自宅ゲーム会94 後半 ナポレオン(第4版)  | とりあえず日々ボードゲーム

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日本の片隅、島根県の浜田市で日々ボードゲームにはまっている管理人が、とりあえずボードゲームについて色々と書いていく(予定)のブログです。

平成29年8月18日

 

 というわけで、翌日まで2人とも都合がついたということもあり、日中に引き続き夕食後のゲーム会です。

 

☆ナポレオン(第4版)

○概要

作者:TomDalgliesh

対象年齢:12歳以上

対象人数:2-3人

標準時間:1-2時間程度

 

 ナポレオンというタイトルですが、このゲームはエルバ島の幽閉から脱出しフランス皇帝に返り咲いたナポレオンが指揮を取った最後の戦いであるワーテルローの戦いをテーマにしたコロンビアゲーム社らしい積み木ゲームです。ただ、ワーテルローの地での決戦という局所的な戦いではなく、これに関するより広範な戦いを取り扱っています。史実では連合軍とプロイセンを相手にしたこの戦いで敗北したナポレオンはセントヘレナ島へと幽閉され、そこで最後を迎えることとなります。

 

①1日は3ターンに分かれており、ターンごとにどちらのプレイヤーが先攻となるかは決まっています。通常は交互に先攻が交代となり、後攻の後の先攻と2手番連続行うことになります。

②ターンごとにフランス軍は2グループ(同じ街から移動を開始する複数のコマ)、連合軍はイギリス、プロイセンがそれぞれ1グループづつ行動できますが、道路には移動制限がありそれ以上のコマを同時に移動させることはできません。

③移動力は騎兵、司令官が「2」で、その他は「1」。強行軍を使うことで1上昇します。

④手番プレイヤーが敵のコマがいる街に移動すると戦闘が発生します。ただし夜ターンは戦闘を起こすことが出来ません。戦闘は別ボードに移って行われますが、どちらかのコマが2個以下ならば、遭遇戦としてその場で1戦闘ラウンドを行い決着します。

⑤戦闘ボードは左右と中央、予備の4エリアに分かれて向かい合うようになっており、戦闘のつど地形を配置し、さらにコマを配置してから戦闘開始です。

⑥手番ターンの最初に交戦中の戦力1のコマは士気を判定します。

⑦戦闘ターンごとに手番プレイヤーは、各コマに移動、攻撃、退却のいずれかを実行させることが出来ます。

⑧手番の最後に隣接する街から増援を送ることが出来ます。

⑨これらをどちらかのコマがいなくなるまで続けます。ちなみに、左右と中央のいずれかにコマが存在しなくなったプレイヤーは戦線の崩壊で壊走となり、戦力にダメージを受けながら隣接する街に退却する必要があります。

⑩ターンの最後には補給を確認します。フランスには関係ありませんが、イギリス、プロイセンは主要都市をフランスに確保された場合に、このタイミングで指定の数のコマを除去する必要があります。

⑪イギリス、プロイセン、フランスはそれぞれ一定数のコマを失うと降伏となります。どちらかの勢力が全て降伏すると勝利となります。また、フランスは主要3都市のうち2都市を占拠してゲーム終了を迎えれば、連合軍についてはゲーム終了時にフランスが勝利していない場合に勝利となります。

 

○プレイ経過

 管理人がフランス(青)、ちいがイギリス(赤)&プロイセン(黒)連合軍でゲーム開始です。ちなみに初期配置はヒストリカル(一部配置ルールにより動かしていますが)。

 

 配置としては、フランス軍左翼に第1軍と第2軍。中央にナポレオン率いる近衛軍団と第3軍、第6軍。右翼は第4軍とグルーシー率いる騎馬軍団。主力はエリート(通常の兵種より能力が高い)が多いナポレオンの近衛軍団になりますが、右翼の騎馬軍団もエリートを含む騎兵のみで編成され騎馬砲兵(砲兵能力に騎兵と同じ機動力を持つ)までいると、第2の主力ともいえる存在です。

 

