ヨーロッパビッグリーグツアー後半戦、パリでも大盛況 | 欧州野球狂の詩

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 2010年から始まったヨーロッパビッグリーグツアー(EBLT)は今年、初めてフランス・パリに上陸しました。第1回目にアイントホーフェン、ハーレム(ともにオランダ)、アントワープ(ベルギー)の3都市を訪れたのを皮切りに、2011年にはユトレヒト、ハーグ(ともにオランダ)、プラハ(チェコ)、パルマ(イタリア)の4都市、2012年にはロンドン(イギリス)を訪問。そして2010年、2012年に続いて今年ロッテルダムを訪問した一行は、次なるクリニックの開催地であるフランスのお洒落な首都に向かったのです。


 前夜のシャンパンパーティーから一夜明け、フランス国立スポーツ科学センター(INSEP)にて催された今回のクリニックには、イギリスやベルギーからの参加者も含めて400人の子供たちが参加。イベントの様子は、スポーツ紙レキップと大衆紙パリジェンという2つの大手新聞社によって取材されました。イベント開催にも協力したフランス野球・ソフトボール連盟(FFBS)のディディエ・セミネー会長は、「少なくともあと3年は続けて、EBLTのメンバーたちにフランスを訪れてもらいたいと思っている」と語っています。


 EBLTのウィム・バンデンハーク実行委員長は、ツアーの発案者兼参加者である息子のリック・バンデンハーク(三星ライオンズ)以下、クリス・ディッカーソン、カーティス・グランダーソン(ともにFA)、カリアン・サムス(レンジャース)という面々を引き連れ、ツアーのため同地を訪れました。彼らはオランダからフランスへの移動に先立って、ドイツの首都ベルリンでの束の間の観光をエンジョイ。またパリに到着後は、5つ星ホテルであるハイアットホテルでの前述のレセプションに訪れた、オランダ代表のベリー・ファンドリエル(DOORネプチューンズ)と合流し、彼も含めた計5名でクリニックに臨むこととなりました。


 レセプションではセミネー氏の他、パリ議会の代表であるカリム・ヘリダ氏、駐仏アメリカ大使館のライアン・ジョーンズ大使、さらにツアーの生みの親であるリックがスピーチを実施。MLBからダン・ボナーノ氏が参加したパーティーでのスピーチで、バンデンハークはフェイストゥフェイスで野球少年・少女たちと大リーガーたちが触れ合うことの大切さを改めて説くとともに、このイベントへのFFBSの協力に感謝の意を表明しました。また同時に、MLB選手会で長らく専務理事を務めたマイケル・ウェイナー氏が最近死去したことについて、哀悼の意を表しています。彼はこのツアーの実施にあたり、バンデンハークにとっての強力なサポーターになっていました。


 ところで、グローバル化の波はパリにおいての野球文化はもちろん、それにとどまらない部分においても留まるところを知らず押し寄せています。パリでのクリニックに、フランスの他イギリスとベルギーからの参加者がいたことは既に述べたとおりですが、実はイタリアからも参加希望者が3名いました。彼らは最後の最後まで参加を希望していたものの、やむを得ない事情でフライトをキャンセルすることを余儀なくされたんだとか。またこのイベントには午後の部から、フランス野球アカデミーやU-18、U-21の両フランス代表選手たちが参加し、大リーガーやオランダ代表の両名との通訳を務めました。


 参加者の保護者たちの中にも、国際派の人物が少なからず存在します。パリ郊外の街クラマーの出身で、クラマー・ドミニカーナ・ベースボールクラブの副代表を務めるフランソワーズ・ガドレ氏には、サブサハラのカメルーンにルーツを持つ8歳の甥で、遊撃手としてプレーするケビン・ンガチーニがいます。ミスターベースボールの取材にジャイアンツのユニフォームを着て臨んだ彼自身は、かつて2年間サンフランシスコで仕事をした経験の持ち主。現在はチームにおける最も重要な選手供給源である、ドミニカ共和国からの移民たちの面倒を見ているそうです。


 また、今回のツアーに参加した9歳のチェムセディンと8歳のアッシアという、2人の兄妹の母親であるマリカ・ケリフィさんは、北アフリカ・アルジェリアにルーツを持っています。この9月まで、アメリカ国外に野球文化が存在することを知らなかったという彼女ですが、ツアーをきっかけに2人の子供をドミニカーナの最下級のチームに参加させるようになりました。今月大リーガーたちが大西洋を渡ってやってくると知った彼女は、子供たちにツアーに参加するよう持ちかけたそうです。


 「子供たちはまだ2か月前にプレーし始めたばかりなの。だから、どのポジションでプレーするかはまだ決まっていないわ」と、ケリフィさんはミスターベースボールの取材で語りました。「私の家族は母子家庭なので、私は子供たちに広く世界を見る目を養い、少しでも大きく成長してもらいたいと思っているの。息子は一番最初のスポーツとして野球を選んだのよ。今回、彼らが大リーガーたちと交流できたことを、本当に嬉しく思っているわ」


ソース:http://www.mister-baseball.com/paris-welcomes-european-big-leaguers-wishes-au-revoir/