなければならず、しかも攻撃を受けた場合は活性化したことになるので余計に難しいといえます。このこともあって、普段は如何に溜めないように行動するか、そして疲労を蓄積させてでも行動をするタイミングの判断というのは考えどころとなっています。ちなみに、戦闘となった時に相手がどこまで損害に耐えられるか、カードの回復もあって正確に見通すことは難しいのですが、プレイされるカードが減少してくるのをみながら、かなり損耗や疲労が溜まっているというのを読みとることもできます。お互いの推測しながらどのユニットにどのユニットをぶつけていくか、このあたりの駆け引きも悩ましいです。そういえば、疲労という要素を個々のユニットごとのパラメーターとしてきちんと扱っているウォーゲームというのも珍しいですね。

 また、移動方法についても特徴的で、スタックを選択した上でカードをめくりそのスタックの移動力を判定します。基本的には単独で移動することが効率よく移動を行えますがそのぶん分散しやすく、さらに1行動ずつ敵の手番を挟むため各個撃破の危険性があります。複数のスタックのまま移動するとその心配はないですが、今度は移動力にマイナスの補正がかかり場合によっては全く移動できないという恐れもあります。予定通りに行かない可能性を多分に含むことも踏まえて、ユニットの機動をどのように計画して分散と合流をはかっていくかというのは重要となってきます。

 積み木による軍団の隠匿、戦闘序列表による戦力や披露の隠匿、さらにイニシアチブ判定に始まり、ユニットの移動力の判定が行われるところなど、全体的に戦場の霧は濃く正確に見渡すことが難しいというところはあると思います。しかしながら、このままならなさを手元にある情報や相手の動きで推測しつつ如何に自軍が有利に立ち回れるようにマネジメントをしていくかというのがとても面白いゲームです。特徴的な様々な要素が含まれている割にはルールはそれほど複雑ではなく、プレイ時間も手ごろとなっており、事前情報による期待に違わぬタイトルでした。

 

 後半に続きます。

 

 

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