 一方、イギリス軍はブリュッセル(中央やや左)にウェリントン率いる予備兵、前線に第1軍、第2軍を配置し、左奥のニノーヴァにはフランスよりも規模は小さいながら騎馬軍団を配置しています。主力はウェリントンが率いており数のいる予備・・・かと思いき予備は名前の通り予備で予想外に弱い編成。質でいえばエリート歩兵を含む第1軍の方がましで、騎馬軍団辺りが主力かな。全体的に質より量の軍団ですね。

 また、プロイセンの方は騎兵の単独軍団はなしで、各軍に騎兵が編成されています。フランスの前面に第1軍団、そこから右手に向かって第2軍団、第3軍団、右奥の拠点リエージュに第4軍団という配置です。主力はフランス前面に展開している第1軍で、この部隊にはエリート歩兵に騎兵及び騎馬砲兵が含まれています。エリートの騎兵・砲兵はいないながら4軍ともバランスのいい編成で兵力も多めです。

 

 総兵力では連合軍が勝るものの、フランス軍は質で優位に立ち、また兵を集中していることもあって、局所的に有利に進めることで各個撃破といきたいところです。

 

 まずは、前面のシャルルロワにこもるプロイセン第1軍に攻撃を仕掛けようとします。シャルルロワは南部に川が通っており、攻撃側が渡河をするときは移動制限が半分になりますが、近衛と第6軍の共同攻撃で倍近い兵力からの攻撃を受けるため、一旦ちいは後方リニーに避難します。

 

 しかし、リニーで防衛体制を整えるプロイセンに対し、フランスは素早く部隊を展開し攻撃を仕掛け初戦闘。シャルルロワと違い渡河制限のない状態であってフランスが倍の兵力でかなり有利な戦いです。ただ、リニーの隣にはナミュアの第2軍が控えており増援が予測されます。

 

 戦闘マップはこんな感じです。緑色のコマは地形コマで、戦闘の都度ランダムに引いて配置します。

 ちなみにルール上、左右と中央には戦闘配置の時点で複数の軍団の混成配置には出来ない(そのポジションに指揮官がいる場合を除く)ため、改めて見ると連合軍の右翼が配置ミスをしていますね(汗)

 

 フランス側は左翼に第6軍の半分となる騎兵と騎馬砲兵、中央に近衛の諸兵科連合軍、右翼は第4軍の歩兵を配置し、残りの兵は予備として配置しています。兵力に勝るため、騎兵の半分を予備に回しており弱った戦線を騎兵による総攻撃で崩す作戦です。

 一方のイギリスですが、防衛側が先に部隊を配置することもあり(配置時にはたてて配置し、両軍の配置が終わってから地形の森と予備を除き公開します)、増援が来るまで戦線を維持するため各方面とも平等に配置しています。

 

 フランス軍右翼は敵からの砲撃を浴び徐々に戦力が削られていることから、予備を1部隊回しています。砲兵は接近戦時の最初の攻撃で攻撃力が増加することもあり、この戦線は攻撃に回らず防御優先です。

 

 中央の戦線は逆にこちらが予備にいた砲兵も加え、一方的に砲撃をお見舞いします。エリート砲兵がいたこともあり、これによりプロイセンの中央軍はかなりの損害を受けます。

 

 左翼は騎馬砲兵による砲撃を撃ち込んでいましたが、ドイツ第2軍の増援が到着し、戦線の補強が出来たことで騎兵が突撃してきます。これに対し、予備の騎兵を回して防衛します。

 

 結局、砲撃の集中攻撃で戦列が弱まったところに近衛が突撃し、中央の戦線が崩壊、これによりフランスの勝利となり、プロイセン軍は壊走します。

 

 戦果として参戦したプロイセン第1軍、増援の第2軍は除去4コマを含めかなりの損害を与えることに成功します。一方のフランスは右翼の第4軍歩兵、戦線維持のために回した騎兵の一部に損害が出ただけで、除去はなしと、結果から見れば大勝利です。

 

