日欧野球に出場する欧州選抜メンバー28名が決定!! | 欧州野球狂の詩

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 世界野球・ソフトボール連盟(WBSC)が昨日、来月10日と11日に東京ドームで開催される「Global Baseball Match 2015」に出場する欧州選抜チーム28名のロースターを発表しました。


 今回選ばれたのは、欧州では最高位となる世界ランキング5位のオランダを中心とするメンバー。MLBとMiLB(マイナーリーグ)の所属選手はスプリングトレーニングの兼ね合いから選ばれず、ヨーロッパ各国の国内リーグとNPBの所属選手(昨季までの経験者含む)の混成軍となりました。とはいえ、3度のWBC全てに出場経験があるロブ・コルデマンスやディエゴマー・マークウェル(ともにオランダ)、かつてはマイナーリーグやカリブ諸国のウィンターリーグでも腕を磨いた経験を持つ、ファン・カルロス・インファンテ(イタリア)といった猛者ばかりが集い、欧州と言えども生半可な覚悟では倒せないチームが出来上がりました。


 投の注目株は何と言っても、今年からソフトバンクに加入したリック・バンデンハーク(オランダ)と、オリックスでブルペンの一角を支え続けるアレックス・マエストリ(イタリア)の2人。バンデンハークはオランダが大躍進を果たした2009年WBCで、同チームの先発の柱の1人として君臨。昨年は韓国の三星ライオンズの一員として、最優秀防御率と最多奪三振の2冠を獲得しました。今年加入したホークスでも、先発の一角として即戦力の働きが期待されています。昨日行われた紅白戦で、さっそく1イニングを三者凡退の冴える好投を披露しました。


 一方のマエストリは、カブス傘下と四国アイランドリーグの香川オリーブガイナーズを経て、2012年からオリックスに入団。1年目は8試合全てに先発しましたが、翌年途中からリリーフに転向。昨シーズンは36試合に登板して防御率1.97と、リーグ2位に入ったチームの原動力となりました。NPB初のイタリアで生まれ育ったイタリア人プレーヤー、しかもイケメンということもあってオリックス入団当初から元々注目されてはいたものの、今や色物としてではなく欠かせない戦力として捉えられるまでになりました。今回はおそらく守護神の大役を任せられることになるかと思います。


 一方、打線の中心となるのは2人の元大リーガー。昨年まで楽天に在籍していたアンドリュー・ジョーンズ(オランダ)と、メッツやアストロズに在籍したフェルナンド・マルティネス(スペイン)が引っ張ります。AJの愛称で親しまれるジョーンズは、かつてはナショナルリーグの本塁打と打点の二冠王にも輝いた実績の持ち主。高齢や今回はDH登録となったこともあり、ゴールドグラブ常連だった守備力を見られることはなさそうですが、日本でもその長打力と選球眼は依然として脅威でした。当然、今回も主砲として打線の核となってくれることでしょう。


 ドミニカ共和国生まれのマルティネスは、2005年にメッツに入団。同球団ではトッププロスペクトとして注目を集めた1人でした。その後アストロズに移籍し、2012年には自己最多の41試合出場で打率.237、6本塁打、14打点という成績をマークしています。しかし、2013年に移籍したヤンキース傘下でバイオジェネシス・スキャンダルに巻き込まれ、50試合の出場停止処分を受けることに。このことが、彼の軸足を北米から欧州に向けさせたことの一端となったようです。その後スペイン国籍を取得し、昨年のヨーロッパ選手権にもスペイン代表として出場。今回の2試合はある意味では、彼にとっては禊の場とも言えるのかもしれません。


 もちろん日本の野球ファンにとってなじみ深い彼ら以外にも、実力者は数多くいます。昨年、マイナーでわずか26試合出場で10本塁打を放ったカリアン・サムス(オランダ。2012年ユーロのベルギー戦でサイクルヒット達成)、スペイン代表でのデビュー戦となった昨年のユーロで、いきなり大会最優秀打者賞をかっさらったオスカー・アングロ(スペイン)といった強打者は、東京ドームでは脅威となることは間違いありません。切り込み隊長を務めるとみられるインファンテは、年間42試合のIBLでも毎年15盗塁以上をコンスタントに記録する機動力が持ち味。盗塁王やゴールドグラブ賞の常連でもあり、移籍を目指している日本でその実力を見せてもらいたいところです。


