農水省は1月29日に実施した28年産政府備蓄米入札の結果を公表した。
買入予定数量22万5000トンに対し21万6199トンの応札があり、うち買入枠の82.8%に当たる18万6311トンが落札した。
「道県優先枠」は15万7500トン設定されたが、これに13万7365トンが応札し、結果11万8811トン(買入枠の75.4%)が落札した。都道府県を指定しない「一般枠」は買入予定数量6万7500トンに対し、枠を超える7万8834トンの応札があり、買入枠全量の落札となった。
道県優先枠で最大数量を割り当てられた新潟(2万2133トン)、それに次ぐ秋田(2万1343トン)、青森(1万7177トン)、山形(1万2707トン)の4県はいずれも、第1回目の入札で割り当て全量が落札となった。
一方、北海道は1万1757トンを割り当てられたものの落札ゼロ、2万トンちょうどを割り当てられた福島は落札1万9459トンとわずかに枠を残した。
落札価格は60㎏1万円を出るか出ないかが予想されているが、安い政府備蓄米入札にこれだけの量が早々と落札したことは、各産地県の米価引き上げに対する意欲の強さを物語っている。
農水省は27年産米で42万トンのエサ米増産に成功し、このため主食用うるち米の集荷量は前年産に比べて32万トン減少した。これに加え、22万5000トンの主食米が備蓄米として市場隔離されるのだから、今年の米価は相当値上がりするのが確実になってきた。
これが生産者の自主的調整で行われるのならやむを得ないが、エサ米も備蓄米も国民の税金を巨額に使って行われているのが問題。
しかも、政府備蓄米入札では一部産地を優先して買入れ、一部産地の米価引き上げを目的にしているのは明らか。今回の入札で道県枠は枠を残したが、一般枠は枠を超える応札があり、第1回で全量落札になってしまった。優先枠の対象になっていない県は今後備蓄米入札に参加できず、優先枠を与えられた県とは大幅に違う不平等な扱いを受けている。
国民の税金を使って行なう政府備蓄米入札に、このような不平等・不公平なやり方が許されるのかどうか。公平であるべき入札に、事前に「道県優先枠」を設定すること自体、入札前に落札者を指名する行為に等しく、「談合入札」の疑いもある。