 ちいは損害を受けたプロイセン軍を後方に下げつつ、シネイに備えていた第3軍は前進させてフランスの後方を狙います。また、イギリスはフランス軍の孤立した左翼を狙うような形で前線に進んできます。

 

 これに対し、フランスは後方の部隊を集結させプロイセン第3軍に備えつつ、近衛軍団を南下させ第3軍を狙います。また、左翼は一旦中央によせイギリスは後回しとし、とりあえずプロイセンの脱落を目指すこととします。

 

 ここで、近衛軍団が近づき包囲されつつあったプロイセン第3軍が各個撃破を狙ってフランスの後方部隊に攻撃を仕掛けてきますが、撃退し損害を与えたことで第3軍の戦力は大きく減少します。

 

 これにより、心配のなくなったフランス軍は一路リエージュへ軍を進めます。ちなみに第3軍は放置w

 というのもプロイセンの脱落要件が9コマの撃破、第3軍を撃退しても初戦と合わせて8コマにしかならないためで、無駄な時間と損害を避けるための対応です。

 

 リエージュでプロイセンとフランスの大軍が激突となります。ちいは第3軍を後退させリエージュへ進めつつ、イギリスも援護に動かしますがどちらも間に合わず。

 

 リニーの戦いと同じく、フランスは中央に近衛、左翼に騎馬軍団の一部、右翼に第4軍、予備に残りの騎兵という形です。一方、プロイセンも数で大きく劣ってはおらず、右翼(フランスから見ると左翼)に砲兵を集め一点突破を狙ってきます。

 

 プロイセンからの砲撃さらには歩兵の突撃を受け、左翼が危うくなったので、予備騎兵さらには中央の近衛騎兵を左翼に送り戦列を維持させます。これにより突撃してきた歩兵は壊滅。

 

 この間、右翼と中央は砲撃により弱っていたこともあり、両方で歩兵を突撃させ突破を図りますが先に右翼の戦線が崩壊。プロイセンが壊走したことでフランスの勝利となります。

 

 リエージュの戦いで損害が一定を超えたことによりプロイセンは降伏し、残るはイギリスのみという状況です。

 ここからイギリス軍は部隊を後退させブリュッセル防衛のために集結させます。それに対しフランス軍は全軍をブリュッセルへと向けますが、途中で騎馬軍団を一気に移動させブリュッセルの北側を夜ターンを利用して攻撃を受けないようにすり抜け、無防備なゲントへ向かわせます。

 

 これにより、ブリュッセルを包囲した形になりますが、それよりも補給拠点のゲントを押さえたことでターン経過とともにイギリス軍は1ユニットづつ除去する必要がでてきますし、主要都市の2箇所を押さえられているためこのままゲームが終了するとフランス軍の勝利となります。

 

 やむをえず、イギリス軍はゲントに騎馬軍団と一部歩兵を送り込みます。ちなみに、イギリス軍はここまで戦闘をしていないため無傷の完全戦力。一方で、フランスの騎馬軍団は主力として戦闘を続けてきたため、5ユニットのうち3ユニットくらいはかなりの損害を受けており、状況としてはかなり不利な感じです。まあ、フランスとしてはブリュッセルの戦力を削るおとり的な役割なのでここで敗退したとしても戦況に大きな影響はないのですが・・・

 

 しかし完全戦力の4コマ+増援2コマというイギリス軍に対し、右翼にエリート騎兵、騎馬砲兵×2を集中して突破する作戦が成功し勝利。一旦はイギリス軍を押し返します。

 

 ただ、続くリベンジマッチには敗北となりゲントは再びイギリスに戻ります。

 

 とはいえ、フランス騎馬軍団もただでは負けず、撤退した後もゲント・ブリュッセル間にコマを進め、連動を妨害します。そして、いよいよブリュッセル攻略に動きます。

 

 

 ただ、このブリュッセルの戦いは戦闘開始時からフランス軍が倍の戦力を保持し、さらに周囲から増援が来る状況に対し、ゲントに半数を送ったイギリス軍は6ユニットのみと、さすがに戦力差が大きすぎほとんど抵抗が出来ず陥落となります。

