KNBSBがキュラソーでコーチングクリニックを開催へ | 欧州野球狂の詩

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 オランダ代表を語るうえで、絶対に欠かせない存在といえるのが、カリブ海のベネズエラ沖に浮かぶ同国の海外領土・キュラソー。MLBで本塁打と打点の二冠に輝き、ゴールドグラブも常連という伝説の名外野手、アンドリュー・ジョーンズ(ヤンキース)を筆頭に、ケンリー・ヤンセン(ドジャース)、ユレンデル・デキャスター(メキシカンリーグ)、ランドール・サイモン(タイガースなど)らを輩出し、オランダ野球にとっては必要不可欠な拠点です。日本の野球ファンには、昨季の本塁打王であるウラディミール・バレンティン(ヤクルト)や、その同郷の先輩であるヘンスリー・ミューレンス(元ヤクルト)の出身地としておなじみでしょう。


 そのキュラソーにおいて、このたび本国のオランダ王立野球・ソフトボール協会(KNBSB)と、キュラソー野球連盟(FEBEKO)の共催による、コーチングクリニックが開催されることになりました。このイベントは、2月29日と3月1日の2日間にわたって開催される予定で、オランダ代表からはブライアン・ファーレイ監督、スティーブ・ジャンセン投手コーチ、ロバート・エーンホーンTD(テクニカルディレクター)が派遣されます。また、キュラソー側の講師には、ミシェル・キンバーン氏とロバート・コフィー氏の2人が選ばれました。


 今回のクリニックは、両日とも夕方から夜にかけて行われます。初日は15時から17時まで、9歳から12歳までの選手とその指導者を対象とした、ユースクリニックが行われた後、17時半から開会式を開始。その後、まずファーレイ監督が先陣を切って壇上に立ち、「オランダ球界における長期的な選手育成」についての講演を行います。続いて、エーンホーンTDによる打撃指導が、18時半から1時間にわたって行われた後、30分の休憩をはさんで、キンバーン氏による選球眼についての講義、ジャンセン投手コーチによる投手の能力に関する講義が相次いで行われます。


 一方2日目も、15時からの2時間はユースクリニックを実施。ただし、こちらは15歳から18歳までの選手と、その指導者が対象になっています。この日も、一番最初に壇上に立つのはファーレイ監督。18時から45分にわたって、「如何に成功できるチームを作り上げるか」について語ります。続いて、ジャンセン投手コーチが「ロングティーからブルペンへ」というテーマで、投手の練習プログラムの組み方について語ります。休憩後には、コフィー氏が「現在の選手たちと、効果的にコミュニケーションをとる方法」をテーマに、20時から45分間。エーンホーンTDが内野守備の指導法について、もう45分間スピーチをした後、さらに休憩をもう1度挟んで、最後は参加者全員によるパネルディスカッションを経て、全プログラムが終了します。


 現在でこそ、マリエクソン・グレゴリウス(レッズ)やバス・デヨング(L&Dアムステルダム・パイレーツ)、ニック・ストイフバーゲンといった、オランダ本国出身(ただし、グレゴリウスは父親がキュラソー生まれで、カリブの血をひいていますが)の選手たちも台頭してきているとはいえ、依然としてキュラソーやアルバといった、海外領土の出身者たちが、オランダにとって必要不可欠な存在であることは事実。そして、両者が同じチームの一員として、世界と戦っていくためには、本国と海外領土との間で、指導に関する知識が共有されていなければなりません。


 その意味で、今回のクリニックはオランダにとって、ヨーロッパでの覇権維持はもちろん、世界の強豪として戦っていくためにも、非常に重要な試みとなります。元々、毎年代表チーム同士で親善試合を戦うなど、つながりの深い両者ではありますが、このクリニックはその絆を、さらに深めるものにもなるでしょう。奇しくも昨日、イタリアでのコーチングコンベンションが成功に終わった 、ということをお伝えしたばかり。今回のオランダ=キュラソー連合でのイベントも、ぜひとも意義あるものにしてもらいたいですね。


ソース:http://www.mister-baseball.com/knbsb-holds-coach-clinic-curacao/