ガラガラッ
「岸野おる?」

(おい!先生ぐらいつけろ
岸野先生になんの用や!)

「相談?」

(お前が?)

「関係ないやろ
てかどいて暑苦しい」

(お前なぁ…教師に向かってっ)

「じゃあ生徒に対して
相談もできないようにする先生
どいて下さいませんか」

(っ…こんにゃろ…表に)

ガラガラッ
「あっつー
あれ?渡辺くん?」

「岸野相談あるねん」

「そっかそっか
空き教室行こっか」



「岸野って男から人気あったんや」

「失礼なやつやな
まぁ体育科やし
女の先生少ないからなー」

「ブスではないもんな」

「素直に褒めてくれたらええのに
で?相談って?」

「いや…その彩の事なんやけど」

「そーやろな」

「あのさ寝てるときに…」

「あー」

「ちょ話は終わってへんぞ」

「うなされてるやろ?」

「…なんで」

「この時期は仕方ないよ」

「どういう…」

「知ってると思うけど
彩は誰かに依存できない
小さい頃に親からなんでも決められて
依存したら捨てることが出来なくなる
依存しない方が楽に生きてき行ける
そういう考えに育ってん」

「うん」

「彩が依存することを恐れるのは
その考えとあとひとつ
高校の時
彩に一生懸命に関わろうとした
後輩がいたんよ
周りから見てもまるでストーカーみたいな
彩も少しずつ心が開いてきてたけど
ブレーキがかかった
そのときやったんよ

彼女が亡くなったんは」

「え?」

「不慮の事故
居眠り運転の車に突っ込まれてね
別に彩に何かあったわけじゃないけど
でも彩は後悔をした
彼女は彩ともっと関わりたいって
ずっと言ってた
だからこそ、もう少し関わることが
できたならってね
彩は塞ぎ込んだ
そのときに聞こえたんやってさ
少なからずそれは依存したから
依存する前に関係を切り
興味のない存在にすれば
傷つくことは無かった…とね」

「なんやねんそれ」

「たぶんその時の彩には
支えがなかったし
そーやって自分を支えたんちゃうかな」

「…」

「でも成長して
私と出会って色々話してるうちに
少しずつ緩くなってきてんけど
やっぱりダメみたいやね
この時期はちょうどあの子が
いなくなった時期だからね」

「…そう、なんや」

「あ、このこと内緒な?
彩言うつもりないやろうし」

「おぅ」





「優紀~椅子!」

「あーはいはい」

彩はいつもと変わらないように
ジャージ姿にすっぴんで
俺をリビングから呼ぶ
そして俺が座ると嬉しそうに
体を預ける
この小さい体にはどれだけの
辛い思いがあるんだろう
苦しい思いをしてきたんやろうか

ギュッ…

「優紀ー?どうしたん?」

「いや、何となく…」



「んっ…ハァハァ…やめて…」

「…彩?」

声がして彩のベッドまで行くと
またうなされている
依存しすぎるのもアカンのやろうけど
人間誰しもなにかに依存するものだ
それを止めてるのだから
負担は大きいやろう

「…」

「ハァハァ…」

「大丈夫、大丈夫やから…」

そう声をかけるけど
きっとこんなの無意味なんやろう

「ハァハァ…」

「汗だけでも拭いて…」

タオルを取りに行こうとした時

「ゆう、きっ…」

「え?」

彩はうなされながら
必死に手を伸ばしてる
俺がいるの?
俺を求めてくれてるん?
そんなに手を伸ばして…

ダッ!!ガシッ!!

「大丈夫…ここにおる、ここにおるから」

「ハァハァ…んっ…

あれ?」

「彩」

「優紀…?なんで」

「うなされてたから」

「ごめん、起こした?」

「ちゃうよ起きてた」

「うん…」

「なぁ彩
よいしょっ、横よって」

「優紀?どしたん?」

「ほら、おいで?」

「?」

「…」

ギューッ

「…優紀」

「ここにおる、大丈夫
彩は何も考えんでええ
俺が考えたるから
ほら、寝な?」

「…いい、そんなの
私は」

「何も怖くない
怖くない…」ポンポンッ

「…」

数分後、彩は眠りについた
幸せそうな顔をしながら