71 ふれ合っていれば分かります | 身近な大人たちの疑惑

 小田は思い出したように立ち上がり「そうだ!家内が画家さんにと・・」立ち上がりケーキを差し出した。

 

「有難うございます。美味しいです」

 

「これゃうまい」話しながらケーキをペロリと食べ終える。

 

「はや!甘党なんですね」

 

 「ワシか?甘いものは大好きだ。酒の席でも必ずデザートを食べる。あまり多くは飲まない・・けどな、そうだ!山岸たち、2人は程々を知らないで飲んでいたな。気持ちはいつも一致してたから同性愛みたいな奴らだ?」

 

 「へー!」初耳だった。

 

それは違ったようで 直ぐに訂正「あー、そういうのじゃないが、似た者同士だったんだろうな」

 

 「そうですか・・じゃ石川さんが亡くなられて寂しくしてたんでしょうね。それでかな、山岸さんが私に1周忌に行ってくれないかと頼んだ訳は?変な涙は見せたくないと」

 

「どうだか?・・で、小泉さんは山岸のところで?」 

 

「いや、もう描き上げましたから、出入りはしてません」久美が出入りしている?のに、出来るはずが無かった。 



「それじゃ、続き描き始めますよ」

 

すると、また「女性にジロジロ見られると汗が出る」などと言いながら緊張する。

 

 ジロジロはないだろうと思いながらも「もう仕事も心配すること無いから、悠々自適でいいですね、まだ何かやりたことって、あるんですか?」

 

「んー?」

 

意外にも、まだ興味がありそうに目を光らせた。

 

「明日、奥様は?」

 

 「明日も手芸教室だったかな」 

 

「そうですか、私は今週いっぱい、通わせてもらいますので宜しくお願いします。でも奥様は忙しそうで肖像画モデル難しいかったら、写真でも大丈夫ですけど・・ただ、心の中まで見通せないので気持の伝わらない絵になります」と小田の心の内をみていた。

 

「え、そうなのか、じゃ、ワシの心も読めちゃうってことか? 」

 

 「そうですよ、ふれ合っていれば分かりますよ」


「えっ、ワシは何を考えているとか分かるというのかね?それゃ、まずいなぁ」


・・いったい何を考えていたのだろうか・・