 

 ブリュッセルの戦いで損害が一定数を越えたイギリスが降伏し、フランス軍の勝利となりました。

 

○評価

 コロンビアゲーム社お得意の積み木を使ったウォーゲームですが、これまでプレイした「ユリウスカエサル(「ボドゲ紹介1」を参照)」、「ハンマーオブザスコッツ(「自宅ゲーム会68 中盤」を参照)」、「クルセイダーレックス(「自宅ゲーム会84 後半」を参照)」とは少し変わったゲームです。とはいえ、積み木を使ったことによる戦場の霧と戦力の段階表現は健在なので、まあその辺についてはユリウスカエサルあたりを参照してください。

 まず違うのはカードがないことです。これによりラウンド毎にどちらが先攻するか、どれだけの数がグループ化するかというのはあらかじめ定められており、特殊な効果を持つイベントもないため移動に関しては全体的にかなりアブストラクトチックになっています。まあ、カードがある場合と比べた相対的な評価はどちらもいいところがあるので難しいですが、これはこれでスピーディーにゲームが進むのでとてもいいところかなと。

 もう一つは、戦闘システムの変更でナポレオンの場合は戦場ボードが存在し、戦闘になるとそちらで決着をつけることになります。この戦闘ボード、一見すると非常にシンプルな構造(各軍側に左右中央と予備の4エリアのみ)になっていますが、面白いのは予備を除く3つある戦線のいずれかが崩壊すると敗北というところです。そうなると、どの戦線を防御に徹し、どの戦線に戦力を集中するか、3つのいずれにも兵を送ることの出来る予備(しかも予備は積み木を建てるのでどんな部隊がいるかがばれない)にどれだけの兵を置いておくかというのが悩ましく、この仕組みを上手く使えば戦力が劣る場合も充分逆転を狙えます。

 また、戦闘システムが変更になったことによるものと思いますが、兵種ごとの特徴というのがかなりはっきり出るようになっています。従来(あくまで今まで管理人がプレイしたタイトルです)だと歩兵と騎兵の差はイニシアチブの差で表されていましたが、今回は移動力や戦闘ボーナス、攻撃射程などでしっかりと差別化を図っており、これがシステムと相まって戦闘を従来以上に面白くしています。

 ちなみに、この戦闘システムだと1戦闘が長くなるため、ゲームが長時間化する心配もありますが、タイムスケールが数日と短いこともあってゲーム中損害を受けたら戦力が補充されることはなく、また移動がスピーディーになっていることもあって、基本的には他のタイトルより早く終わります。まあ、戦力の補充手段がないので、1戦闘1戦闘はかなり大切になりますけどね。

 気になる点としては、やはりウォーゲームらしいルール量というのはありますが、それ以外に大きいところはないですね。しいて言えば、指揮官の能力でしょうか。というのも、指揮官の戦力は1となっており、戦場で敵ユニットと交戦すると毎ラウンド士気判定を行わなければならないので前線にだすことは出来ませんし(でも士気判定のボーナスは同じポジションのみ、つまり予備にいても意味がない)、強行軍は+1のボーナスがあるとはいえ、指揮官自体は失敗すれば即座に脱落なのでとても怖くて実行できません。管理人が扱い慣れていないだけかもしれませんが、指揮官という特別な響きからすると非常に使い辛いという感じで、この辺はどうなのかなぁ。 

 とりあえず、カードを使った従来のタイトルに比べるとプレイ感は結構変わっている印象です。どちらがより良いシステムかというのは難しいところですが、大局観がより重要になった全体マップに、戦線の維持と部隊運用に焦点を当てた戦闘と、少なくともこれはこれでとても面白いといえるタイトルだと思います。

 

 

 ここで、本日は終了としました。「ウォーオブザリング」に始まり「ナポレオン」とウォーゲーム分が多めなゲーム会でしたが、しっかり楽しめた1日でした。

 

 

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