一昨日、5月23日(金)発売
日刊ゲンダイの「サラリーマン特集」に
私のインタビュー記事が掲載されました。
「すき家」の大量離反は対岸の火事ではない
バイトテロとバイトスト
牛丼チェーン「すき家」の大量閉店が、
いまだに波紋を呼んでいる。
同チェーンは3月中旬以降、
「パワーアップリニューアル」と称し
184店舗を一時閉店中。
ネットには激務に嫌気が差したアルバイトたちが
LINEなどのSNSを駆使し、
辞めようと呼びかけ合って起こした「反乱」とか
「ストライキ」などの噂が広まった。
すると14日、ゼンショーHDの小川賢太郎会長兼社長が
28店舗について「アルバイト不足が原因」と認めたものだから
騒動が再燃したというわけだ。
「店長やお客とトラブルを起こし、
アルバイトが突然辞めることは昔からありますが、
それはあくまで各店舗の問題。
すき家のケースが、もし本当にアルバイトの
一斉反乱だとすれば、やはり異例。怖いですね」
(人材育成コンサルタント・内田和俊氏)
すき家は以前から、深夜に会計から接客、
掃除、洗い物、仕込みまで1人でこなす勤務態勢
「ワンオペレーション(ワンオペ)」が
ハードすぎると指摘されてきた。
それほど人件費を抑えているのに、本部は2月、
仕込みに牛丼の2倍以上の手間がかかる
「牛すき鍋定食」を導入。
一部経済誌では、アルバイトの不満爆発のきっかけが、
「牛すき鍋定食」の導入だと指摘、「鍋の乱」と紹介している。
ここまで読む限り、ブラック企業の
レッテルを貼られる企業の特殊なケースと思うだろう。
でも、あなたの会社が雇うアルバイトやパートに、
ある日突然、全員辞められたら……。
アルバイトやパートの反乱やストライキで、
会社が機能不全に陥ってはたまらないが、内田氏は
「バイトの人数増や待遇改善では、
問題の解決にはならない」と、こう指摘する。
「外食チェーンの現場は、正社員とアルバイトの
コミュニケーション不全が他業界より顕著。
マニュアル化だけが進み、現場も
〈 ハンドブックに書いてあるからよく読め 〉に
なってしまっていることが多く、それこそが原因です。
アルバイトに反乱を起こされないためには、
何より〈 使い捨て 〉から〈 育てる 〉にシフトする
必要がありますが、マニュアル頼みをやめない限り、
根本的な改善にはなりません」
すき家の深夜時給は、コンビニや
ライバルの牛丼チェーンより100~200円も高い。
「それでも」バイトが大量に辞めたということは、
やはり使い捨ての風土が根強い証拠でしょう」(内田氏)
こうした課題は、安倍政権にも突きつけられている。
東京都渋谷区では5月15日、
ファーストフードで働く従業員の
賃金引き上げを要求するデモがあった。
参加者は「時給を1500円にして」などと声を張り上げた。
このデモは、全米サービス業従業員組合(SEIU)が
世界35カ国で一斉デモを呼び掛ける「世界同時アクション」の一環。
SEIUは2013年に全米100都市で
時給15ドルへの賃上げストライキを実施し、
オバマ大統領が最低賃金引き上げに取り組むなど
反響を呼んだことで有名だ。