(30) 「教師用の名簿とかで、連絡出来るのかな?」
「25年前の話よ、今でも連絡出来るの?」
「だよね、今でも交流あるから呼べるのかな?」
「当時は新井先生は新任で来たばかりだったし、そういえば未だに独身って・・松田くんが言ってたよね」
「あやしい・・・」
大笑いしながら外を見る・・
向かいのコンビニ前でアイスを食べている男の子を発見「あら、さっきバイトしていた子だよね、隣は彼女かな、いいわね若いって・・」
「そうね、私たちには似合わないね」
弘美は興味を示さない。
「ねぇ 立ち食いしてみる?」・・涼子は何でもやってみたい気持ちに目覚めたようだった。
「気分だけでも若返らないとね、おばさん同士ならいいでしょ」あの子達のアイスの食べてる気持ちを確かめてみたい。
しばらくして・・
「おいしい~」何かが違っていた。本当に美味しかった。環境が変わる、相手が変わる、自分が変わると、二人で美味しさを分け合う気持ちが伝わった。
・・・
その夕方「ただいま」と返事を求めないような言葉で夫が帰ってきた。その言い方、きっと私もそうなんだろうかと思えたら、申し訳ない気持ちにもなる。
その気持ちが「おかえりお疲れ様」と気持ちを伝えると、夫は分かったのだろうか。
「美味しそうな匂いがするね」
料理を褒めてきた。心を込めた言葉が夫に通じたことは素直に嬉しいが、もう癒される存在では無くなっているのは確かであった。
涼子は夫と寄りを戻すというより、私もこれからは癒しを求めていくと決めたのだ。つづく
