「ねえ、ららち ゃん、今日は入学式なのにもう桜散っちゃってるよ、一年生かわいそうだね」
新品でまだしわのひとつもない制服を着た中学一年生たちが、次々に学校の門をくぐっていきます。
まったく新しい環境に緊張して顔を赤くした子もちらほら見かけますが、すぐ近くの同じ小学校から上がってきた子が多いので、特に新鮮味もなく、いつも通り、いつもと同じ友達とおしゃべりをしている子がたくさんいます。
「あっ、そろそろ私も行かなくちゃ。私は二年生だけどね、入学式の校歌の伴奏でピアノを弾くんだよ!ららちゃん、いってきます」
ななちゃん、いってらっしゃい。
ああ、声に出して言えたらな、と何度思ったことでしょう。
叶わないことだってわかっています。
だって私はぬいぐるみだから。