ELB構想の進捗についてまとめてみた(欧州編) | 欧州野球狂の詩

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 このところ1か月以上もブログ更新が滞った状態になってしまい、いつも楽しみにしていただいている皆さんにはご心配をおかけして申し訳ないです。このところ、ベースボールブリッジとしてELB構想に本格的に関与するようになってきたことはもちろん、本業の職場でも少しずつ責任ある役回りを任せられるようになっています。そういった関係でこれまで以上に考えなければならないことが増え、ある程度ブロガーとしての活動が犠牲になることは覚悟していましたが、正直ここまで影響が及ぶとは自分でも予想外でした。今後どれだけ時間的余裕が生まれるかは分かりませんが、今回の更新をきっかけにブログの方もまた少しずつ再開していければと思います。


 さて今回からは2回に分けて、今まで団体として議論を重ね取り組んできたことの報告なども兼ねて、ある意味では更新が滞っていた最大の原因でもあるELB構想について、欧州側及び日本側のこれまでの動きを振り返りつつまとめてみたいと思います。ブログ更新が進まない間にも、新規球団の加盟など状況が進展している部分もかなりあります。また日本側での取り組みに関しては、事業の性質上営業情報となりうるものもあるので全てを公開することはできませんが、お伝えできる部分はなるべく漏らさないようにしたいと思います。今回は欧州側での動きについてです。


 ユーロリーグベースボール、通称ELBのプロジェクトが初めて明らかになったのは、今年5月8日にオランダ・アムステルダムにて行われた会合においてでした。この記念すべき初会合には、リーグを統括する欧州プロ野球協会(EAPB)会長のウィム・バンデンハーク氏と共同創設者のヤン・マールテン・コップス氏、広報官のヤン・ヴァンデルサンデ氏に加え、ヴァッセン・パイオニアーズ(オランダ)からコー・ハスペルス氏とピーター・ファンクルースター氏、キュラソー・ネプチューンズ(同)からジェリー・ヴァンデンオーバー氏、ルーアン・ハスキーズ(フランス)からキーノ・ぺレス選手兼任監督とオーウェン・オザニック投手、そしてT&Aサンマリノ・タイタンズ(イタリア/サンマリノ)からマウロ・マゾッティ氏が参加しています。


 会合ではリーグのフォーマットや財源、経営戦略などについての話し合いが行われたほか、最初のシーズンである2016年4月にメンバーとして参加する球団のリストも公に明らかになりました。この時の参加球団の顔ぶれは下記の通りとなっています(※は当時正式にはサインアップしていなかったが、近日中の加入が有力視されるクラブとして言及された球団)。


・ヴァッセン・パイオニアーズ

・キュラソー・ネプチューンズ

・T&Aサンマリノ・タイタンズ

・ルーアン・ハスキーズ

・セナート・テンプライアーズ(フランス)

・ベースボール・バルセロナ(スペイン)

・C.B.サンボイ(スペイン)

・レーゲンスブルグ・レギオネーレ(ドイツ)

・UGFフォルティチュード・ボローニャ1953(イタリア)※

・ハイデンハイム・ハイデコッフェ(ドイツ)※


ソース:http://www.mister-baseball.com/european-association-professional-baseball-founded-amsterdam-friday/


 この構想は発表されるや否や、震源である欧州はもちろん日本の野球ファンの間でもがぜん注目を集めることとなります。バンデンハーク会長はミスターベースボールによるインタビューに応じ、「欧州球界には更なる人気向上やファンベース獲得のための仕掛けと、競技レベルのさらなる向上が必要だ」と新リーグ構想の意義をアピールしました。またこの席上で、当初のリストにはなかったチェコ勢などの加入を既に示唆している他、2020年までには12~16球団体制で南北2地区にてリーグを実施するアイデアも披露しています(http://www.mister-baseball.com/interview-wim-van-den-hurk-euro-league-baseball-project/ )。


 会長が言及したチェコ勢の加入については、結果的には2020年を待つまでもなく、今年中に果たされることとなりました。リーグ構想の発表から1か月も経っていなかった6月4日、バンデンハーク会長はチェコの絶対王者ことAVGドラッシ・ブルノの加入を発表(http://www.mister-baseball.com/draci-brno-latest-team-join-euro-league-baseball/ )。約2週間後の17日には、当初から加入が有力視されていたボローニャが正式にリーグへのサインアップを果たします。


 ただボローニャが正式加盟を決めた際には、当初の加入メンバーとしてアナウンスされていたサンボイの名前はリストから消えていました。また、当初はボローニャと同じ有力候補と目されたハイデコッフェに対する言及も、この頃には既にありませんでした。このため、この時点でのメンバーリストは下記のように変化しています。


・ヴァッセン・パイオニアーズ

・キュラソー・ネプチューンズ

・T&Aサンマリノ・タイタンズ

・ルーアン・ハスキーズ

・セナート・テンプライアーズ

・ベースボール・バルセロナ

・レーゲンスブルグ・レギオネーレ

・UGFフォルティチュード・ボローニャ1953

・AVGドラッシ・ブルノ(チェコ)←new!


