小田は思い出したように立ち上がり「そうだ!家内が画家さんにと・・」立ち上がりケーキを差し出した。
「有難うございます。美味しいです」
「これゃうまい」話しながらケーキをペロリと食べ終える。
「はや!甘党なんですね」
「ワシか?甘いものは大好きだ。酒の席でも必ずデザートを食べる。あまり多くは飲まない・・けどな、そうだ!山岸たち、2人は程々を知らないで飲んでいたな。気持ちはいつも一致してたから同性愛みたいな奴らだ?」
「へー!」初耳だった。
それは違ったようで 直ぐに訂正「あー、そういうのじゃないが、似た者同士だったんだろうな」
「そうですか・・じゃ石川さんが亡くなられて寂しくしてたんでしょうね。それでかな、山岸さんが私に1周忌に行ってくれないかと頼んだ訳は?変な涙は見せたくないと」
「どうだか?・・で、小泉さんは山岸のところで?」
「いや、もう描き上げましたから、出入りはしてません」久美が出入りしている?のに、出来るはずが無かった。
「それじゃ、続き描き始めますよ」
すると、また「女性にジロジロ見られると汗が出る」などと言いながら緊張する。
ジロジロはないだろうと思いながらも「もう仕事も心配すること無いから、悠々自適でいいですね、まだ何かやりたことって、あるんですか?」
「んー?」
意外にも、まだ興味がありそうに目を光らせた。
「明日、奥様は?」
「明日も手芸教室だったかな」
「そうですか、私は今週いっぱい、通わせてもらいますので宜しくお願いします。でも奥様は忙しそうで肖像画モデル難しいかったら、写真でも大丈夫ですけど・・ただ、心の中まで見通せないので気持の伝わらない絵になります」と小田の心の内をみていた。
「え、そうなのか、じゃ、ワシの心も読めちゃうってことか? 」
「そうですよ、ふれ合っていれば分かりますよ」
「えっ、ワシは何を考えているとか分かるというのかね?それゃ、まずいなぁ」
・・いったい何を考えていたのだろうか・・