 投手陣では、昨季ブンデスリーガで14試合に投げて7勝3敗、防御率1.47と覚醒。98投球回を大きく上回る137奪三振を記録した本格派のヤン=ニコラス・ストッケリンと、投げては10試合登板で8勝1Sに防御率1.05、打っても20試合出場で打率.362、出塁率.444、長打率.710、OPS1.154という二刀流ぶりを発揮したルーク・ソマーというドイツ勢に注目。「ドイツの大谷翔平」と形容してもいいかもしれないソマーについては、外野手として先発出場し途中でDH解除→継投でマウンドへ、という起用法が見られるかもしれませんよ。


 日欧双方が初めてつながる今回の試合、それはヨーロッパでプレーする選手たちやスタッフを筆頭に様々な人々にとって文字通り歴史的なものです。日本代表のロースターは大谷と則本昂大(楽天)の二枚看板を欠くなど、必ずしもベストな面々とは言えない構成かもしれませんが、それでもやるからには勝つつもりで臨んでもらいたいところです。もちろん、「欧州選抜」と言いつつも敢えてオランダ中心の選手構成にしたあたり、スティーブ・ジャンセン監督も単なるお祭りにする気はさらさらなさそうですが。今後も毎年3月には代表戦を実施していく予定というような報道も目にしましたが、その一発目となるこの試合が成功に終わることを祈りたいと思います。欧州選抜のロースターは下記の通り(カッコ内は所属球団と代表国)。


投手

・ルーク・ソマー(ハイデンハイム・ハイデコッフェ/ドイツ)

・ディエゴマー・マークウェル(キュラソー・ネプチューンズ/オランダ)

・ホセ・エスカローナ(テレマーケット・リミニ・パイレーツ/イタリア)

・ロブ・コルデマンス(L&Dアムステルダム・パイレーツ/オランダ)

・オーウェン・オザニック(ルーアン・ハスキーズ'76/フランス)

・アレックス・マエストリ(オリックス・バファローズ/イタリア)

・トム・ストイフバーゲン(コレンドン・キンヘイム/オランダ)

・シャイロン・マルティス(統一7-elevenライオンズ/オランダ)

・ロエク・ファンミル(前東北楽天ゴールデンイーグルス/オランダ)

・リック・バンデンハーク(福岡ソフトバンクホークス/オランダ)

・レスリー・ナカー(プエルトクルーズ・マーリンズ/スペイン)

・ヤン=ニコラス・ストッケリン(マインツ・アスレチックス/ドイツ)

・オーランド・イェンテマ(キュラソー・ネプチューンズ/オランダ)

・ケビン・ハイステック(L&Dアムステルダム・パイレーツ/オランダ)


捕手

・ブレイク・オチョア(バレンシア・アストロズ/スペイン)

・ダシェンコ・リカルド(コレンドン・キンヘイム・オランダ)

・ジャニソン・ボークホート(キュラソー・ネプチューンズ/オランダ)


内野手

・カート・スミス(前セントルイス・カージナルス/オランダ)

・アレッサンドロ・ヴァグリオ(UGFフォルティチュード・ボローニャ1953/イタリア)

・オスカー・アングロ(ベースボール・バルセロナ/スペイン)

・ファン・カルロス・インファンテ(UGFフォルティチュード・ボローニャ1953/イタリア)

・マイケル・デュルスマ(L&Dアムステルダム・パイレーツ/オランダ)

・ユレンデル・デキャスター(前リバス・ジャイアンツ/オランダ)


外野手

・ステファノ・デシモーニ(パルマ・エンジェルス/イタリア)

・フェルナンド・マルティネス(前ニューヨーク・ヤンキース/スペイン)

・カリアン・サムス(崇越ファルコンズ/オランダ)

・マリオ・チアリーニ(テレマーケット・リミニ・パイレーツ/イタリア)

・アンドリュー・ジョーンズ(前東北楽天ゴールデンイーグルス/オランダ)


ソース:http://www.wbsc.co/2015-european-roster.html