 会長自身が1か国2球団ずつの方針を堅持していた一方で、スペイン勢、ドイツ勢、チェコ勢が1球団ずつしかアナウンスされていなかったため、この3か国からさらに1球団ずつが加入するのではないかという見立てを俺自身は立てていました。が、その見立ては外れることになります。8月20日、EAPBはボン・キャピタルズが2球団目のドイツ球団として加盟することを発表。さらに、同じドイツからハー・ディシプルズも仲間入りを果たします。ディシプルズは当初の予定では、初年度のリーグ戦には参加しない準加盟球団としてリーグミーティングに参加することになっていましたが、EAPBがドラッシに続く2番目のチェコ球団加入を断念したことから、急きょ方針変更で正式メンバーに格上げされることとなりました。


ソース一覧

http://www.mister-baseball.com/euro-league-baseball-apparently-add-bonn-capitals-haar-disciples/

http://www.mister-baseball.com/munichhaar-disciples-join-euro-league-baseball-2016/


 チェコ勢の代役としてのディシプルズ加入により、1か国2球団という当初の方針は変更を余儀なくされます。このニュースでは、メンバーリストからバルサの名前も消滅。これにより、当初発表されたスペインの2球団はいずれも、初年度のリーグ戦には参戦しないことが確定しました(なおスペイン勢の初年度における不参加については、ディシプルズが加盟を決める前の段階でリーグ側より入手した資料の中で既に明言されており、このニュースがアナウンスされる間の段階で既に決定されていたものと思われます)。


 また、今月9日にはさらに大きなニュースが。5月の会合以降、ずっと正式メンバーとしてリーグ戦に参加予定だったパイオニアーズが準加盟球団に「降格」。代わって、オランダビッグ4の一角であるL&Dアムステルダム・パイレーツがELBに新加入することが決まりました(http://www.mister-baseball.com/ld-amsterdam-replaces-vaessen-pioniers-2016-lineup-euro-league-baseball/ )。パイレーツは構想が発表されたばかりの頃、親会社であるL&Dサポートとのスポンサー契約に関する懸案を抱えており、これを理由としてリーグにはもともと招かれていませんでした。今回パイレーツが参入することが決まったのは、おそらくスポンサー問題が解決しリーグ参入にあたっての資金的な懸案が払しょくされたことを意味すると思われます。これらのニュースを受けて、最新のリーグ加盟状況は下記の通りとなりました。


正式メンバー

・キュラソー・ネプチューンズ(オランダ)

・L&Dアムステルダム・パイレーツ(オランダ)←new!

・T&Aサンマリノ・タイタンズ(イタリア/サンマリノ)

・UGFフォルティチュード・ボローニャ1953(イタリア)

・ルーアン・ハスキーズ(フランス)

・セナート・テンプライアーズ(フランス)

・レーゲンスブルグ・レギオネーレ(ドイツ)

・ボン・キャピタルズ(ドイツ)←new!

・ハー・ディシプルズ(ドイツ)←new!

・AVGドラッシ・ブルノ(チェコ)


準加盟球団(2017年以降リーグ戦参加予定)

・ヴァッセン・パイオニアーズ(オランダ)

・ベースボール・バルセロナ(スペイン)

・C.B.サンボイ(スペイン)


 最新版の正式メンバーについてはリーグウェブサイト(http://www.euroleaguebaseball.com/ )にも既に反映されており、おそらく初年度となる2016年度はこの顔ぶれでタイトルが争われることになるものと思われます。同ウェブサイトでは、2016年度のリーグ日程にComing soonの文字が出るようになり、今のところ欧州側はある程度のレベルで順調に動けているように思います。予定通り2016年春の開幕を迎えられるよう、日本側としてもこの動きを今後ともサポートしていきたいと考えています。次回はその日本側でのこれまでの動きをまとめる予定です。お楽しみに。