私はななちゃんが今よりずっと小さい頃、この家にやってきました。


長いこと街の小さなおもちゃ屋さんにいたのですが、誰も私を見て、手に取ってくれはしませんでした。


お店の人たちは私がいつまでも、値段を下げても売れないので、あわれむような、困ったような目で私を見ていました。


そのうち薄汚れ、もうこれから誰も私を迎えにきてくれることなく捨てられてしまうんだ、と思っていました。



 「ねえ、ママ、このうさちゃんがいい!」



どうせ、他のうさぎのぬいぐるみのことだろう。


私には関係ないや。



「汚れててかわいそうだよ、うちで綺麗にしてあげよう!」



いつぶりにお店の人以外に触られたのかな。


気づくと私はななちゃんの小さい両腕にしっかり抱かれていました。



「なな、もっと新しくてきれいなの他にもあるじゃない」


「ううん、ななね、この子がいいの!」



なんだか夢を見ているような、信じられないような気持ちでした。


お店の人もびっくりしていました。



「そうなの?…まあななのお誕生日だし、その子にしましょう」



お誕生日。


そんな大切な日の大切なプレゼントが、私なんかでいいのかな。


本当に喜んでいるのかな。


ななちゃんの太陽みたいなきらきらした笑顔を見たら、そんな思いは吹き飛びました。



 私は「らら」と名付けられました。


ななちゃんは歌が好きなので、らららーと歌いながら名前を考えていたら、こうなったそうです。



「ららら、ららちゃん!これからずっといっしょだよ!」