大学時代にMという良き友人がいた。
当時はそんな言葉なかったように思うけど、普段はメガネをかけた「草食系」だ。
だが、彼の正体は、ちょっとした有名なアマチュアバンドのボーカリスト・・・
Mはオレとは違う大学の同じ学年だったが、バイト先が同じだった。
当初は会話もなかったが、ちょっとしたきっかけで意気投合し付き合いが始まった。
お互い、CHAGE&ASKAのファンだったのだ。
彼らは時々ライブハウスでのミニコンサートもやってて何度か見に行った。
というよりは、いろいろ手伝わされた(笑)
ビジュアル系でもなくハードロック系でもないが、ツインボーカルなのが個性的だった。
Mの相棒のSはやはり同じ年齢だがいわゆるフリーター。ちょっと綾野剛系。
ドラムのTは一見すると気難しい感じだが実は芸人キャラ。1歳年下。
ベースのYさんは1歳年上だけど同学年。めっちゃカッコイイし腕前がハンパない。
キーボードのKはMの幼なじみで可愛い系の女子。2歳年下。
Mの幼なじみで、なんとなくセカオワの2人みたいだ。
全員仲良かったし実際Mを通じてオレのこともすぐに友達として認めてくれた。
また、彼らの友人達にも手伝いなどを通じて仲良くなれたし、ひとつの大きなファミリー感があった。当時も思ってたが、あの一体感の中にいられたのは貴重な経験で財産だ。
楽しい日々を過ごさせてもらったが、彼らも将来のことを見据えていた。
年齢的には、夢を追えるギリギリのところだったんだろう。
Mはメンバーで話し合って、次のフェスでダメだったら区切りにすると言った。
某放送局主催のアマチュアバンドフェスの地方大会。
確信はしていたが、彼らはしっかり審査をパスしてその出場権を得た。
当時の記憶もハッキリ覚えてる部分と忘れてる部分があるけど、彼らの言動や表情からは優勝して全国への扉を開くことよりも、バンドの有終の美というか花道を飾るというか、そんな風に考えてるように見えた。
もう少し早くコイツらと出会いたかったな…もうコイツらのカッコイイところ見れるのも最後になるのかな…そう思うと寂しさと勿体ない気持ちになったのを覚えている。
だから、名残を惜しむような感じでオレも彼らの練習の日はよく見学や手伝いに行った。
おかげで、彼らの持ち歌は全部歌えるようになってた。
いよいよフェスまであと3週間というところで、事件が起きた。
Mの相棒のSが、交通事故に遭ったのだ!
命に別状がなかったのが幸いだが、確か片方の腕と両足の大怪我。そして複数の骨折だったように記憶している。全治どれくらいだったか…短くはなかった。
現在のように携帯が普及してる時代ではない。
事故の日にMがバイトを休んだのは練習のためだと思ってた。
その次の日の夜、ようやくMからの電話で事態を知った。
そしてMは言った「こんな時間に悪いんだけど、今から出てきてくれるか?」
オレが行っても何もしてやれることはないぞと言いながら、片手は上着をつかんだ。
この瞬間から、オレの人生の中でもビックリ箱を開いたような時間が始まった。
(続く)