「彩」

「…」

「なぁ、彩」

「…」

「…はぁ、夕飯作るわ」

「…」

ガチャッ
部屋に入り鍵を閉め
座り込む

分かってる
バレちゃいけないこと
私だけがクビで済むならいいけど
優紀を巻き込むことになる
辞めるのは簡単
でも残る方はすごく辛い

だけどやっぱり
いいように見えてしまう
同じクラスの女の子達から
言い寄られてる優紀
もちろん断ってくれたけど
でもおかしいことじゃないから
優紀があの中の誰と付き合っても
周りの人から非難されることもなく
微笑ましい祝福の目で見られるんだ
でも私とは…?

この気持ち…分かんない
ムカついてる?腹立たしい?
悲しい?苦しい?
よくわからない感情
だから嫌なんだ
誰かに依存するのは
失わなくても苦しむから
少しのことで気になるから
1人ならこんなことない
それなのに少しの言葉で心が揺れる

笑いかけるのも
触れるのも
視界に入れるのも
何もかもが嫌なんだよ

優紀がいなくなったら
私はどうなるんだろう
もし、ほかの誰かのところへ行ったら
私は元に戻れるんやろうか
何とかしなきゃ
依存しきってしまう前に
逃げないと、今なら間に合う
きっと今なら…

「やかっ!…さやか!!!」

「あっ…あぁ」

「何回も呼んでるんやけど」

「あ、ごめん」

「…ごめん、嫌な気持ちにしたな」

「何が?」

「あの子達にバレたら
彩といられなくなるって考えたら
必死で言葉ちゃんと選べなくて
彩を傷つけた」

「…違う、優紀は正しい」

「いやっ」

「…やっぱりおかしいか

私たちが」

「彩?」

「教師と生徒って…ホンマに漫画みたい
あほらしいよな」

「そんなこと言わんとって…」

優紀の手が伸びる
その瞬間微かに匂った
あの女の子達の香水の匂い
その瞬間、優紀の手をはたいた

「触らないで!!」

「彩…」

「っ…ごめん
あかんねん、ホンマに
私、もう」

「…」

「このままじゃ
私が私じゃ…」

「彩」

「依存なんかしたくない
失いたくないものなんて欲しくない
嫌だ、怖い」

「…」

「1人でいい
もう傷つきたくない
悩むのも苦しむのも…」

「はぁ…


こい!!」

「え、ちょっと!
優紀っ…」

腕を引かれて
連れてこられたのはお風呂

「優紀なにを…キャッ!!!」

シャー!!!!!

優紀は私を立たせて頭から
水をかけてきた

「何をっ!!」

「頭冷えたか?これで」

「…」

「依存したくないってなんなん?」

「私は」

「彩の過去は知ってる
理解したいとも思ってる
でも俺は依存しないのは違うと思う
俺は!彩に依存してほしい!!
なんで失うことしか考えへんの
俺はここにおるやんか!
彩のために
彩が幸せになるなら他の男でもいいって
言うたぐらいやで!?
その気持ちわからんのか?
好きな女を他の男に任せる気持ちが、、」

「だって…
なんでなんよ何で私なんか
好きになったんよ…」

「彩に依存してるからや」

「…」

「誰かに依存するほど
失うことが怖くなる
だからこそその人を大切にできる
永遠が約束されてたら
誰も大切にせぇへんやろ?」

「…優紀」

「ちょっとずつでええから
俺に依存して
俺は大丈夫やから
ここにおるから…な?」

「…どこにも行かへん?」

「行かんよ行くとこないもん」

「…うん」

「ほら、濡らしちゃったし
お風呂入り?
俺ご飯作ってくるし」

「…やだっ」

「へ?」

「まだ…ここにいて
行かないで」

「ったく…

よしよし、大丈夫」

「優紀…ホンマにええの?私で
私教師やで?」

「ハハッ教師として見るなって
言うたんは彩やで?
大丈夫
僕にとって彩はかけがえのない
大切な彼女や」

「優紀…」

「抑えれる自信ないけど
…キス、していい?」

「…いいよ」

優紀は嬉しそうに笑うと
優しくキスをしてくれる
初めてだ
誰かに依存すると
こんなにやさしい気持ちになるんだ
こんなに




幸せなんだ